実務者研修の医療的ケア、喀痰吸引・経管栄養について

2017年1月の試験から実務ルートの介護福祉士受験に必須となった実務者研修ですが、受講するにあたり新しく加わった医療的ケアとはどういった内容を学び、どう介護現場で活かすことができるのか不安に思われている方もいらっしゃると思います。
今回は実務者研修の受講を検討している方へ、医療的ケアの喀痰吸引・経管栄養の内容をご紹介したいと思います。

1.実務者研修の医療的ケアについて

実務者研修の内容に含まれる医療的ケアとは、一体どんなことをするのでしょうか。
「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、介護職員等は一定の条件の下で、一部の医療的ケアを行えるようになりました。
医療的ケアとは、在宅介護されているご利用者が日常生活を行う上で必要とされる「痰の吸引」や、鼻などから管を通して栄養剤を流し食事を摂取する「経管栄養」を指しています。この医療的ケアは、医師や看護師などの医療従事者しか行うことができない医療行為ですが、医師や看護師の指導の下で、介護するご家族だけでなく研修を受けた介護職員も行うことができるようになりました。これらの医療的ケアが実務者研修に含まれるようになった背景には、介護現場での喀痰吸引等のニーズや実態を踏まえ、介護職員の質の向上を図る必要があると国が判断したためです。

・実務者研修で学習する医療的ケアとは?

これまで喀痰吸引や経管栄養の処置は医療行為であったので、医師や看護師などの医療従事者が対応していました。しかし、2012年の法改正により、一定の研修を修了したものであれば介護職員であってもこれらの一部の医療的ケアを行えるようになりました。
これは、医療的ケア実施のニーズは多いが、看護師だけではケアが十分に行き届かない現状がありました。そのため介護職員もニーズが多い医療的ケアを行えるように質の向上を図り、医療的ケアを提供できる体制を構築することが必要でした。
実務者研修にて学習する医療的ケアですが、実務者研修を修了しただけでは医療的ケアを行うことはできません。実務者研修では医療的ケアについての学習を行うことになりますので、実務者研修終了後に喀痰吸引等研修(実務研修)を受講することで、一部の医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養)を行うことができるようになります。それでは、喀痰吸引や経管栄養とは、具体的にどういったものでしょうか。

喀痰吸引

喀痰吸引(かくたんきゅういん)…自力で痰を排出できないご利用者に対し、口腔や鼻腔内や気管などに溜まっている痰を、吸引器等を使用し体外へ排出させます。気道を確保するために行いますが、肺炎等の感染症を予防する目的もあります。

~喀痰吸引の実施~
実施準備
 ・医師の指示、引継ぎ事項、留意点を確認する
 ・手洗い及び消毒を行う
 ・必要な物品・器材の確認、作動点検、配置
吸引の実施
 ・ご利用者への説明、プライバシーの配慮、姿勢変更
 ・観察(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ周囲の出血、傷の有無、義歯の装着状態、口腔内・鼻腔内、気管カニューレ内の貯留物、食物残留)
 ・手袋の着用、チューブ接続、チューブ消毒、テスト吸引
 ・声かけ、チューブ挿入、吸引
 ・チューブ抜去、チューブ消毒、チューブ洗浄、片づけ
 ・声かけ、姿勢変更、観察(顔色、呼吸状態)、手洗い
報告
 ・利用者の状態、痰の量、性状等を報告
 ・ヒヤリハット、アクシデントを報告
片づけ、物品管理
 ・使用物品の片づけ、交換
記録
 ・実施内容を記録

経管栄養

経管栄養(けいかんえいよう)…口から食事を摂れなくなった人に対して、胃や腸などの消化器官内にチューブを挿入し、栄養剤を注入し、栄養状態の維持、改善を行う方法です。経管栄養には、経鼻胃管栄養、胃ろう経管栄養、腸ろう経管栄養があります。

~経管栄養の実施~
実施準備
 ・医師の指示、引継ぎ事項、留意点を確認する
 ・手洗い及び消毒を行う
 ・必要な物品、栄養剤の種類、量、温度、開始時刻、時間の確認
・栄養剤の配置、注入準備
経管栄養の実施
 ・ご利用者への説明、ご利用者と栄養剤の確認、姿勢変更
 ・チューブ接続、声かけ、注入
 ・観察(表情、状態、体位、滴下の状況、漏れ)
 ・チューブ接続解除、注入口閉じる
 ・観察(体位、腹部膨満感、嘔気、嘔吐、腹痛、呼吸困難)
 ・姿勢保持
声かけ、姿勢変更、観察(顔色、呼吸状態)、手洗い
報告
 ・利用者の状態、異常の有無を報告
 ・ヒヤリハット、アクシデントを報告
片づけ、物品管理
 ・使用物品の片づけ、洗浄、乾燥
記録
 ・実施内容を記録

〜食事ができない人の栄養補給方法2種〜
口から食事を摂れなくなってしまった人には、どういった栄養補給方法があるのでしょうか。口以外から必要とされる栄養や水分を摂取する方法を「人工栄養法」と言います。嚥下機能が低下した人や病気による嚥下障害が起こり、飲み物や食べ物を上手に摂取できなくなった人などが、人工栄養法の対象となります。 
人工栄養には「経管栄養」と「経静脈栄養」の2種類があり、栄養を直接消化管に送ることを経管栄養と言います。実務者研修で学習する内容は経管栄養になります。また、胃に穴を開けることを「胃ろう」、腸に穴を開けることを「腸ろう」と言います。
経管栄養は、経静脈栄養よりも介護者の負担が少なく管理しやすい点や、誤嚥の危険性をなくしつつも消化器官の働きを維持することができます。胃・腸に穴を開けずに、鼻からチューブを通して栄養を送る経鼻経管栄養という方法もあります。
次に、静脈の血管から栄養を投入することを経静脈栄養と言います。腸など消化機能が低下していたり機能していなかったりしても栄養摂取が可能でが、感染症や合併症を起こす可能性があり、在宅での管理が難しい状況となります。経静脈栄養には点滴で注入する「末梢静脈栄養」と、心臓近くの太い静脈を使う「中心静脈栄養」の2種類があります。経静脈栄養は医療行為となるため医療従事者のみ行うことが認められており、介護職員は管理することができません。
経管栄養と経静脈栄養どちらの栄養摂取の方法も、口を使って食事を摂らないために唾液の分泌が少なくなり、口腔内に細菌が繁殖しやすい状態となるので口腔ケアは必要です。口臭予防だけでなく、細菌の繁殖してしまった唾液を誤嚥することによって起こる誤嚥性肺炎の予防にもなります。さらには回復後、また口から食事を摂れるようにするためのトレーニングとしての役割もあります。

・学習するのは難しい?難易度は?

実務者研修の介護知識や技術といった専門的な内容は、介護資格のない人や未経験の人にとっては少し難易度が高いと思われるかもしれません。さらには医療的ケアの学習も入ってくるので、介護だけでなく医療分野などの専門用語も多く覚えなければいけません。しかし、実務者研修は無資格の方、未経験の方でも受講可能となっており、実際多くの無資格の方、未経験の方が実務者研修を修了し、介護業界で活躍しています。
学習方法として通信+通学プランまたは通学プランとなるため、ご自身の都合に合わせて受講できるプランを選びましょう。スクール選びのポイントとして場所、費用、開催日程を確認しましょう。急に受講できなくなった際に、日時を振り替えできる「振替制度」もスクールを選ぶポイントになります。さらにスクール独自の割引やキャンペーンをしていることがあるので、気になるスクールは資料請求し検討してみてはいかがでしょうか。

2.受験資格や研修の免除について

・喀痰吸引等研修の修了者の場合は、実務者研修の医療的ケアは免除されるか

喀痰吸引等研修修了者は、実務者研修の「医療的ケア」が免除されます。どの研修を修了しているかによって、必要なテキストの冊数や受講費用も変わってきますので、受講の申し込みのスクールが決まりましたら事前に電話でお問い合わせください。

・実務者研修(医療的ケアを含む)を取得すれば、介護福祉士試験の実技試験免除になるか

実務経験ルートで介護福祉士を受験する場合、実務経験3年以上及び実務者研修修了の受験資格を満たすこととなります。この場合、実技試験は免除となり筆記試験のみの受験となります。

・基礎研修保有者が医療的ケアの研修を受けることで介護福祉士の受験資格となるか

基礎研修保有者は実務者研修の医療的ケアを受講するまたは咯痰吸引等研修を受講することで、介護福祉士の受験条件の一つである実務者研修修了と同等の条件を満たします。

3.まとめ

実務者研修で学ぶ医療的ケアの概要がお分かりいただけたでしょうか?この記事を読んで、医療的ケアの内容に不安を感じていた人が学習内容をイメージすることができ、不安の解消の手助けなれば幸いです。
参考になった方は、シェアをお願いいたします。

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