実務者研修とは(旧ヘルパー1級相当)
実務者研修は、介護福祉士になるために必要な専門知識や技術を学ぶ研修です。

この研修では介護の専門家として働き続けるためのベースとなる「介護過程の展開」や「医療的ケア」などの実践的な介護技術をしっかりと身に付けることができます。平成27年度(平成28年1月)から介護福祉士国家試験の受験に実務者研修の修了は必須となっています。

実務者研修を受講する5つのメリット!
メリット①:サービス提供責任者になって給料アップ!

実務者研修を受講することで、訪問介護事業所のサービス提供責任者になることができます。 訪問介護事業所のサービス提供責任者の主な業務は、ケアマネジャーの立てたケアプランに沿った訪問介護計画書を作成し、その計画書を基に訪問介護サービスを適切に提供できるようヘルパーとの連絡や調整を行います。 サービス提供責任者は、訪問介護事業所において重要なポジションになります。そのため、通常のヘルパーに比べると収入も高い傾向にあります。また、訪問介護事業所は日勤帯を営業時間として設定している事業所が多いため、日勤帯での勤務を希望する場合は、選びやすい職場だと思います。
メリット②:介護福祉士国家資格を受験するために必要

介護業界で介護職として働く場合、介護福祉士資格の取得を目指すことをおすすめします。介護福祉士は介護職の中核的な役割を担う存在として位置づけられており、取得するとスキルアップ、キャリアアップ、待遇面においてメリットがあります。
<受験資格>
・実務経験が従業期間3年(1095日)以上、かつ従事日数540日以上
・実務者研修の修了
受験申込時に実務経験を満たしていなくても、試験実施年度の3月31日までに従業期間及び従事日数が必要な実務経験を超えると見込まれる方は受験できます。あらかじめご自身の実務経験が要件を満たしているか必ずご確認ください。
国家試験を受験する際の実技試験は免除となります。
介護職員基礎研修を修了している方は、喀痰吸引等の研修を受講することにより実務者研修の修了要件を満たします。
メリット③:業務について幅広く学べる!(介護過程Ⅲや医療的ケア)

実務者研修は、専門性の高い学習内容です。特に、実務者研修で学習する介護過程Ⅲと医療的ケアは、介護職員初任者研修で学習しません。介護過程Ⅲでは、介護現場の事例を基に、受講生同士でグループワークを行います。この事例検討は、自分と違った意見や対応を学習する大変に良い機会となります。また、医療的ケアでは従来看護師等の医療職が行っている喀痰吸引や栄養経管について学びます。
メリット④:管理者や周りの職員から認められるきっかけになる!

実務者研修は専門性の高いが学習内容のため、管理者や一緒に働く同僚の方へ仕事に対する意識をアピールできます。また、実務者研修を受講してスキルアップをしていくことは、自分自身の介護に対する自信につながるでしょう。
メリット⑤:就職に有利!

人手不足の介護業界では、無資格、未経験の方にも求人があり、多くの方が現場で無資格、未経験で働いています。 しかし、求人条件に介護職員初任者研修や実務者研修の修了を記載している求人情報も多く、介護事業所として専門知識を持っている方を雇用したいため、待遇面で優遇することがあります。また、実務者研修を修了するということは介護の仕事に対しての意識をアピールすることになり、採用する事業所側の担当者によい印象を与えることができるでしょう。
参考資料として、厚生労働省の調査より、無資格者・初任者研修修了者・実務者研修修了者・介護福祉士の方の平均月収を載せます。平均給与額(基本給+手当+一時金) | |
介護職(無資格) | 258,540円 |
初任者研修 | 276,450円 |
実務者研修 | 285,180円 |
介護福祉士 | 307,100円 |
研修講座のカリキュラムと内容
こちらでは、無資格から実務者研修を受講する場合についてご紹介します。 実務者研修は、20科目のカリキュラムを修了する必要があります。こちらでは、その学習内容をご紹介します。
受講科目と時間数
No. | 科目名 | 時間数 |
1 | 人間の尊厳と自立 | 5 |
2 | 社会の理解Ⅰ | 5 |
3 | 社会の理解Ⅱ | 30 |
4 | 介護の基本Ⅰ | 10 |
5 | 介護の基本Ⅱ | 20 |
6 | コミュニケーション技術 | 20 |
7 | 生活支援技術Ⅰ | 20 |
8 | 生活支援技術Ⅱ | 30 |
9 | 発達と老化の理解Ⅰ | 10 |
10 | 発達と老化の理解Ⅱ | 20 |
11 | 認知症の理解Ⅰ | 10 |
12 | 認知症の理解Ⅱ | 20 |
13 | 障害の理解Ⅰ | 10 |
14 | 障害の理解Ⅱ | 20 |
15 | こころとからだのしくみⅠ | 20 |
16 | こころとからだのしくみⅡ | 60 |
17 | 介護過程Ⅰ | 20 |
18 | 介護過程Ⅱ | 25 |
19 | 介護過程Ⅲ(通学) | 45 |
20 | 医療的ケア | 50 |
21 | 合計時間 | 450 |
次に、各項目でどのような内容の学習を行うのかカリキュラムをご紹介します。
■人間の尊厳と自立 (時間数 5時間)
・人間の多面的理解と尊厳
・自立・自律の支援
・人権と尊厳
ご利用者主体の介護を行う上で、もっとも大事な基本理念を学ぶための項目になります。
尊厳とは何か、介護における尊厳の保持、自立・自律の支援の考え方、ノーマライゼーション、利用者プライバシーの保護及び権利擁護について学びます。
■社会の理解Ⅰ(時間数 5時間)
・介護保険制度創設の背景と目的
・介護保険制度の基礎的理解
・介護保険制度における専門職の役割
介護保険を利用した介護施設サービスの種類をはじめ、保険者、被保険者についての概要、保険給付の概要など、介護職員として知っておくべき介護保険制度の内容について学びます。
■社会の理解II (時間数 30時間)
・生活と福祉
・社会保障制度
・障害者自立支援制度
・介護実践にかかわる諸制度
社会保障制度の概要、障害者総合支援法、介護の現場でかかわる成年後見制度、生活保護制度などを学びます。
■介護の基本Ⅰ(時間数 10時間)
・介護福祉士制度
・尊厳の保持、自立に向けた介護の考え方と展開
・介護福祉士の倫理
介護福祉士制度の沿革、定義、介護福祉士の業務範囲や職業倫理を学び、介護を必要としている方の尊厳を保持する方法と、業務に関わる虐待防止法などを学びます。
■介護の基本Ⅱ (時間数 20時間)
・介護を必要とする人の生活の理解と支援
・介護実践における連携
・介護における安全の確保とリスクマネジメント
・介護福祉士の安全
介護を必要とする高齢者、障害者の方の生活を理解することで、高齢者、障害者の方が求めるニーズを把握し、不足している部分を理解することを目的としています。
支援におけるチームアプローチを行う際の他職種との連携方法、関係各所の役割をはじめ、リスクマネジメント、働く方の安全、健康の管理などを学びます。
■コミュニケーション技術 (時間数 20時間)
・介護におけるコミュニケーション
・介護におけるコミュニケーション技術
・介護場面における利用者・家族とのコミュニケーション
・介護におけるチームのコミュニケーション
コミュニケーション技術は介護職として必要不可欠なスキルです。
ご利用者、ご家族、事業所スタッフ、関係各所の専門職と様々な方とコミュニケーションを取る仕事になりますので、良好な関係を構築するための技術、わかりやすく的確な情報を伝えるための技術などを学びます。
■生活支援技術Ⅰ(時間数 20時間)
・生活支援とICF
・居住環境の整備と福祉用具の活用
・移動・移乗の介護技術の基本
・食事の介護技術の基本
・入浴・清潔保持の介護技術の基本
・排泄の介護技術の基本
・着脱、整容、口腔清潔の介護技術の基本
・家事援助の基本
ご利用者の援助を行う上で必要な介護技術の基本について学びます。
■生活支援技術Ⅱ(時間数 30時間)
・移動・移乗の介護
・食事の介護
・入浴・清潔保持の介護
・排泄の介護
・着脱、整容、口腔清潔の介護
・睡眠の介護
・終末期の介護
生活支援技術Ⅰで学んだ内容を、ご利用者の心身の状態に合わせて提供するための技術を学びます。
■介護過程Ⅰ(時間数 20時間)
・介護過程の意義と目的
・介護過程の展開
・介護過程とチームアプローチ
介護課程を理解して、目標に沿った介護をチームで行う術を学びます。チームアプローチには、正しい情報共有と各専門職の役割をしっかりと理解していることが大切になります。
■介護過程Ⅱ (時間数 25時間)
・介護職による介護過程の進め方
・介護過程の実践的展開
・施設で暮らす高齢者の介護過程
・在宅で暮らす高齢者の介護過程
情報収集からアセスメント、介護計画立案、実施、モニタリング、介護計画の見直しまで、一連の介護過程について学びます。
■介護過程Ⅲ (時間数 45時間)
・利用者の特性に応じた介護過程の実践的展開
介護過程Ⅱで作成した介護計画を基に、受講生同士でグループワークを行います。
ご利用者の心身の状況を正確に把握した介護過程の展開、ご利用者のQOL(クオリティオブライフ)向上のために必要な介護過程及び連携について学びます。
■発達と老化の理解Ⅰ (時間数 10時間)
・こころの変化と日常生活への影響
・からだの変化と日常生活への影響
老化による身体機能の変化、心理的な変化を学習し、高齢者介護に対する理解を深めます。
■発達と老化の理解Ⅱ(時間数 20時間)
・人間の成長・発達
・老年期の発達・成熟と心理
・高齢者に多くみられる症状・疾病等
老年期の発達によりどのような課題があるのかを理解し、老年期の方に多く見られる病気、症状について学びます。
■認知症の理解Ⅰ (時間数 10時間)
・認知症ケアの理念と視点
・認知症による生活障害、心理・行動の特徴
・認知症の人とのかかわり・支援の基本
年々、日本国内の認知症患者数は増加しています。介護職として働く場合、認知症の方と接する機会が多くありますので、認知症について学び、認知症の方に対する理解を深めます。
■認知症の理解Ⅱ (時間数 20時間)
・医学的側面からみた認知症の理解
・認知症の人や家族への支援の実際
ここでは、認知症の原因疾患、症状、障害、変化といった認知症についての理解を深めます。
また認知症の方、そのご家族に対する支援を行う方法について学びます。
■障害の理解Ⅰ (時間数 10時間)
・障害者福祉の理念
・障害による生活障害、心理・行動の特徴
・障害児・者や家族へのかかわり・支援の基本
介護とは、老年期の方に対する援助だけではなく、障害者福祉の分野でも業務に就くことがあります。ここでは、障害福祉の基礎について学びます。
■障害の理解Ⅱ (時間数 20時間)
・医学的側面からみた障害の理解
・障害児・者への支援の実際
ここでは、医療の面から障害についての理解を深め、支援を行う具体的な方法を学びます。
■こころとからだのしくみⅠ (時間数 20時間)
・移動・移乗に関連するからだのしくみ
・食事に関連するからだのしくみ
・入浴・清潔保持に関連するからだのしくみ
・排泄に関連するからだのしくみ
・着脱、整容、口腔清潔に関連するからだのしくみ
・睡眠に関連するからだのしくみ
ここでは、介護現場でよく使われる介護技術をより効率的で安全に行うためのからだの仕組みを学習します。
■こころとからだのしくみⅡ (時間数 60時間)
・人間の心理
・人体の構造と機能
・移動・移乗における観察のポイント
・食事における観察のポイント
・入浴・清潔保持における観察のポイント
・排泄における観察のポイント
・着脱、整容、口腔清潔における観察のポイント
・睡眠における観察のポイント
・終末期における観察のポイント
こころとからだのしくみIで学習した内容を心理面、体の構造面の観点から理解を深めます。
また、援助における観察のポイントを学び、変化を感じた際に適切に対応できることを目指します。
■医療的ケア (時間数 50時間)
・医療的ケア
・安全な療養生活
・清潔保持と感染予防
・健康状態の把握
・高齢者及び障害児・者の喀痰吸引概論
・高齢者及び障害児・者の喀痰吸引実施手順解説
・高齢者及び障害児・者の経管栄養概論
・高齢者及び障害児・者の経管栄養実施手順解説
実務者研修の大きな特徴が、この医療的ケアについての学習です。
医療的ケアについて学習した後、喀痰吸引のケア、経管栄養のケア、救急蘇生法の演習を行います。
以上の20項目のカリキュラムを450時間で学習していきます。実務者研修では、とても専門的な内容を学習することがおわかりいただけたかと思います。興味と関心を持ち、ご自身のスキルアップ、キャリアアップに活かすという目標を持って受講しましょう。
実務者研修を取得するための条件
実務者研修では、合計で450時間、日数にして6ヵ月~1年の研修を受講します。 これまでに修了している研修または取得している資格によって、研修カリキュラムや研修受講料金が変わります。
実務者研修を受講するための条件(受講資格)
実務者研修は、受講資格は定められていません。まったく介護の経験や知識のない方でも受講することが可能です。
実務者研修の受講時間
持っている資格 | 受講科目 | 必要な時間 |
介護職員基礎研修 | 1 | 50 |
ホームヘルパー1級 | 2 | 95 |
介護職員初任者研修 | 11 | 320 |
ホームヘルパー2級 | 12 | 320 |
無資格 | 20 | 450 |
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④お持ちの資格によって受講料と受講科目を軽減!
介護職員初任者研修、ホームヘルパー2級、ホームヘルパー1級、介護職員基礎研修などの資格をお持ちの場合は、受講料・受講科目共に軽減出来ます!
⑤振替受講は電話1本で変更可能!
急な用事や体調不良など万が一お休みする際は、無料で振替受講が可能です。開講中の教室に授業を振り替えて受講することができます。
お申し込み後の流れ

指定された全日程を履修し、修了評価に合格すると修了となります。 当校では修了評価に満たなかった方は、補講を 無料で受講いただけます。
※日程に制限がある場合がございます。また、都道府県の規定で受講期間が限られている場合がございます。
講座の費用
関東の受講料金
保有資格 | 受講料 |
---|---|
介護職員初任者研修 | 82,000円(税抜・テキスト代込) |
ホームヘルパー2級 | |
当校初任者研修卒業生 | 65,000円(税抜・テキスト代込) |
無資格 | 100,000円(税抜・テキスト代込) |
ホームヘルパー1級 | 50,000円(税抜・テキスト代込) |
介護職員基礎研修 | 30,000円(税抜・テキスト代込) |
特待生 | 0円(テキスト代も無料!) |
法人割引料金 | ※お問い合わせください → 0120-90-1144 |
表示されている料金は、介護過程Ⅲと医療的ケアを合わせた金額です。
関西・東海の受講料金
保有資格 | 受講料 |
---|---|
介護職員初任者研修 | 73,149円(税抜・テキスト代込) |
ホームヘルパー2級 | |
当校初任者研修卒業生 | 59,000円(税抜・テキスト代込) |
特待生 | 0円(テキスト代も無料!) |
法人割引料金 | ※お問い合わせください → 0120-90-1144 |
表示されている料金は、介護過程Ⅲと医療的ケアを合わせた金額です。
基礎研修、ヘルパー1級をお持ちの方も、ヘルパー2級、初任者研修取得者以上の科目免除はございませんのでご了承ください。
実務者研修が受講できる都道府県
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