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処遇改善手当で給与が上がる?

更新日:2022/03/10

処遇改善手当で給与が上がる?

処遇改善手当で給与が上がる?

かつて「低賃金」「業務に見合わない安い給料」といわれていた介護職。ですが、処遇改善手当(介護職員処遇改善加算)の誕生によって「給料が高くなった」と介護職を目指す方が増えています。

そもそも介護職員処遇改善加算は、介護職員の給料(処遇)改善のために作られた制度ですが、
「誰が適用されるのか?私はもらえるの?」
「結局いくら給料が増えるの?」
と思っている方は多いのではないでしょうか。

そこで対象となる人や条件、支給方法について説明し、合わせて新設された特定処遇改善加算との違いも紹介します。これから介護職を目指す方、現在介護の仕事をされている方はぜひ参考にしてください。

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介護職員処遇改善加算とは

介護職員処遇改善加算とは、介護の現場で働く介護職員の方の処遇改善を図り、介護業界の慢性的な介護人材不足を補うための制度のひとつです。

  • 介護職がやりがいを持ち働きやすい環境
  • 介護職の給料アップ(処遇改善)

この2つを目的に、介護人材の増員と定着を目指しています。

誕生した背景

誕生した背景には、目前に迫る2025年問題があります。2025年には、団塊の世代800万人が後期高齢者(75歳以上)となり、深刻な介護人材不足が懸念されています。現在、働き方改革やIT化などを推進し、国を挙げて新規介護人材の導入を進めています。しかし、3Kとも4Kともいわれる介護職はなかなか定着せず、介護現場の人手不足は解消されていません。そのため、今後の少子高齢社会に向けて介護人材を増やすことと、今働いている人が継続して働いてもらえるよう処遇を改善する必要があると考えられました。

【処遇改善手当がスタートした流れ】

・2009年 介護職員処遇改善交付金

2009年度介護報酬改定によって介護職員の処遇改善が図られました。

他の業種との賃金格差を縮め、介護における雇用を安定させることにより、優秀な人材を確保、そして介護職員の処遇改善を目的とした「介護職員処遇改善交付金」が創設されました。「介護職員処遇改善交付金」は、介護職員(常勤換算)1人当たり月1.5万円に相当する額)を交付するものです。

・2012年 介護職員処遇改善加算

少子高齢化が進む中、団塊の世代が75歳以上に達する2025年に向けて介護人材の確保を目指すため、介護職員処遇改善交付金に代わり導入されました。介護職の明確なキャリアプランの制度(キャリアパス)や、介護職員がやりがいを持って働ける職場環境づくりを行う事業所に対して、介護職員の処遇改善手当として介護職員処遇改善加算が誕生しました。

介護職処遇改善加算支給の要件

介護職の方が介護職処遇改善加算をもらうためには、以下をポイントに事業所を見極める必要があります。まず、介護職処遇改善加算について、介護保険サービス事業所が処遇改善加算を取得しているか確認してください。当該事業所が指定基準を満たし、介護職員に対して以下の取り組みを実施していることが必要です。
介護職処遇改善加算の有無については、ホームページや介護サービス情報公表システム等に掲載されているサービス内容によって確認することができます。

介護職処遇改善加算は全5区分あり、それぞれによって満たさなければいけない算定要件と支給金額が異なります。そのため働きたい職場があったとき、その職場がどの区分にあたるのか確認するようにしましょう。

<全5区分>
介護職員処遇改善加算(Ⅰ)
介護職員処遇改善加算(Ⅱ)
介護職員処遇改善加算(Ⅲ)
介護職員処遇改善加算(Ⅳ)
介護職員処遇改善加算(Ⅴ)

「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」

・キャリアパス要件

  • Ⅰ.職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
  • Ⅱ.資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
  • Ⅲ.経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

・職場環境等要件
賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取組を実施すること

POINT

介護職員処遇改善加算の有無は職員の処遇改善に取り組んでいる事業所の証明となる

介護職員処遇改善加算(Ⅰ)を取得している場合だと、介護職員1人当たり月額 37,000円相当の給付額となり、介護職員処遇改善加算(Ⅴ)になるにつれて給付額は下がっていきます。キャリアパス要件2つの違いで倍以上の金額の差が生じることになりますので、確認せずに入職した場合「思っていたより処遇改善手当が少なかった」となる可能性があります。

処遇改善手当は給料アップにつながるの?

処遇改善加算は利用者のサービス利用料に上乗せする形で請求し、得た加算額(給付額)を介護職員へ支給する形となります。

令和2年度介護従事者処遇状況等調査によると、

加算を「取得(届出)している」事業所が93.5%、
加算を「取得(届出)していない」事業所が6.5%となり、加算(Ⅰ)を取得している事業所は75.6%となっています。

介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得(届出)している事業所で働く介護職員は、平成31年2月と令和2年2月の状況を比較すると、平均給与額が18,120円アップしていることが分かります。

介護職員処遇改善加算による給料アップの恩恵は、大いにあるといえるでしょう。

しかし注意点もあります。厚生労働省の表通りの金額が給料にそのまま上乗せされるわけではない、ということです。介護職員処遇改善加算(Ⅰ)を取得している事業所といっても、介護職全員が同額の37,000円増えるわけではないのです。月給(基本給)や賞与に反映、手当として支給となり、処遇改善手当の支給方法や時期・金額は事業所によって異なります。

2019年創設 特定処遇改善加算とは?

介護職員処遇改善加算は介護職員全員を対象としています。一方で、2019年に創設された特定処遇改善加算は経験・スキルに優れたベテラン介護職員が対象となり、介護職員処遇改善加算に上乗せして支給される制度です。
(介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行う)

特定処遇改善加算の目的は、ベテラン介護職員の離職を防止することです。キャリアを重ねても給料アップしない、技術や業務と見合わないといったネガティブなイメージを払拭する昇給の制度となります。

POINT

特定処遇改善加算は、介護職員のやりがいと定着率向上につながる

処遇改善手当の特徴

処遇改善手当は、介護サービスに従事する介護職員の賃金改善に充てることを目的に創設されたものです。

介護職員が賃金アップを実感できるような仕組みにすること

確実に介護スタッフの給与へ反映し、賃金水準を改善させる(スタッフが給料アップを実感できる)ことを明確にしなければいけないという特徴があります。そのため受け取った加算金を事業所の備品の購入費や研修費用、交通費、福利厚生として活用することはできないと定められています。
また、賞与を減額して処遇改善加算で充てることも算定要件を満たさなくなりますし、支給項目についても表記を分かりやすくする必要があります。

例えば、「基本給/賞与に含んでいます」というのはNG!
「処遇改善加算手当」「臨時賞与」といった、誰がみても分かるような表記であることが大切です。

雇用形態は問わず支給すること

処遇改善手当の支給対象は、「直接介護を行っている介護従事者」となります。

正社員だけでなく、契約社員やパート、派遣社員といった雇用形態は問われません。

よく「パートだから処遇改善手当がもらえない」「扶養の範囲内で働いているからもらえない」といった話は聞きますが、直接的に利用者と関わる介護職員であれば支給対象に含まれます。支給されていない場合は、事業所に確認してみましょう。
またパート勤務をされている方の中には、処遇改善手当が給料に含まれることで扶養の範囲を超えてしまうケースがあります。この場合は、事業所と相談し、扶養の範囲内を超えないように勤務時間の調整などを行う必要があるでしょう。

介護職でも処遇改善手当がもらえないケースがある!

柔軟な処遇改善手当ですが、実は介護をしていてももらえないケースもあります。

処遇改善手当は、直接的に利用者と関わり介護を行っている職種(介護従業者)が支給の対象となります。

ケアマネージャー、 看護師、生活相談員、事務員、調理師など間接処遇職員(介護従事者以外の職種のみに従事している方)については対象外となるのです。

例えば、「調理担当と介護職」「事務職員と介護職」「管理者と介護職」「ケアマネージャーと介護職」など、兼任するケースでは認められる場合があります。介護職を兼務する職員であっても、常勤換算上勤務時間の算入が認められる場合は支給対象に含まれるとされています。筆者はグループホームのケアマネージャーと介護職を兼務で勤務していましたので、基本給に加えて各種手当がつき、処遇改善手当も支給されていました。

まとめ

処遇改善手当の対象となる人や条件、支給方法、新設された特定処遇改善加算との違いについて紹介しました。介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算は、介護職の給料に大きく関わってきます。

処遇改善手当がある事業所は、職場環境やスキルアップ制度などを整備している「働きやすい」「やりがいのある」職場である可能性が高いので、職場選びのひとつの目安になります。

介護の資格を活かし介護職としてスキルアップを目指すなら、加算の取得状況や取り組みをしっかり確認することが大切です。また、現在介護職として働いている方は職場の加算条件と状況を知ることで、自身の資格取得や在籍によって事業所にどれぐらい恩恵があるのか知ることができますね。そうすることによって、より職場間と対等な立場で向き合うことができるでしょう。

介護職の求人は多いですが、基本給だけでなく処遇改善手当もチェックし、ご自身が働きやすい職場や高収入を目指せる職場を見つけましょう。

カイゴジョブアカデミーなら処遇改善加算を取得している事業所への職業紹介を積極的に行っています。資格取得と就職をセットでお考えの方はぜひ一度お問い合わせください。

吉田あい写真
この記事の著者吉田あい
プロフィール
大阪府出身。現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」「介護現場におけるリスクマネジメント」
特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。
カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。
保有資格
介護支援専門員(ケアマネージャー)、介護福祉士、社会福祉士、メンタル心理カウンセラーなど