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更新日:2022/10/28

介護職は専業主婦からの転職に向いてるって本当?実は介護に超役立つ?専業主婦の○○スキル!

介護職は専業主婦からの転職に向いてるって本当?

長引くコロナ禍による働き方や収入への影響に加え、物価上昇で家計が大打撃を受けるいま、生活費の足しに…と介護職を検討する専業主婦の方が増えています。

しかし、「主婦業の経験しかない、介護の仕事ができるのだろうか」と不安感を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、人材不足の介護業界を支える担い手として家庭と仕事を両立させながら活躍でき、専業主婦のスキルを存分に活かせる働き先として注目されている介護職についてご紹介します。

専業主婦から介護職へ転職するメリットや活かせるスキルなどもお伝えしますので、介護職に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

専業主婦から介護職へ転職する4つのメリット

専業主婦から介護職へ転職するメリットは主に4つあります。

1.女性が働きやすい環境

令和2年度に行われた介護労働実態調査によると、介護職で働く女性の割合は72.3%、男性は20.9%で、平均年齢は47.5歳でした。調査結果から分かるように、介護の現場は女性が多く活躍しています。40代というと子育てや親の介護をしている方が多い年代ではないでしょうか。

介護職が40代女性にとって活躍しやすい職場である理由として、以下のような女性が働きやすい環境が挙げられます。

●ライフスタイルに合わせた勤務

介護の仕事は基本的にシフト制なので、ご自身のライフスタイルに合わせた勤務時間で仕事をすることが可能です。
また訪問介護の場合は、職場によって利用者の自宅からの直行直帰、週1日数時間からの短時間シフトで働くことができますので、子育て中の方も子供の学校行事に合わせて働くことができるでしょう。

●未経験でもOK

介護経験がない方、長年専業主婦として頑張ってこられた方は、介護の仕事に不安を持つ方が多いかと思います。
しかし、介護の仕事は日々の家事スキルや子育て経験を活かせる仕事です。
介護の経験はなくても料理や洗濯、掃除のスキルは介護現場でも重宝されるでしょう。

身体介護等については介護職員初任者研修の受講や入職後の研修などで学ぶことができますので、未経験の方も安心です。

●スタッフ同士、助け合いの精神

「子供が急に熱を出して休まなければいけない」子育て中の主婦が働くとなると、こんなトラブルは日常茶飯事です。
介護の現場は女性が多い職場なので、同じように育児中の方や子育てを終えた先輩ママもたくさん働いています。
トラブル時にはお互いが協力してフォローする環境が整っているところが多いので、小さいお子さんがいる方や家族の介護をされている方も働きやすい職場が多いでしょう。

2.安定性がある

介護業界は人材不足なので求人数が多く、転職先に困ることが少ないことが特徴です。
未経験・無資格でも転職しやすいというメリットがあり、その中でも有資格者は無資格者に比べて正社員として採用されやすい傾向にあります。
介護未経験・無資格の方は、介護職員初任者研修を修了することで正社員登用と資格手当による給料アップが望めます。
また介護職はコロナ禍で不安定な雇用情勢の中でも安定した就業先があります。

3.年齢を重ねても働ける

一般企業では35歳が転職の壁といわれています。
30代半ばを過ぎると、経験のない業界や職種への転職が厳しくなるという理由からです。
たとえスキルやキャリアがあっても若手人材の採用ニーズが高い企業が多く、年齢を重ねるごとに転職のハードルが高くなっていきます。
一方で介護職の平均年齢は47.5歳とされ、10代~70代といった幅広い年代の方が活躍しています。
ミドル・シニア世代からスタートした方も多く、年齢を重ねた方もチャレンジしやすい職種です。
職場によりますが年齢やその人のスキルに合わせた仕事があり、人材ニーズも高いので年齢を重ねても長く働き続けられるでしょう。

実際に専業主婦から介護職として働き始めた方にお話を聞きましたが、50代後半からの挑戦だったようです。

関連記事:銀行員、約30年の専業主婦生活を経た50代女性が、介護の仕事に就いた理由

4.将来性がある

介護業界はキャリアパス制度が整っているので、「資格」と「経験」で給与上昇とポジションアップを目指すことができます。
「介護職員初任者研修」や「介護福祉士」「ケアマネジャー」などの資格を取得していくと、キャリアアップや資格手当で給与アップを目指せるので将来性が高い職種といえるでしょう。

介護現場では専業主婦から介護のプロフェッショナルとして、家庭と仕事を両立しながら活躍されている方が多くいらっしゃいます。

介護職で活かせる専業主婦の○○スキル!

介護現場では主婦のスキルが求められる場面が多くあります。
介護職で活かせる専業主婦の主なスキルは、以下の5つです。

1.家事スキル

介護の仕事は排泄介助や入浴介助など身体的なケアだけではありません。
利用者様が気持ちよく日常生活を送れるようサポートするのも大切な業務のひとつです。

例えば、訪問介護では生活援助という介護サービスがありますが、調理や配膳、洗濯、掃除など在宅生活を送る利用者様の自立した生活を目指したサポートを行います。
またグループホームでは認知症の利用者様とともに調理や洗濯、掃除などを行うことも多いため、家事スキルがある方は重宝されるでしょう。

これまで家族のために行っていた家事スキルを介護の現場で活かすことができます。

2.人生経験

介護施設の面接では「専業主婦の経験しかないので…」と仕事に自信がない方がたくさんいらっしゃいますが、これまでの人生経験は全て介護現場で活かせるスキルにつながります。
利用者様には長年専業主婦をされてきた方が多いので、共通の話題で盛り上がったり相手の気持ちに寄り添ったケアができるでしょう。
筆者の経験上、認知症になっても一番輝いていた頃の記憶、例えば子育てをされていた時代のことを覚えている方は実に多いものです。
子育ての先輩として話を聞いたり若手介護職員には話さないような夫や嫁の話など豊富な話題で盛り上がることも多いでしょう。

3.コミュニケーションスキル

介護の仕事はコミュニケーションが重要です。
利用者や家族とのコミュニケーションはもちろん、スタッフ間や他職種と関わる機会が多いためコミュニケーションスキルが求められます。
筆者の経験上、専業主婦の方は比較的コミュニケーションスキルが優れている方が多く、また、コミュニケーションを取ることが好きな主婦はニーズが高いです。

「専業主婦だから…」と自信がない方も、これまで町内会や子供の学校行事、PTA活動の参加をはじめ、ママ友会や親戚付き合いなど様々な世代の方と交流し、様々な経験をされてきたかと思います。
そこで培った順応性や親しみやすさ、基本的なマナーを兼ね備えたコミュニケーションスキルは介護職員に求められる最も必要なスキルの一つになります。
介護の現場では、「ごく普通の会話ができること」や「相手の立場にたった会話ができること」が重宝されるのです。

4.マルチタスク

介護の仕事では計画性をもった業務や臨機応変な行動が求められます。
このようなとき専業主婦で養ったマルチタスクのスキルは、介護現場で役立つでしょう。
例えば、「朝起きて洗濯をスタートさせ朝食準備、片付け、子供の学校の準備をして送り出し掃除をする」朝の一コマだけでも複数のタスクを同時並行で行っていますよね。
「料理をしながらキッチンの片づけをしたり、掃除や子供の宿題を見る」こともマルチタスクのひとつです。

介護現場では1人の利用者様に付きっきり、というわけにはいきません。
1人の利用者様のケアをしながらフロアー全体を見守り、変化がないか気づく力が求められます。
専業主婦の方がもつ、マルチタスクの中にある観察力も大いに活かすことができるでしょう。

5.子育て経験

高齢者介護と育児は異なりますが、「加齢によって赤ちゃんに回帰する」という言葉を聞いたことはありませんか?

例えば、これまでできていた排泄や入浴、食事などに介助が必要になったり、赤ちゃんが母親の抱っこ以外では泣いてしまうように、介護をする相手を限定する などがあります。
コミュニケーションも分かりやすい言葉を使ったり、聞き取りやすいトーンで話したり、視聴覚を大事にすることも同様です。
利用者様に対しての尊厳を守ったケアは最も重要なことですが、実際にケアをしていると「子育てで経験したことがあるな」と感じる方は多いでしょう。

筆者には5歳の息子がいますが、86歳の祖母と同居しているので2人の様子をみていると「似ているなぁ」と実感する部分があります。

例えばこのような経験です。

排泄はひとつずつ手順を説明し、自分でできるところはしてもらい、できない部分をサポート。
近年では自立したストレスのない生活を目指して“脱おむつ”を取り入れている介護施設が多いですが、子供のトイレトレーニングの経験も大いに役立つでしょう。

そして、食事は食べやすく誤嚥しないように年齢や状態に合わせて工夫したり、
拒否があれば話題や接し方を変えてみる。
夜は安心して眠りにつけるよう温かい声かけをする。

また、視聴覚が敏感で顔の表情や声のトーン、身振り手振りなど非言語コミュニケーションが重視されることも、高齢者と子供は似ていますね。

このように育児の経験が介護の仕事に通じる部分はたくさんあるので、ケアに役立てることができるでしょう。

筆者の体験談 専業主婦から介護職に転職された方の事例

専業主婦をされてきた方が介護職として活躍されている事例をご紹介します。

昼食トラブルを回避したAさん(女性36歳)

子供が小学校に入学したことをきっかけに介護職になったAさん。
Aさんが面接にこられたとき「主婦しかしてこなかったので、介護の仕事ができるか不安なんですが…」と自信がない様子が印象的でした。

Aさんが日勤業務をしていたとき、調理場にトラブルがあり昼食が届かないことがありました。
グループホームなのである程度の食糧は冷蔵庫に入っているのですが、周りのスタッフは若手スタッフばかり。
ありあわせの材料で18人分(9人×2ユニット)の昼食作り…何をどうすればいいか混乱する中、「よし、かきたまうどん・肉炒め・ほうれん草のお浸しにしよう!」と一声。
即座に献立を決め、手際よく調理しながらスタッフに指示をするAさん。
人手もいなかったので1ユニットで2ユニット分の調理をすることに。
利用者様も一緒に野菜を切ったりうどんを茹でたり…トラブルはありましたが、にぎやかな昼食となりました。

冷蔵庫の食材を見て献立を決め調理するスキルは専業主婦として長年活躍されてきたからこそ。
Aさんにとっては当たり前の家事スキルなのかもしれませんが(18人分は多いですが…)、その姿をみた若手スタッフ達は「主婦ってかっこいいな」と尊敬のまなざしでした。
そんなAさん、介護職3年目で介護福祉士に合格し現在は介護リーダーとして活躍されています。

三角おにぎりの先生になったNさん(女性45歳)

グループホームで人気のメニューはおにぎり。
通常は茶碗に盛った白ご飯を提供しますが、「おにぎりにして」とリクエストする利用者様は多いものです。
ある日、筆者がフロアー業務をしているときに「三角おにぎり食べたい」とのリクエストが。
「よし、任せて!」と言ったものの私は三角おにぎりが苦手。
なんともいびつな形のおにぎりに「こんなのおにぎりちゃうわ」とダメ出し。
そのやり取りを見ていたNさんが笑いながら三角おにぎりを握ってくれました。
Nさんは結婚後専業主婦をしていましたが、子供の大学の入学費用を稼ぎたいという理由で入職された方です。

Nさんの握るおにぎりは、レシピ本に載っているようなきれいな三角。
リクエストした利用者様は「私でもこんなきれいに作られへんわ、教えて」と。
そして始まったおにぎり教室。
フロアーにいた女性利用者様たちがひとつのテーブルに集まり、Nさんのおにぎり講義を受けることになりました。
もちろん筆者も参加。

Nさんは「息子の部活で毎日作ってたから慣れてるねん」と話し、ここからおにぎりを握りながら女性たちの井戸端会議はスタート。
元専業主婦が作るひとつの三角おにぎりも、介護の現場ではレクリエーションになるのです。

キッチンの主、Yさん(女性75歳)

Yさんは専業主婦を経験され、お母さまの介護をきっかけに介護職に転職。
「介護の経験を仕事でも活かしながら、現場の知識やスキルを家庭の介護でも活かしたい。」
こんな思いを持ちながら、介護職兼調理スタッフとして活躍されています。
家庭の都合があり日勤と遅出を中心に出勤しているので、昼食と夕食はYさん担当が多くありました。

Yさんが入った後のキッチンはいつも整理整頓されきれい。
そしてその日の利用者様の状況に合わせ、食べやすさや味付けを考慮しながら調理してくれています。
「食べたくない」という利用者様がいると、キッチンから「栄養たっぷりやから食べてね」と声かけし、食べる様子を見守り。
食べにくそうにしている様子があれば、食材をカットしたり一口サイズのおにぎりにしたり…
また、食べ方や量に変化があったときはすぐに報告してくれます。

子育て経験を介護職に活かすNさん(女性40歳)

介護職員初任者研修を取得後、パート介護職として入職したNさん。
3人の子供を育て、子供が小学生になったことをきっかけに介護の仕事に就きました。
食事や入浴介助、排泄交換も初めてでしたが慣れた手つきで介助はスムーズ。
「介護経験はありませんが、子育て経験が活かせました」と話されました。
一番苦労されたのはベッド上でのオムツ交換です。
子供のオムツ交換はされていたので手順などは完璧でしたが、サイズが異なるため同じようにとはいかず。
先輩スタッフにボディメカニクスを学びスムーズにできるようになりました。
その後、実務経験を重ね介護福祉士を取得。
現在は介護リーダーとして活躍されています。

染み抜きのプロSさん(女性50歳)

介護現場ではカレーなどの食べこぼし汚れや排泄物、血液など衣類に様々なシミがつきます。
職場にはどんなシミでもきれいに落とす元専業主婦のSさんがいます。
シミは汚れの種類によって対処方法が異なりますが、若いスタッフは洗濯やシミ抜きの知識が不十分なことも多いです。
しかしSさん、瞬時にシミの種類を見抜き適切に対応しきれいにしてくれるのです。
例えば血液や汗などタンパク系のシミは温かい湯で洗うとタンパク質が固まり落ちにくくなってしまうので厳禁。
水かぬるま湯でもみ洗いした後、酵素系漂白剤をかけ洗濯します。
なぜSさんがシミ抜きに長けているのかというと、長年の主婦歴で子育てや親の介護などで様々なシミを洗濯したからだそうです。
実はこのシミ抜き介護福祉士国家試験で出題される問題なのです。
シミの適切な処理方法や洗濯表示など主婦の知識やスキルは、介護現場だけでなく介護福祉士を取得するうえでも役立ちます。

まとめ

専業主婦から介護職へ転職するメリットや活かせるスキルを紹介しました。

介護現場には家庭と仕事を両立させながら活躍している方がたくさんいます。

「家族をサポートするように、利用者様の心身の健康をサポートする」

主婦の視点や相手に寄り添ったケアは、一長一短でできるものではなく長年家庭で養われたスキルなのでしょう。

専業主婦の経験やスキルを活かしながら適性や都合に合わせて働ける介護の仕事は、専業主婦からの転職におすすめです。

カイゴジョブアカデミーでは介護の基本的な知識とスキルを学べる介護職員初任者研修を開講しています。
介護職員初任者研修を修了すれば不安なくケアに向き合うことができ、転職にも有利。
介護の資格を取って、専業主婦の経験を活かせる介護職を目指してみませんか?

この記事の著者

吉田あい

大阪府出身 現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」
「介護現場におけるリスクマネジメント」

特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、
介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、
介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。

カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、
実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。

【所持資格】
・介護支援専門員(ケアマネージャー)
・介護福祉士
・社会福祉士
・メンタル心理カウンセラー
など