<先輩に聞く!どうして介護の仕事を続けるの?vol.1>トラック運転手から転職して3年。介護福祉士の私が収入アップの次に目指すもの
私が介護を続ける理由「介護は優しさをお金に変えることができるから」
「みんなの介護転職ストーリー」、今回の主役は木下純一さんです。今から3年前、トラック運転手から介護職へと転職された木下さん。今年3月には国家資格である介護福祉士を取得し、現在はオープニングスタッフとして入職した有料老人ホームでご活躍されています。前回、仕事に求めるものとして「最優先は安定した収入」と語っていた木下さん。3年の介護職を経て、今も介護職を続ける理由、そして最も大切にしていることは何なのかお伺いしました。
2021年3月~6月 介護職員初任者研修修了/天王寺校
2021年7月~10月 介護福祉士実務者研修/天王寺校
2021年3月 ショートステイに就職
2024年3月 介護福祉士を取得
2024年5月 介護老人保健施設に転職
2024年8月 有料老人ホームにオープニングスタッフとして転職
<前回の記事はこちら>「介護は”稼げる”仕事?トラック運転手から介護職になった30代男性が語る収入アップの秘訣とは?」
※本文中の各種手当、給与、賞与に関する記載は個人の事例です。
「実務経験見込み」で介護福祉士一発合格!
Q:介護職として3年のご経験を積まれてきましたね。どんな3年間でしたか?
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Q:期待や想像と異なることもあったのですね。
木下さん: そうですね。介護の求人というと、笑顔の高齢者が乗った車いすを介護士が後ろから押しているような写真が多く見受けられますが、実際はそう穏やかでないことも日常茶飯事です。「自分が想像する介護の仕事と現実とは違うかも」という心構えがあるとよいかもしれませんね。
Q:そうしてご経験を積まれて、今年1月に介護福祉士を取得されたのですね。
木下さん: はい。受験資格として3年間の実務経験が必要なので本来なら来年度の試験になりますが、私は「実務経験見込み(※)」で受験し、幸運にも1回で合格することができました。
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Q:介護福祉士を取得して給与は増えましたか?
木下さん: はい。取得した当時はショートステイにいたんですが、基本給が16万円くらいだったんですよね。介護福祉士になって夜勤手当が8,000円から1万円にアップして、処遇改善加算などもついて手取りが22~23万円から24~25万円に増えましたね。
年収アップ、キャリアアップを見込んで介護老人保健施設へ
Q:そして今年5月にショートステイから老健へ転職されたのですね。どんな理由から転職を?
木下さん: 介護福祉士として違う環境で勉強して経験を積みたかったのと、収入も増やしたかったので転職しました。そのまま同じ職場で働き続けても良かったのですが、資格取得したてのタイミングのほうが転職しやすいかなと思ったので転職しました。
Q:介護福祉士として転職して、さらに給与は増えましたか?
木下さん: 増えました。介護福祉士として転職した老健では基本給が約18万円にアップしました。夜勤手当は7千円に下がったものの、処遇改善加算などの手当が付き、手取りは27~28万円くらいまで増えました。そこへボーナスも3.8か月分ついたので、年収だと400万円近くまで行きましたね。
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Q:給与以外で介護福祉士取得後の変化はありましたか?
木下さん: 接遇に対する意識が変わった気がします。「あの人介護福祉士持っているのにあんな接遇するなんてダサい」って思われないようにしたというか(笑)。例えばスピーチロック(※)は絶対にせず「どうしたんですか?」から入るようにするとかですね。資格取るために勉強したことは頭に残っているので、仕事に活かせていることはたくさんありますよ。
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「なんでもするのが優しさ」ではない。それが自分のポリシー
Q:老健でのお仕事はいかがでしたか?
木下さん: 留学生とか若手もいて、何か聞かれたら丁寧に教えるように心がけていました。10年後、20年後も一緒に働けたら素敵やなーと思ってたんで。老健は若手が成長できる環境が整っていたので指導もしやすかったですね。
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Q:印象的な思い出はありますか?
木下さん: そういえば接遇ではかなわないなと思った後輩がいましたね。入浴介助をしていたときのことなんですが、僕の後ろでその後輩が別の利用者さんの対応をしていたんです。何気なく会話の内容を聞いていると、「〇〇さん、次は左腕を洗いますね」とか「次は足を洗います」とかちゃんと利用者さんに伝えていました。これって当たり前だと思われるかもしれませんが、介護現場で介護の基本をしっかりおさえている介護士は意外と少ない。その後輩は介護未経験で初めての介護職なのに、利用者さんの不安な気持ちを汲み取って、何のために何をするのかを伝えることの大切さを理解していたんですよね。
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Q:素敵ですね。木下さんも、日々のお仕事で大切にされていることや、こだわっているポイントなどはありますか?
木下さん:
こだわりはありますよ。例えば利用者さんが離床したときに布団をキレイに畳んでカーテンもきれいにまとめておくとかですね。そこに10秒とか20秒とか多めに時間をかけるだけで、ご利用者さんはもちろん、ご家族がご覧になったときにも気持ちがいいじゃないですか。そのあたりは意識してますね。
あと利用者さんにいわゆる「ため口」で話さないようにしています。まるで子どもをあやすような言い方をするのは、良くないと思っているので。
Q:前回の記事で「介護は優しさのある人に向いている」とおっしゃっていましたが、今のお話も優しさにつながりますね。木下さんにとっての優しさとはどんなことですか?
木下さん: ひと言で言うと、「なんでもするのが優しさではない」。利用者さんに残存能力(※)を使っていただけるように、介護職が見守りに徹してあえて手を出さないことも優しさだと思っています。中には、車いすで自走できる利用者さんなのに、押してあげることが優しさだと考える介護士もいると思うんです。でも自分にとってはそれは優しさではないというか。冷たいと思われるかもしれないけど、僕は利用者さんが残存能力を使う機会をなるべく増やしたい。だから、「ここまで来てくれたらあとは僕が押しますよ」と目標を作ったりはしますね。人によって考え方が違うので難しいなと感じます。
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どっちが優しさ?常に天秤にかけながら自問自答の日々
Q:前回の記事で「最優先は安定した収入」とお話しされていましたが、仕事に対する優先順位に変化はありましたか?
木下さん: ないですね。今でも一番大切なのは安定した収入だと思っています。ただ介護の良いところは優しさをお金に変えられるところなんですよね。誰だって生活できなかったら優しさどころじゃないと思うのですが、介護は優しさをもって仕事ができて、それが給与として返ってくる。例えば入浴介助一つとっても、限られた時間の中で少しでもきれいにしてあげたい気持ちって優しさですよね。それでお給料がもらえるなんて良くないですか。
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Q:介護の仕事において、一番のやりがいはなんだと思いますか?
木下さん: そうですね…初歩的なことですけど、何かして「ありがとう」と言われることって素敵じゃないですか。ありがとうって言われてお金も稼げて、僕にしかできない優しさを考えて提供して、またありがとうって言われて…。もし髪の毛が乱れていたら櫛でといてあげて、それをコツコツと続けていく。そういうことなんじゃないでしょうか。
オープニングスタッフとして有料老人ホームに転職!さらに経験を積んで、サ責や施設長を目指したい
Q:今年の夏に有料老人ホームにご転職されたとお聞きしました。
木下さん: そうなんです。オープニングスタッフとして転職しました。施設の立ち上げに関わる中で、色々な勉強ができそうだなと思ったんです。
Q:オープニングスタッフとしての新しい仕事は順調ですか?
木下さん: オープンしたばかりでまだ満床になっていないこともあり、割とゆったりと仕事ができています。フロアリーダーや施設長と協力しながら業務にあたっています。
Q:最後に、これからの目標などがあれば教えてください!
木下さん: 介護職としてもっとキャリアアップしていきたいと思っています。今の職場での経験も生かして、サ責(※)や施設長を目指していきたいですね。
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インタビューを終えて
3年前と変わらず、一番大切なのは「安定した収入」だと語ってくれた木下さん。介護現場は必ずしも期待どおりではないことも教えてくれました。そのうえで、ふと口にされた「介護は優しさをお金に変えられる仕事」という言葉。思わず胸が熱くなると同時に、ご利用者や後輩に向けられる優しいまなざしこそが介護のプロフェッショナルだなと感じました。介護福祉士の取得や介護職としての長期的なキャリアに興味がある方は、ぜひ木下さんのストーリーを参考にしてみてくださいね!
<前回の記事はこちら>「介護は”稼げる”仕事?トラック運転手から介護職になった30代男性が語る収入アップの秘訣とは?」
「みんなの介護転職ストーリー」でご紹介している方々は、無資格・未経験から介護業界に挑戦したカイゴジョブアカデミーの卒業生です。皆さんが活用された「特待生キャンペーン」なら、自己負担なしで「介護職員初任者研修」の資格を取得でき、さらに介護職専門のキャリアアドバイザーによる就職先の紹介も受けられます。資格が1つあるだけで、給与や待遇がアップし、就職・転職時にも大変有利です。下記リンクからそれぞれ詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
木下さん: そうですね、自分の想像とは違うことがたくさんありました。たとえば、最初に介護職として就職したのがカイゴジョブアカデミーに紹介していただいたショートステイだったのですが、ショートステイといいつつ何年も入居し続けている利用者の方もいて、特養のような一面もあったんですよね。認知症の方とコミュニケーションをとる機会も多く、難しさを感じることもありましたし、自分が抱いていたショートステイのイメージとはかなり違っていました。
だから、自分が作り上げた介護のイメージと実際の現場は違うんだという学びになりましたね。「期待しすぎないほうがいい」という教訓にもなったかもしれません。でも逆に、自分の幅が広がったというか、想定外の出来事を通じて自分のスキルが磨かれていくという良さもあると思います。