介護福祉士実務者研修は通信だけで取得できる?費用・期間からスクールの選び方をご紹介

介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)は介護の専門的な知識とスキルを身に付ける資格です。介護福祉士国家試験の受験要件でもあり、ワンランク上の介護士を目指すためにはマストの資格とも言えます。しかし、仕事や家庭と資格の取得を両立できるか不安に思う人も多いはず。毎日がいそがしいため、なるべくスクールに通学せず通信学習だけで取得したいと考えている人もいるかもしれません。今回は実務者研修は通学せずに通信だけで取得できるのか、詳しく解説していきます。
目次
介護福祉士実務者研修は「通信のみ」で
取得できる?
結論からお伝えすると、実務者研修を通信学習だけで取得することはできません。理由として、実務者研修は全450時間のカリキュラムのうち、一部は通学して学ぶ必要があるからです。実務者研修には、介護職員初任者研修(以下、初任者研修)やヘルパー1級、2級などの保有資格によって免除される科目はありますが、実技演習を含む通学(スクーリング)が必須となる科目は、どの資格を保有していても免除にはなりません。そのため、実務者研修は自宅での「通信学習」のみや独学で取得することはできないのです。
ただし、すべての科目を通学で学ぶ必要はありません。「通信+通学(スクーリング)併用講座」では、ほとんどの科目を通信学習で修了できます。実務者研修は、働きながら資格を取得する人が多いため、仕事との両立を前提にカリキュラムが設計されているのです。
実務者研修を通信講座で取得するための費用は?
実務者研修の全国的な費用相場は約3万円から20万円と幅があります。これは保有資格によって免除科目があるからです。免除される科目の数が多ければ受講時間が減り、受講料も安くなります。
以下に保有資格ごとの費用相場を表にまとめました。参考にしてください。
| 保有資格 | 費用の相場 | カイゴジョブアカデミーの費用 (税込・テキスト代込) |
|---|---|---|
| 無資格者 | 約11~20万円 | 110,000円 |
| ヘルパー3級 | 約10~13万円 | – |
| 初任者研修・ ヘルパー2級 |
約8~12万円 | 80,000円~ エリアにより異なる |
| ヘルパー1級 | 約5~9万円 | 55,000円 |
| 介護職員基礎研修 | 約3~6万円 | 33,000円 |
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実務者研修の保有資格ごとの
通信学習と通学にかかる時間・日数は?
実務者研修のカリキュラム全450時間は厚生労働省によって定められています。どのスクールで受講してもカリキュラムは変わりません。資格取得のためには保有資格ごとに受講が必要なすべてのカリキュラムを履修しなくてはいけません。ここからは保有資格ごとに受講が必要となる科目と、各科目の履修時間をご紹介していきます。
実務者研修における通信学習の時間・日数
実務者研修の通信学習は決められた課題をeラーニングやレポートで提出する形式が一般的です。通信学習時間は無資格者の場合は405時間を上限として、日数は6か月ほどかかります。ただしヘルパー1級や介護職員基礎研修を保有していれば50時間になるなど、通信学習に必要な時間は保有資格によって大きく変わります。
以下にそれぞれの科目ごとにどれくらいの時間が設定されているのか保有資格別に表にしました。参考にしてください。
| 科目 | 無資格 | ヘルパー3級 | ヘルパー2級 | 初任者研修 | ヘルパー1級 | 介護職員基礎研修 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 人間の尊厳と自立 | 5時間 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 社会の理解 I | 5時間 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 社会の理解 II | 30時間 | 30時間 | 30時間 | 30時間 | 免除 | 免除 |
| 介護の基本 | 10時間 | 10時間 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 介護の基本 II | 20時間 | 20時間 | 免除 | 20時間 | 免除 | 免除 |
| コミュニケーション技術 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 免除 | 免除 |
| 生活支援技術 I | 20時間 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 生活支援技術 II | 30時間 | 30時間 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 介護過程 I | 20時間 | 20時間 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 介護過程 II | 25時間 | 25時間 | 25時間 | 25時間 | 免除 | 免除 |
| 発達と老化の理解 I | 10時間 | 10時間 | 10時間 | 10時間 | 免除 | 免除 |
| 発達と老化の理解 II | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 免除 | 免除 |
| 認知症の理解 I | 10時間 | 10時間 | 10時間 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 認知症の理解 II | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 免除 | 免除 |
| 障害の理解 I | 10時間 | 10時間 | 10時間 | 免除 | 免除 | 免除 |
| 障害の理解 II | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 免除 | 免除 |
| こころとからだのしくみ I | 20時間 | 20時間 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
| こころとからだのしくみ II | 60時間 | 60時間 | 60時間 | 60時間 | 免除 | 免除 |
| 通信可能上限時間 | 405時間 | 375時間 | 275時間 | 275時間 | 50時間 | 50時間 |
参照元 厚生労働省:「実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について」※PDFが開きます
実務者研修における通学学習の時間・日数
実務者研修で通学にかかる日数は6~10日ほどです。「医療的ケア」の講義と演習時間は受講時間数の規定はないため、スクールによって時間には差があります。介護職員基礎研修を保有している場合は「介護過程Ⅲ」の45時間が免除されます。
| 科目 | 無資格 | ヘルパー3級 | ヘルパー2級 | 初任者研修 | ヘルパー1級 | 介護職員基礎研修 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 介護過程 III(スクーリング) | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 免除 |
| 医療的ケア | 12~16時間 | 12~16時間 | 12~16時間 | 12~16時間 | 12~16時間 | 12~16時間 |
| 通学時間 | 57~61時間 | 57~61時間 | 57~61時間 | 57~61時間 | 57~61時間 | 12~16時間 |
参考 厚生労働省:「実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について」※PDFが開きます
実務者研修を通信講座で取得する
メリット・デメリットは?
ここからは通信講座のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
通信講座のメリットは主に以下の2つです。
- 自分のペースで学習を進められる
- 通学講座に比べて費用を抑えられる傾向がある
自分のペースで学習が進められるため、働きながらでも無理なく学習が両立できます。カイゴジョブアカデミーのようにeラーニングを実施している場合、インターネットが繋がれば学習場所を選ばないため、通勤中や仕事の休憩時間といったスキマ時間で学習できることもポイントです。
また全カリキュラムを通学で学ぶ通学講座より受講料金が抑えられることもメリットです。実務者研修の全国的な費用相場は約3万円から20万円と幅がありますが、講師やスタッフなどの人件費、教室などの設備費がかからない分、通学講座よりも通信講座の方がお得な金額が設定されていることが多いです。
デメリット
通信講座のデメリットは主に以下の2つです。
- 自己管理能力が求められる
- 疑問点をその場で質問しにくい場合がある
実務者研修の通信講座は、自分で学習管理をしなくてはいけないといった面があります。スケジューリングが苦手な方や、学習に対するモチベーションが維持できるか不安な方は、通学講座での学習を視野に入れても良いでしょう。
また、通信講座では学習中に疑問が生じても、その場で講師に質問することはできない点も、デメリットと言えます。
実務者研修の通信講座の選び方のポイントは?
実務者研修の通信講座の選び方には、受講料金だけでなくその他の重要なポイントがあります。ここからは、働きながらでも無理なく受講するための通信講座の選び方をご紹介します。
通いやすい教室がある講座を選ぶ
実務者研修のカリキュラムは、通信講座であっても「介護課程Ⅲ」「医療的ケア(演習)」は通学で学ぶ必要があります。6~10日ほどの通学期間があるため、家や職場から近かったり、通勤経路の途中にあったりと通いやすい教室のある講座を選ぶことがポイントです。自動車通勤の方は、教室近くに駐車場があるかも確認しておきましょう。
自分に合ったスケジュールのコースを選ぶ
仕事や家庭と資格取得の両立を目指す場合はコース選びも重要なポイントです。土日や曜日固定など、各スクールでさまざまなコースが用意されています。働きながらでも無理なく受講できるように、仕事が休みの日に開講しているコースを選ぶと良いでしょう。現在、休職中で平日をフルに使える場合は、週3回の通学コースなど短期間で資格取得を目指すことも可能です。
サポート体制が充実しているスクールを選ぶ
スクールによってサポート体制はさまざまです。働きながら受講する人には、サポート体制が充実しているスクールをおすすめします。急な用事でやむを得ず欠席する場合は振替受講ができるか、修了試験があるスクールの場合は落ちてしまった場合に再試験ができるかなどは、必ず確認しておきましょう。また資格取得後「すぐに働きたい」「転職したい」という人は就業支援が充実しているスクールを、介護福祉士国家試験を受験する人は受験対策講座が用意されているスクールを、医療的ケアを現場で行う必要のある人は実地研修先を紹介してくれるスクールなど、アフターサポートが整っているスクールを選ぶことも重要です。
まとめ
実務者研修は通信学習だけでは修了できません。しかし一部は通信学習で学べるため、働きながら資格取得を目指す人でも安心して受講できます。
保有資格によって受講期間や受講費用には差があるものの、基本的には仕事や家庭と両立しながら受講する方のために設計された講座だからです。スクールによってコースやサポート体制はさまざまなので、ご自身のライフスタイルに合ったコースやサポートのあるスクールを選び、最後まで無理のない資格取得を目指しましょう。
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*初任者研修 または 実務者研修
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」「介護現場におけるリスクマネジメント」
特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。
カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。
編集部
介護業界のプロフェッショナルが介護の仕事や資格に関するお役立ち情報をお届けします。