介護職員初任者研修修了者は無資格者とどう違う?

介護職員の男女高齢化が進み、既に4人に1人以上が高齢者(65歳以上)の日本では、介護に携わる人の数が増え続けています。そんな中で、これから介護の仕事を始めてみようかと考えている人や、介護業界に興味がある方はいませんか?
介護の仕事は人と直接やりとりをし、その人の生活を支える、とてもやりがいのある仕事です。同時に、専門的な知識や技術も必要とされる仕事でもあります。
「そんな介護の仕事をするために、最初の一歩となる資格は何でしょうか?」と聞かれたら、私は「介護職員初任者研修」をお勧めします。なぜならこの資格は、講習や講義を通して介護に関する基本的な知識と、技能を身に付ける事ができ、そこからステップアップしていき介護福祉士等の上位資格にもつながっていくからです。
今回の記事では、そんな介護職員初任者研修について、資格の取得方法や待遇、業務内容について紹介していきます。介護の仕事に興味を持っている方がこの記事を読んで、介護の仕事に関する具体的なイメージを持ち、今後の自身の資格取得や仕事に活かしていただければ幸いです。

1.介護職員初任者研修とは

介護職員初任者研修とは、介護に携わる者がその研修を修了することで、業務を遂行する上で最低限の知識・技術と、業務を実践する際の思考プロセスを身につけ、基本的な介護業務を行うことができるようにすることを目的として、2013年4月から実施されている研修です。
それまでは、「ホームヘルパー2級」と呼ばれる資格が、介護の仕事をする上で最初の資格として社会から認知されていましたが、「ホームヘルパー2級」は業務のカバー範囲が、基本的には在宅の方を対象とした訪問介護サービスのみでした。
これに対して、新たに始まった「介護職員初任者研修」では、訪問介護サービスのみではなく、日中の通所介護事業所等での介護業務も行うことを想定してカリキュラムが組まれており、研修修了者はより広い範囲の介護業務に関われるようになっています。
 

カリキュラム

研修カリキュラムの内容は、大きく以下の10項目に分けて講義・演習が行われます。

No. 項目 時間
1 職務の理解 6
2 介護における尊厳の保持・自立支援 9
3 介護の基本 6
4 介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9
5 介護におけるコミュニケーション技術 6
6 老化の理解 6
7 認知症の理解 6
8 障害の理解 3
9 こころとからだのしくみと生活支援技術 75
10 振り返り 4

   合計・・・130時間

以上のように、合計130時間をかけ、介護の基本的な知識と技術を身に付けるカリキュラム構成となっています。
 

取得方法

続いて、介護職員初任者研修の資格の取得方法ですが、この資格はみなさんの住んでいるそれぞれの都道府県で指定された業者が研修を開催しており、そちらを受講し修了することで取得できます。
また、この研修は「通学のみ」か、「通信+通学」での取得が可能となっており、全130時間の研修プログラムのうち、40.5時間を上限として通信で受講することが可能です。
さらに、通学での受講スケジュールについても、自分が受講可能な日程でスケジュールが組まれている講習を選ぶことができます。例えば、土曜のみの講習や、平日の夜間の講習などです。受講期間については、最短1ヵ月程で終了できるものから、4ヵ月程で終了できるものまで受講するコースによって様々です。
このように、修了時には同じ扱いとなる「介護職員初任者研修」ですが、その修了までのスケジュールは人それぞれです。自分の生活に合う形で受講し、修了を目指しましょう。

2.無資格と介護職員初任者研修の違い

介護職員初任者研修の目的やそのカリキュラム等について紹介しましたが、ここでは、介護職員初任者研修を修了することで、無資格者と何が変わるのかという点について、順に紹介していきます。

業務内容の違い

まず、自らが関われる業務の範囲・内容が、無資格者と比べて介護職員初任者研修修了者は各段に広がります。介護の仕事においては、サービスを利用する方の身体に直接触れる「身体介護」は、そのほかの業務とは区別されています。
例えば、サービスご利用者の方の自宅で、介護サービスを提供する訪問介護において、業務内容は「身体介護」、「生活援助」、「通院等介助」に大きく分けられますが、無資格者ができる業務は、総合事業の生活支援の提供などに限られます。
対して、介護職員初任者研修修了者は、訪問介護のサービス全てを行えるようになるため、現場の介護サービス全般に関われるようになります。
 

待遇面の違い

また、給与についても、無資格者と介護職員初任者研修修了者では、差が付きます。
求人票等を参照すると、業務内容として訪問介護員ができる業務とそうではないものでは、時給でも固定給でも前者の方が高くなることがほとんどです。前者は当然、介護職員初任者研修修了者向けの求人であり、後者は無資格者向けの求人です。
別の求人票では、固定給では初任者研修修了者も無資格者も同じだが、有資格者に対しては資格手当の形で差をつける事業所もあるようです。さらに、求人数についても有資格者向けの求人の方が無資格者向けの求人よりも多いです。というのも、有資格者は訪問介護におけるすべての業務ができますが、無資格者は生活支援などのみなので、この差も当然と言えます。
 

雇用形態

加えて、有資格者かどうかという事は、雇用形態にも反映される傾向があります。家庭の事情等で、あえてパートタイムの雇用を希望して働いている人もいますが、フルタイムで正社員として働こうとする場合、雇用する側から見ると、有資格者の方がやる気を感じられ長く勤めてくれそうだと判断され、正社員になりやすい傾向があるようです。
 

補足

補足として、介護職員初任者研修は、その後の介護職員のキャリアップにつながる「介護福祉士実務者研修」や、「介護福祉士」等の資格にもつながっていく最初の資格です。この資格を取得しいなくてもできる業務はありますが、より幅広く活躍するために、できるなら取得しておいた方が良いでしょう。

3.無資格から介護職員初任者研修の取得方法

これから介護職員初任者研修を修了しようとする方は、どのように研修を受講すれば良いのでしょうか。
まず、この資格は都道府県が指定した業者や法人が開催する研修会を受講することで、取得できますので、みなさんの暮らすエリアで探していただければ見つけられます。
また、この研修に関しては受講するために必要な資格等はありません。つまり、これから介護の仕事をしよう、介護業界でキャリアを積んでいこうとする方達にとっては同じスタートラインから始められるという事です。
研修の内容に関しては、前のブロックで紹介した通り国の定めたカリキュラムがあり、その中で内容に偏りがないように、十分留意することとされていますから、どの事業者主催の研修を受講しても極端な違いはないでしょう。
ただし、研修の受講スケジュールや通学と通信の組み合わせ等については、受講者が自分の生活スタイルに合うものを選べるように、様々なコースが提供されていますので、研修の受講前によく内容を確認しておきましょう。
最後に、この介護職員初任者研修では、旧ヘルパー2級の頃にはなかった、研修日程終了後に受講内容を確認するテストが行われます。受講者の習熟度を測るためのもので、100点満点で70点以上を取れば無事に研修修了となりますので、テスト前には研修で使用したテキスト等をよく見直しておくと良いでしょう。

4.まとめ

これから、日本は団塊の世代の方々が全員75歳以上となり、介護サービスへの需要が高まるとみられている2025年問題等、高齢社会への対策が急がれています。そのような中で、専門的な知識や技能を持った介護スタッフは必要不可欠な存在です。
その最初の一歩として位置する介護職員初任者研修について紹介させて頂きましたが、この記事がこれから介護の仕事を始めようとする人や、介護の仕事に興味を持っている人の参考になれば幸いです。

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