介護福祉士とは?仕事内容や必要な資格、なり方を解説
超高齢社会を突き進む日本では、介護の担い手として介護福祉士のニーズは高まる一方です。介護福祉士は介護職唯一の国家資格です。資格の取得は給料アップやキャリアアップにつながり、介護業界で働く人にとって大きなメリットのある資格です。
今回は、介護福祉士の仕事内容や資格取得のメリット、取得方法、試験対策のポイント等についてご紹介します。介護福祉士の受験資格の一つである介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)についても併せて説明しますので、ぜひ参考にしてください。
- 約2〜6ヵ月※
- 通信 + 通学
介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)の詳細はこちらから>>
目次
介護福祉士資格とは?
介護福祉士は1987年に制定、2007年に改正された『社会福祉士及び介護福祉士法』により以下に定められた国家資格です。
この法律において「介護福祉士」とは、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。
出典 社会福祉士及び介護福祉士法
介護福祉士は、高齢者や障害、疾病により介護を必要とする方に対して、専門知識と技術を用いて生活や動作をサポートする専門資格です。
要介護者本人だけでなく家族へのレスパイトケア(介護の休息)、地域住民への働きかけなどの支援も役割のひとつで、介護施設や介護事業所、医療機関、在宅など様々な場所で活躍できます。
介護の仕事は未経験でもできますが、介護福祉士になれば現場での活躍だけでなくスタッフへの指導など、より幅広い働き方が可能になります。
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士はどのような仕事をしているのか詳しく紹介します。
主な仕事内容
介護福祉士の仕事は「食事介助」「入浴介助」「排せつ介助」「日常生活の支援」など、介護業務全般を担います。ほかにも要介護者や家族への介護方法や、福祉用具の使い方の助言なども行います。
介護福祉士にしかできない仕事はある?
介護福祉士は名称独占資格(※資格を持っている人だけが、その名称を名乗ることができる資格)なので、介護福祉士にしかできない仕事はありません。 しかし、数ある介護資格の中で、国家資格は介護福祉士だけです。そうした理由から、介護施設・事業所では、管理職や中間管理職になるための条件として、介護福祉士の有資格者を定めているケースがあります。
介護福祉士を取得するメリット
介護福祉士の資格を取得するにはどのようなメリットがあるのかを紹介します。
利用者・家族からの信頼
介護福祉士は専門的な知識・スキルを持ち合わせていることを証明する国家資格です。資格を取得していることで、要介護者や家族をはじめさまざまな関係者から信頼を得やすいでしょう。
給料が上がる
介護福祉士を取得すると、多くの場合は基本給が上がり、資格手当が支給されます。令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、勤続年数の差はあるものの無資格者と比較して月額6万円以上の差があることが分かります。
資格取得状況 | 平均月給 | 平均勤続年数 |
---|---|---|
無資格 | 270,530円 | 5.3年 |
介護福祉士 | 331,690円 | 9.5年 |
参考 厚生労働省:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
さらなるキャリアアップのために役立つ
介護福祉士は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格である「国家資格に基づく実務経験」を満たす資格です。介護福祉士として5年以上の実務経験を積めば、ケアマネジャー試験にチャレンジできます。また、チームリーダーやマネジメントの経験を積むことで、管理者を目指すこともできるでしょう。
転職に有利
介護福祉士を取得していると、就職や転職で有利になります。介護業界では、即戦力として現場で中心的役割を担う人材を募集していることがあり、介護福祉士の有資格者を対象とした好条件の求人は少なくありません。
介護福祉士になるには?取得方法について
介護福祉士になるには、以下の3段階の過程が必要です。
- 介護福祉士の受験資格を得る
- 国家試験に合格する
- 介護福祉士として登録する
上記を満たすことで、晴れて介護福祉士を名乗れます。
介護福祉士の受験資格に学歴や年齢は問われませんが、受験資格を得るためには4通りのルートがあります。以下にそれぞれのルートを説明します。
出典 公益社団法人:社会福祉振興・試験センター 受験資格
実務経験ルート
介護現場で3年以上・540日以上の実務経験を積み「実務者研修」を修了するルートです。実務者研修の履修期間は6ヵ月前後と短く、4つのルートの中ではリーズナブルに資格取得を目指せます。実務者研修の受講期間の目安は以下の通りです。
保有資格 | 受講時間 | 受講期間 |
---|---|---|
無資格 | 450時間 | 6ヵ月以上 |
介護職員初任者研修/ヘルパー2級 | 320時間 | 平均4ヵ月 |
ヘルパー1級 | 95時間 | 平均2か月 |
介護職員基礎研修 | 50時間 | 平均1ヵ月 |
実務経験ルートは、介護現場で働きながら介護福祉士を目指す人にピッタリのルートです。実務経験は、必ずしも正社員である必要はなく、契約社員やアルバイト、パート、派遣社員として積んだ年数でも問題ありません。なお、「実務者研修」や「介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修」を修了していると介護福祉士国家試験の実技試験は免除されます。
参考 介護福祉士資格の取得方法について
受験資格
- 3年以上の実務経験 + 実務者研修の修了
または - 3年以上の実務経験 + 介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修の修了
メリット
- 現場で実務に携わりながら知識やスキルを学べる
- 短期間でリーズナブルに資格を取得できる
デメリット
- 業務との両立で学習時間を作るのが大変
- 介護職未経験から目指す場合、実務経験を得るため最低3年が必要になる
無資格・実務経験なし
無資格で実務経験がない場合は、介護職員初任者研修(以下、初任者研修)を受講して就職し、実務経験を積みながら実務者研修を受講した後に介護福祉士を目指すという順序がおすすめです。
初任者研修は、介護の基礎を学習する資格です。修了すると就職に有利になるので、まずは初任者研修を受講しましょう。
カイゴジョブアカデミーでは、資格を取得して就職を目指す方を対象に、受講料を当校が全額負担する「介護職デビューキャンペーン」を実施しています。資格取得を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の詳細はこちらから>>
無資格・実務経験あり
実務経験はあっても無資格の場合、初任者研修ではなく実務者研修の取得から始めても問題ないでしょう。以下の記事で初任者研修を受けずに実務者研修を受ける際の注意点などをまとめています。ぜひ参考にしてください。
初任者研修を修了・実務経験あり
初任者研修を修了し実務経験がある場合は、実務者研修を受講することで「実務経験ルート」の受験資格を満たせます。初任者研修を修了している方は、全450時間ある実務者研修のカリキュラムを320時間で修了することができ、受講料も割引になります。
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養成施設ルート
文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校または都道府県知事の指定した養成施設を卒業後、筆記試験に合格することで介護福祉士を目指すルートです。
履修期間は2年以上(1,850時間)。実務経験ルート同様に介護福祉士国家試験で実技試験が免除されます。
メリット
- 福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかを卒業していれば最短1年、高等学校等卒業であれば2年以上の養成・施設通学で受験資格が得られる
- 理論に基づいた知識の修得と実践的な学びができる
デメリット
- 養成施設の学費や時間がかかる
福祉系高校ルート
福祉系高校、福祉系特例高等学校で定められた課程を修了し、介護福祉士を目指すルートです。履修期間は3年以上(1,855時間)。現在は実務経験ルートや養成施設ルート同様に介護福祉士国家試験で実技試験が免除されますが、2008年以前に入学した人の場合、実技試験の免除には介護技術講習を受講する必要があります。
- 2009年度以降入学者→実技試験免除
- 2008年度以前入学者→介護技術講習の受講により実技試験が免除
メリット
- 最年少で介護福祉士資格取得を目指せる
- 介護福祉士の受験資格を得ながら進学もOK!
デメリット
- 福祉系高校自体が少ない
経済連携協定(EPA)ルート
経済連携協定(EPA)に基づき、EPA介護福祉士候補者+実務経験3年以上の方が介護福祉士資格取得を目指すルートです。
研修を受けながら就労するインドネシア人、フィリピン人及びベトナム人がEPA介護福祉士候補者受入れ対象です。
介護技術講習、または実務者研修の受講により実技試験が免除となります。
以上、4つのルートで介護福祉士の受験資格が満たせます。介護福祉士を目指す社会人の方には、「実務経験ルート」がおすすめです。
参考 公益社団法人:社会福祉振興・試験センター 受験資格
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介護福祉士の職場を紹介
介護福祉士は介護分野、障がい・福祉分野、医療分野など様々な領域で活躍しています。その中でも特に介護分野で活躍している人が多く、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、訪問介護事業所、通所介護事業所などの介護施設・事業所が職場として選ばれています。
介護福祉士へのキャリアパスは?
介護職の資格におけるキャリアパスは以下のように厚生労働省が定義しています。
介護未経験で無資格の人は、初任者研修からスタートしましょう。初任者研修を修了すれば、次に控える実務者研修での科目数が免除され、受講期間の短縮、受講料の割引など特典が得られます。
カイゴジョブアカデミーでは初任者研修と実務者研修を開講しています。初任者研修修了者は、卒業生割引が適用され、実務者研修をおトクに受講できます。
さらに、介護職員として就職・転職を検討する方を対象に、初任者研修または実務者研修の受講料を当校が全額負担する介護職デビューキャンペーンを実施中。ぜひお気軽にお問合せください!
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受講費用*&
テキスト代 -
振替受講や
再試験代 -
就業
サポート
*初任者研修 または 実務者研修
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介護福祉士のキャリアアップ・再就職の支援制度
介護福祉士のキャリアアップ
介護福祉士の国家試験に合格して資格を取得した後も、介護業界では様々なキャリアの選択肢が用意されています。キャリアアップ例として以下に代表的な職種を紹介します。
- サービス提供責任者
- 生活相談員
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 認定介護福祉士
- 社会福祉士
- 施設長・管理者
介護福祉士の実務経験を5年以上積めばケアマネジャーにチャレンジできます。
介護福祉士としてのキャリアを極めたい方は、2015年に介護福祉士の上位資格として制度化された「認定介護福祉士」にチャレンジすることも可能です。
介護福祉士として相談援助の実務経験があれば、社会福祉士を目指す際に有利になります。
マネジメント職に興味があれば、施設長や管理者を目指す道も用意されています。
このように、介護福祉士を取得することは、介護職としてより幅広いキャリアに進むことへもつながります。
再就職の支援制度
介護職として再就職を考える人を対象とする「介護職の再就職準備金貸付制度」が2016年から始まりました。
再就職にかかる費用を最大40万円まで借り受けられる制度で、条件を満たせば返済が免除されます。有資格者でかつ復職予定の方はぜひ参考にしてください。
対象者 | 以下の条件の全てを満たす方 1.次のいずれかに該当し、介護保険サービス事業所等で1年以上の勤務経験のある方 ・介護福祉士の資格を持っている ・実務者研修を修了している ・初任者研修を修了している 2.介護保険サービス事業所等において介護職員等として再就職した方 3.都道府県福祉人材センターに氏名及び住所などの届出を行い、再就職準備金利用計画書を提出した方 |
---|---|
貸付金額 | 40万円以内(介護の仕事に復帰するための費用) |
返済免除 | 貸付後に介護職員等として業務に2年間勤務することで返済が全額免除される |
問合せ・申込先 | 各都道府県の指定する団体で行っています。 ご自身がお住まいの各都道府県の指定する団体へお問い合わせください。 |
※離職期間や「再就職」の定義などは各都道府県で異なります
参照元 厚生労働省:介護職として再就職をお考えの方へ(再就職準備金、就職支援金のご案内)
介護福祉士国家試験を一発合格するために
介護福祉士国家試験は年に1回しか実施されません。受験資格を満たしていざ受験となれば、1度で合格したいもの。とはいえ、受験対策を進める中で不安を感じることもありますよね。そうしたときは、模擬試験や試験対策講座の活用がおすすめです。
とくに試験対策講座では、重点ポイントを中心に最新の情報を取り入れた効率の良い学習が実現できます。これから介護福祉士試験に取り組む方は「理論に基づいたケア」「自立支援に向けた利用者目線でのケア」を理解しながら、合格を目指してください。
まとめ
介護福祉士の仕事内容や資格取得のメリット、資格の取り方などを紹介しました。
介護分野で唯一の国家資格である介護福祉士は介護業界のエキスパートとしてこれからの時代に欠かせない存在であり、需要はますます高まるでしょう。介護福祉士国家試験の合格率は80%前後ですので、難易度はさほど高くありませんが、確実な合格を目指すならポイントを押さえた対策が重要です。
カイゴジョブアカデミーでは介護福祉士の受験資格の一つでもある実務者研修を開講しています。介護業界で転職を検討中の方であれば、実務者研修の受講料を当校が全額負担する「介護職デビューキャンペーン」も実施しています。介護福祉士を目指す・目指したいと考えたみなさんは、ぜひお気軽にお問合せください。
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受講費用*&
テキスト代 -
振替受講や
再試験代 -
就業
サポート
*初任者研修 または 実務者研修
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- この記事の著者 吉田あい
- プロフィール
- 大阪府出身。現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」「介護現場におけるリスクマネジメント」
特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。
カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。
- 保有資格
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)、介護福祉士、社会福祉士、メンタル心理カウンセラーなど
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この記事の監修者
カイゴジョブアカデミー
編集部
- 介護専門の資格講座学校「カイゴジョブアカデミー」の編集部です。
介護業界のプロフェッショナルが介護の仕事や資格に関するお役立ち情報をお届けします。