うつ病を抱えながらの転職活動、「病気の苦しみがわかるからこそ、利用者さんの役に立ちたい」
初任者研修から踏み出した一歩
「みんなの介護転職ストーリー」、今回の主役は立川絵理さんです。コールセンターで管理職まで経験した立川さんですが、うつ病を患い現在は服薬治療をしながら特別養護老人ホームに勤務しています。これまで体調に合わせながら職場を変えてきましたが、介護職になった今は実務者研修も受講され、ケアマネジャーを目指していると力強くお話しくださいました。
2023年12月~2024年1月 介護職員初任者研修(短期コース)/天神校
2024年1月 特別養護老人ホームに就職
体調に合わせ模索しながらの職探し
藤井: まずはこれまでのお仕事について教えてください。
藤井: 色々経験されてきたんですね。仕事選びのポイントはありましたか?
立川さん: ショップ店員を選んだのは、人を綺麗にするのが好きだったからですね。派遣社員時代は生活のためと割り切っていましたが、一番長く続いたコールセンターは人から感謝される仕事だから、というのが大きかったです。対人営業が苦手だった私にとって、特定の相手と対話しなくてよいというのも有難かったですし。
藤井: 介護に興味を持ったきっかけは何だったんですか?
立川さん: 祖父の介護です。祖父の介護方針について話し合う「サービス担当者会議」というものにたまたま出席したとき、話に全然ついていけず「私がいても役に立っていない、力不足だな」と感じました。祖父の次は父の介護が必要になる時が来る、その時に役に立てるようになりたいと思い、介護業界に挑戦しようと決めました。
「人の役に立ちたい」という思いを胸に
藤井: 介護業界に転職すると決めて、まずどんな行動を取ったんですか?
立川さん: すぐに転職活動を始めたわけじゃないんです。行動を起こすまでに少し悩んだ期間がありました。
藤井: どんなことで悩んだのか、よかったら聞かせてもらえませんか?
立川さん: 実はコールセンター時代にうつ病になって、今も療養中なんです。診断された時は『まさか自分がかかるなんて』という気持ちでした。主治医からは「職種を変えてみたら」とアドバイスを受けて、「実は介護の仕事に興味がある」と伝えたところ、話し方や接し方を見ていて「向いてるかもしれないね」と後押ししてくれました。
藤井: 主治医からも背中を押す言葉があったんですね。しかし介護職も体を使う仕事ですし収入面もすごくいいとは言えないと思いますが、その点はどうお考えでしたか?
立川さん: 介護職に3K、いわゆる「きつい・汚い・危険」というイメージがあることは知っていましたが、それよりも悩んだり苦しんだりしている人の役に立ちたいという気持ちが強くて。それでカイゴジョブアカデミーを見つけて登録し、初任者研修を受けることになったんです。
初任者研修は和気あいあいとした雰囲気のなかで受講
藤井: 初任者研修を受けてみていかがでしたか?
立川さん: 介護って知っているようで知らないことが多くて、授業を受けると目からウロコなことばかりでした。研修の同期は15人くらいで、いろんな年齢の人がいて和気あいあいとやっていました。
藤井: 立川さんは初任者研修受講と転職活動を並行されましたが、就職先に求める条件にはどんなものがありましたか?
立川さん: 正社員としての雇用であることと、給与もそれなりに確保されていたらいいなと思っていました。シフトは夜勤もOKという条件で探しました。
藤井: 応募するとき、うつ病の治療中だということは相手先に伝えたのですか?
立川さん: もちろんです。精神的な面ではまだ万全ではないので、それも含めて採用してくれるところを探しました。キャリアパートナーにも相談し、ひとつひとつ不安を解消していきました。
藤井: 病気を抱えながらですから、勤務先を選ぶのも慎重になったんじゃないですか?
立川さん: そうですね。でも幸いなことに2つ目の応募先で転職先が決まって。今勤務している特別養護老人ホームなんですが、実際に見学に行った時職員の方と利用者さんが信頼し合っている感じが伝わってきて、「ここで働きたい」と即決しました。
理想は高く!でも現実も見据えて
藤井: 実際に働いてみて、お仕事はいかがですか?
立川さん: 理想と現実の折り合いをどうつけるかで悩みますね。利用者さんのケアで私は「ここまでやってあげたい」と思っても、マンパワーや時間の関係でできることが制限されてしまうことがあるので、悩みどころです。
藤井: 現場では優先順位を考えてケアしないといけませんよね。
立川さん: そうなんです。全体を見て、必要度の高いケアからやっていかないといけないし、利用者さんはたくさんいるのですべてを完璧にできるわけではないんですよ。
藤井: 完璧を目指しすぎると続けるのが難しい仕事かもしれません。
立川さん: そう。やっぱりどこかで折り合いをつけなくてはなりませんよね。でも、折り合いをつけることは手を抜くとか妥協することとは違うと思っています。
藤井: 妥協せずに理想に近づくため、何か工夫をしていたら教えて下さい。
立川さん: 何事も上司や同僚に相談するようにしています。利用者さんにいいサービスを提供するためには絶対に周りの協力が必要ですから。あとはルーチン化できる業務は手際よく済ませて時間を短縮し、できることをもっと増やせるよう努力しています。
藤井: さきほど理想と言いましたが、仕事への熱い思いはどこからくるのでしょうか?
立川さん: 利用者さんにも精神的な問題を抱えた人がけっこういるんです。私もメンタルの不調を抱えていますし、気持ちはよく理解できます。だから役に立ちたいという気持ちがわくのかもしれません。
藤井: 今後の夢や目標はありますか?
立川さん: 今実務者研修を受講中なんですが、最終的にはケアマネジャーの資格を取りたいです!
インタビューを終えて
ご自身が心身の不調を抱えていた、もしくは現在療養中の状態で求職している人もいると思います。自分が苦しんだ分、誰かの役に立ちたいと願い介護に挑戦したい人もいるのではないでしょうか?立川さんのお話には、療養しつつ転職を成功させるヒントが詰まっていると思います。たとえ万全の調子でなくとも、諦める前に身近な方やキャリアパートナーに相談することで道が開けるかもしれません。
構成、執筆:秦佐起代
「みんなの介護転職ストーリー」でご紹介している方々は、無資格・未経験から介護業界に挑戦したカイゴジョブアカデミーの卒業生です。皆さんが活用された「特待生キャンペーン」なら、自己負担なしで「介護職員初任者研修」の資格を取得でき、さらに介護職専門のキャリアアドバイザーによる就職先の紹介も受けられます。資格が1つあるだけで、給与や待遇がアップし、就職・転職時にも大変有利です。下記リンクからそれぞれ詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
立川さん: 高校卒業後、事務職やショップ店員などを経験しましたが、体調を崩してしまって。それからは療養しつつ工場の派遣社員やコールセンターなどで働いてきました。