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介護職員初任者研修で習うノーマライゼーションって何?

更新日:2022/4/1

介護職員初任者研修で習うノーマライゼーションって何?

初任者研修で習うノーマライゼーションって何?

介護職員初任者研修を受講すると、様々な介護用語・医療用語を学びますが、はじめてきく言葉や専門的な言葉に戸惑う方も多いかと思います。

特に受講中によく耳にすることになる“ノーマライゼーション”という言葉。
高齢者の尊厳や介護現場で大切な理念となるキーワードであり、介護職が理解しておかなければいけない用語のひとつです。

今回は、ノーマライゼーションの意味や考え方、介護現場での実例をあわせて紹介します。

ノーマライゼーションは初任者研修の最後に実施する修了試験で頻出されやすいので、誕生の歴史や意味をしっかり覚えておきましょう。

ノーマライゼーションっていったいなに?

ノーマライゼーションは、もともと「障害がある人も障害がない人も、同じ生活と権利が保障される社会・環境を目指す」という考え方です。

厚生労働省や世界各国でもノーマライゼーションは推進され、現代では障害者だけに限定されず、年齢や心身の状態に関係なく目指すべき理念とされています。

高齢者介護の現場では「高齢、介護が必要になっても当たり前の生活を当たり前にできる環境」を目指し、基本の理念としています。

では、ノーマライゼーションが誕生した歴史やノーマライゼーションのポイントとなる8つの原理についてみていきましょう。

ノーマライゼーション誕生の歴史

ノーマライゼーションは1950年代にデンマークのニルス・エリク・バンク=ミケルセンによって提唱されました。

当時、知的障害者は収容所のような大規模施設に入居し劣悪な環境の中で生活していましたが、環境改善のため1951年に知的障害者の親の会が発足。
親の会とともにニルス・エリク・バンク=ミケルセンが共鳴し、政府に対して処遇の改善を訴えました。

「障害がある人もない人も、同じ生活と権利が保障される」というノーマライゼーションの理念が確立され、「ノーマライゼーション」という言葉を盛り込んだ1959年法がデンマークで制定。

そして1960年、ノーマライゼーションの流れは北欧諸国にも広がり、スウェーデンのベンクト・ニィリエがノーマライゼーションの理念を整理・成文化。
ノーマライゼーションを8つの原理を提唱し、アメリカから世界中にノーマライゼーションの理念が広がりました。

ニルス・エリク・バンク=ミケルセンをノーマライゼーションの父・ノーマライゼーションの生みの親といわれるのに対して、ノーマライゼーションを世界中へ広めたベンクト・ニィリエはノーマライゼーションの育ての親といわれています。

介護現場での基本的理念

介護業界が未経験の方にとってノーマライゼーションという言葉は、聞いたことがない・知らなかったという方がほとんどかと思います。

しかし、介護業界、現場では高齢者の尊厳の保持・自立支援の基本的理念として理解しておくべきキーワードなのです。

例えば誰もが知っている“リハビリテーション”という言葉。
これは怪我や障害をリハビリテーションによって克服し、社会復帰を目指して行うというイメージがあります。
リハビリテーションの意味する障害は、その原因となる部分や状態と考えます。
一方でノーマライゼーションの意味する障害は、障害があることで生じる生きづらさを社会的障壁として、社会や環境にあるとされます。

介護現場では、高齢、介護が必要な状態になっても“生きづらさ”を感じない、自分らしい生活ができる環境を目指すことが大切です。

介護職はその環境を目指してサポートする役割をもっているため、ノーマライゼーションの意味を理解して介護の仕事をすることが重要なのです。


介護・福祉の基本だからこそ、初任者研修の修了試験だけでなく介護福祉士国家試験、ケアマネージャー試験にも頻出されます。

ノーマライゼーション8つの原理

では、ノーマライゼーションへの理解を深めるため、ベンクト・ニィリエが定義する「ノーマライゼーション8つの原理」をみていきましょう。

1.1日のノーマルなリズム

朝起きたら顔を洗って着替える、食事は寝たままではなく座って食卓でする、そして夜にはパジャマに着替え歯磨きをして1日を振り返り寝る、という1日のリズムのことです。

2.1週間のノーマルなリズム

多くの人はひとつの場所で生活しながら、1週間の中で学校に行ったり仕事に行ったり、週末にはのんびり過ごすリズムがあります。

障害や介護の有無に関係なく、1週間のリズムを大切にしようという考え方です。

3.1年間のノーマルなリズム

1年には季節や時期によって日常生活の変化やイベントがあり、参加することで毎日の生活をリフレッシュすることができるでしょう。
季節を感じられる食事や行事を楽しんだり、余暇活動や旅行をしたりといった1年のリズムのことです。

4.ライフサイクルにおけるノーマルな発達経験

ライフサイクルとは人の誕生から死までの過程のことです。
幼少期には友達と遊ぶ、青年期にはおしゃれを楽しみ、異性との交流に関心をもつ、成人すれば仕事をして責任感をもつ、そして経験を重ね知恵が豊富な老年期には昔の思い出に浸る…といった、当たり前の課程を重ねていくことです。

5.ノーマルな個人の尊厳と自己決定権

障害があっても介護が必要な方も、自由と希望をもって生き、周囲はそれを認め尊重します。
そして仕事や行動を自分で決めることができる権利を持っています。

6.ノーマルな性的関係

子供や大人でも、他者との良好な社会交流を行うことです。
定義では“他者”の部分が“異性との関係”と書かれていますが、現代ではLGBTなど多様な個性を尊重し合う社会として“他者”としています。

恋をして、誰かを愛して、愛されて。
そして一生を過ごしたいと思った人がいたら結婚を考えるということです。

7.ノーマルな経済水準とそれを得る権利

障害や介護の有無に関係なく、誰もが公的な財政援助である社会的保障を受け安定した生活ができます。
そして自由に使えるお金があり、必要なものや欲しいものを自分で自由に購入できることです。

8.ノーマルな環境形態と水準

自分が住む家は自分で決めることができます。
障害や介護の有無で住む場所が限定されたり社会から隔離されたりすることなく、自分が望む地域、家に住み社会交流をしながら生活するということです。

介護現場のノーマライゼーション実例

介護現場でどんなことがノーマライゼーションとつながっているの?と分からない方も多いかと思います。
そこで、筆者が体験した実例をお伝えします。

脱施設化「ユニットケア」

大規模な老人ホーム(従来型の特別養護老人ホーム)が多かったですが、2001年からスタートしたユニットケアが現代の主流。
ユニットケアは「個々の生活リズムに合わせた暮らしに寄り添い、馴染の入居者やスタッフと社会交流をしながら暮らせる」介護スタイル。
入居者を10人以下の人数で1つのユニットに分け、個室・リビング(共有スペース)があり自宅のような環境です。

大規模施設のように、タイムスケジュールに合わせた“一律”“流れ作業”のようなケアではなく、一人ひとりに合わせたケアを行うため、入居前の生活に近い生活です。

グループホームでも、好きなときにリビングに出てゆっくりしたいときは居室へ戻る、このように生活リズムや個性を尊重した個別ケアが重視され、リラックスして生活することができます。

朝の気分に合わせておしゃれを楽しむ

昔の介護施設では寝衣のまま着替えず1日過ごす、次の入浴の日や汚れるまでそのまま…などが当たり前だった時代もありました。
しかし最近では高齢者がその日に着たい服を選び、おしゃれを楽しむ介護施設が増えています。

「今日はどんな服を着ますか?」
「上の服がしましまで、ズボンが水玉って派手だよー」
「もうすぐ春だし、今日は暖かいからこの服もいいですよね」
「この花柄の服は娘が買ってくれたの」
など、当たり前の会話を入居者だけでなく介護者も楽しめますね。

今日の気分に合わせた服を着て、おしゃれを楽しむ。
年齢を重ねても自分らしくいられるのは、素敵ですね。

家での当たり前を施設でも当たり前に

介護現場のノーマライゼーションは、使う食器ひとつにも関わっています。

みなさん、家で飲み物をのむときどんな食器を使っていますか?

コーヒーはコーヒーカップ、冷たいお茶やお水はグラス、メニューによっても和食器・洋食器と種類を変えている方も多いですよね。
以前働いていたデイサービスセンターで残念だと思ったのは、全ての飲み物を黄色いメラミンのマグカップに入れていたことです。

お茶やお水、ジュースはグラス、コーヒーや紅茶マグカップ、緑茶は湯飲みと…スタッフからの猛反対の中、2週間かけて全て食器を変えました。

「なぜ介護が必要な方は黄色いメラミンのマグカップしか使ったらいけないのか?」という問いかけに対して

「落としても危なくないように」
「手の力が弱いから」
「みんな一緒の方が喧嘩にならないから」
というのがスタッフの意見でした。

分かります、ガラスや陶器は割れたら危ないですし、グラスや湯飲みは持ち手がないから落としそうですよね。

しかし自分が相手の立場だったらどうでしょうか?

週4日デイサービスを利用されている方は、来所時と昼食時、おやつの時間と1日3回もこの黄色いマグカップを使っている現状。
当たり前のことが当たり前にできていない、ノーマライゼーションの理念や視点に気づけなかった事例です。

確かに手の力が弱い方や麻痺のある方には難しいケースもありますが、同じ割れない食器を使っても黄色いメラミンのカップだけでなく割れないグラスなど個別的な対応が必要です。

落とさないように見守りをしたり、介助に入ったり、その方に合った食器を使ったり。
もし食器の模様でトラブが起きたりしても介護者の介入やコミュニケーション、その環境次第です。

飲み物に合わせた食器を導入後、オレンジジュースの色や氷の音、陽にあててキラキラの反射を「美味しそうやなぁ」と水分量も増加。
お互い模様の違う湯呑を比べて「カワイイねぇ」と笑顔。
綺麗な所作で湯呑を使ってお茶を飲まれていた方、「実は昔お茶を習っていたの」と昔話も。

各スタッフやリサイクルショップで購入した食器たちですが、たったこれだけ。
当たり前のことを当たり前にするだけで、介護の世界は変わるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ノーマライゼーションの意味や考え方、介護現場での実例について紹介させていただきました。

「ノーマライゼーション」というとなんだか社会的で壮大なイメージがしますが、実は「当たり前のことを当たり前に」という身近な課題なのです。

介護現場はこのようなニーズがたくさん潜んでいます。
介護職はそれに気づき環境を改善させようと働きかけ、QOL(生活の質)の向上を目指し、豊かな人生を目指す役割を持ちます。

このような介護のノーマライゼーションは、医療・介護や地域と連携し住み慣れた地域で暮らせる「地域包括ケアシステム」や、認知症があっても地域で安心して生活できる「認知症サポーター」の存在など、地域社会にも浸透しています。

介護業務をする上でも欠かせない理念であり介護職員初任者研修でも学びますので、これから介護の仕事を目指している方はノーマライゼーションを理解しておくことが大切です。

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この記事の著者

吉田あい


大阪府出身 現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」
「介護現場におけるリスクマネジメント」

特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、
介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、
介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。

カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、
実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。

【所持資格】
・介護支援専門員(ケアマネージャー)
・介護福祉士
・社会福祉士
・メンタル心理カウンセラー
など