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サービス提供責任者って何?気になる仕事内容やお給料等をご紹介

更新日:2022/05/26

サービス提供責任者って何?気になる仕事内容やお給料等をご紹介

サービス提供責任者って何?気になる仕事内容やお給料等をご紹介

介護職員初任者研修の上位資格として位置する「介護福祉士実務者研修」
取得することで実践的な介護の知識とスキルと身に着け、仕事の選択肢が広がり、マネジメント業務にも携わることができる資格です。

今回は、実務者研修を取得するメリットのひとつとなる、サービス提供責任者の仕事内容や給料、働き方、活躍例など詳しく紹介させていただきます。これから実務者研修の受講を目指す方、サービス提供責任者に関心のある方はぜひ参考にしてください。

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サービス提供責任者とは?

サービス提供責任者は訪問介護事業所の中核メンバーとして活躍し、ニーズが高い職種です。
ここでは仕事内容や配置基準などについて説明します。

サービス提供責任者の仕事内容

まずサービス提供責任者の仕事内容について説明します。サービス提供責任者は、「サ責」と呼ばれ訪問介護事業所のヘルパー業務における、リーダー的存在です。

主な仕事内容は以下の通りです。

・ケアマネージャーや介護サービス事業所との連絡・調整

ケアマネージャーから新規利用の希望があれば、訪問介護で提供するサービス内容や回数、時間などを調整します。サービス開始後も随時連絡をとり、必要に応じてサービス状況や見直しを提案します。

・アセスメント

サービス開始が決まったら利用者の自宅へ行き、生活環境や心身の状態、本人希望、家族の想いなどのアセスメントを行います。

※アセスメント:利用者・家族の心身状況の確認、地域資源・住居環境・生活サイクル等の評価を行うこと

そして利用者や家族のニーズを情報分析し、提供するサービスを検討します。

・訪問介護計画書の作成

ケアマネージャーの作成したケアプラン、訪問介護事業所が行ったアセスメントに沿って訪問介護計画書を作成します。ケアマネージャーが作成するケアプランは、サービス全体の方針やケア内容、回数・時間(いつどんなサービスを何回行うか)になり、訪問介護計画書はさらに具体的な支援内容やケアの手順などを記載したものになります。

・サービス担当者会議

サービス開始時や提供するサービス内容に変更がある場合は、ケアマネージャーが主となって利用者に関わる介護サービス事業所によるサービス担当者会議を開催します。そこで現在の利用者の状況や希望を話し合い、今後の方針を定めていきます。訪問介護事業所の代表としてサービス担当者会議に出席し、利用者に最も近い存在として気持ちを伝えるのがサービス提供責任者の役目のひとつです。

・モニタリング

提供するサービスが適切に行われているかどうか、サービス提供内容や時間などに過不足はないか等を定期的に利用者やその家族に確認します。必要に応じてケアマネージャーと連絡・調整を行い訪問介護計画書の見直し、変更を行います。(変化がない場合は、サービス内容が継続されます)

・ホームヘルパーの管理・連絡・調整・指導など

働くホームヘルパーをまとめ、利用者がより良い生活を送れるようにヘルパーサイド・利用者サイドの視点を持ちサポートします。利用者のケアに相違がないように情報共有を行い、ホームヘルパーのリーダーとしてヘルパーの技術向上に向けた指導やシフト作成などにも携わります。急な欠勤などでヘルパーがサービス提供に入れないときや利用者や家族の状況によって、サービス提供責任者が現場で業務やフォローに入ることもあります。

・同行訪問

訪問介護を利用する利用者の自宅へ訪問介護員が訪問する際、初めての訪問や入職してすぐの訪問介護員の場合はサービス提供責任者が同行するケースが多いです。サービス内容の説明や訪問介護員の紹介、適切なケアの指導などを行います。

・記録のチェック

ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問しケアをした場合は、訪問介護の訪問記録が欠かせません。訪問記録の形式によって様々ですが、訪問日時や入室・退室時刻、サービス内容、バイタルチェックなどはどの形式でも必ず記入します。また、買物を行った場合は預かり金、購入額、購入品なども記入し、記録したものを利用者に確認してもらい確認印をいただきます。訪問記録は提供したサービスに関する記録の義務として、実施指導でもチェックされる項目です。
万が一、指定基準通りのサービスが行われていない場合や記録に不備があると、返戻や減算の対象となります。サービス提供責任者は、日々の記録を確認し記入モレがないかということとケアプランに基づいた適切なケアが提供されているか確認します。

・利用者、家族対応

ホームヘルパーは利用者に最も近い介護職として、利用者や家族の想い、生活に寄り添い、代弁者として活躍します。また、利用者や家族の気持ちや状況をケアマネージャーに伝えるパイプ役としての役割ももっています。

・事務業務

利用者と訪問介護事業所との契約のほか、介護事務員がいない訪問介護事業所では、毎月のサービス予定と実績をまとめ国保連合会へ介護報酬の請求業務を行います。

POINT

サービス提供責任者は、利用者や家族だけでなく他職種と密なコミュニケーションを図り、自宅でより良い生活が送れるようサポートするといった多岐に渡る仕事を行います。

訪問介護事業所におけるサービス提供責任者の配置基準

サービス提供責任者はニーズが高い職種ということをお伝えしましたが、その理由には人員配置基準が影響しています。

訪問介護事業所のサービス提供責任者の配置基準概要は「常勤の訪問介護員等のうち、専ら指定訪問介護の職務に従事する者であって、利用者の数に応じて1名以上」とされています。

常勤で1名以上のサービス提供責任者の配置基準が定められ、直近3ヶ月での利用者数が40人以上増えるごとに1名以上の配置が義務付けられています。

ただし、以下の条件を満たした場合は、直近3ヶ月の利用者50人に1人のサービス提供責任者の配置でよいとされています。

  • 常勤のサービス提供責任者を3名以上配置している
  • サービス提供責任者としての業務を主に勤務する従業員が1名以上配置されている
  • サービス提供責任者の業務が、IT活用などで効率的に実施されている

※利用者の数は、前三カ月の平均値を用いて計算します。

訪問介護事業所にはサービス提供責任者の配置が必須であり、利用者数に合わせてその人員を増やす必要があります。大規模の訪問介護事業所では、複数のサービス提供責任者が活躍しています。

サービス提供責任者は管理者、ヘルパーと兼務できる?

サービス提供責任者の配置義務についてお伝えしましたが、「兼務できるの?」と疑問に思う方も少なくありません。
では、どのような場合に兼務が認められるのかということと、兼務の負担についてみていきましょう。

サービス提供責任者+管理者/訪問介護員の兼務が可能

サービス提供責任者の兼務については、『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準』及び『指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について』において以下の通り定められています。

POINT

指定訪問介護の提供に支障がない場合に兼務することができる

サービス提供責任者は「管理者」か「訪問介護員」どちらか一方であれば兼務が認められています。多くの訪問介護事業所では人員コスト削減のため、兼務されている方が多いです。

※サービス提供責任者+管理者+訪問介護員の3つ同時に兼務はできません。

兼務で働くとしんどい?

サービス提供責任者と管理者、もしくは訪問介護員として兼務で働く場合、業務範囲が広がり「しんどくなるのではないか」と心配される方もいらっしゃいます。兼務の負担については職場によって大きく異なりますが、多くの事業所では兼務に伴いそれぞれの業務が過多にならないよう調整されています。そのため一人にかかる負担が大きくなりすぎるということは少ないでしょう。

管理者とサービス提供責任者との兼務では、事業所内のまとめ役や人材育成など業務内容が重なる部分も多いので、業務に集中しやすいことが特徴です。またサービス提供責任者としてコーディネートをしながら、利用者や家族に寄り添ったケアしたい、訪問の現場に出るのが好き、という方は訪問介護員との兼務がおすすめです。

自身がアセスメントをとり作成した訪問介護計画書をもとにサービス提供できるので、やりがいをもって働くことができるでしょう。

サービス提供責任者の資格要件

サービス提供責任者として働くためには、以下の資格要件を満たす必要があります。

【サービス提供責任者の資格要件】

  • 介護福祉士
  • 実務者研修修了者
  • (旧課程)ホームヘルパー1級課程修了者

以前は、上記の資格要件に30%の減算対象となるものの「3年以上の実務経験を積んだ介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」が含まれていました。ですが資格要件が改訂され、経過措置の終了にともない2019年度をもって廃止となりました。

※初任者研修修了者がサービス提供責任者の業務を行う場合、30%の減算対象とされていましたが、経過措置の終了にともない2019年度をもって廃止となっています。

介護職員初任者研修の修了だけでは、サービス提供責任者として働くことはできないと覚えておきましょう。

サービス提供責任者における実務者研修の強み

サービス提供責任者の資格要件のひとつとなる実務者研修修了ですが、大きな強みとして以下の2つがあります。

1.仕事の幅が広がる

実務者研修では多様な利用者のニーズに応え、質の高い介護サービスを提供するために「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア」をスクーリング学習し、実践的なスキルを身に着けます。

【介護課程Ⅲ】

●介護過程の展開
実務者研修課程で学んだ知識と技術を活用し介護課程を展開し、介護計画から適切なケアを実施します。

●介護技術の評価
介護技術の原理原則の修得・実践とともに、知識・技術を総合的に活用した判断力、応用力を評価する。

サービス担当責任者は利用者のインテークからアセスメント、訪問介護計画書の作成、モニタリングといった、適切な介護課程展開の知識とスキルが求められます。

インテーク:初回面接・受理面接ともいい、利用者の相談を聞き、相談の背景や状況を把握すること

実務者研修の介護課程Ⅲでは、事例検討や演習、グループワークを通じて現場で活かせる応用力をしっかりと学びますので、現場に出ても根拠に基づいたケアを提供することができるでしょう。

【医療的ケア】

多様な利用者へ対応できるよう、医療的ケアの知識とスキルを学びます。

  • 喀痰吸引における基礎的知識と実施方法
  • 経管栄養における基礎知識と実施方法
  • 医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養)

について学びますが、実施できるようになるには受講修了後に喀痰吸引等研修(実務研修)を受講する必要があり、喀痰吸引等研修を受講修了後に一部の医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養)を行うことができるようになります。医療的ケアを必要としながら在宅生活を続けている利用者は多いです。介護職が医療的ケアを行うことができれば、できる限り住み慣れた自宅で自分らしく生活し、また家族の介護負担の軽減をサポートすることができます。

2.キャリアアップにつながる

サービス提供責任者としてマネジメント業務や訪問介護計画書作成を行っていた経験は、これからのキャリアアップにつながります。

筆者の周りには実務者研修を修了しサ責となり、介護福祉士に合格した後、実務経験を重ねてケアマネージャーを目指す方が多いのですが、サ責経験者はケアマネージャーの業務理解が深いことが特徴です。

訪問介護事業所でのサ責業務でケアマネージャーや介護サービス事業所の多職種と連携するため、ケアマネージャーの業務内容ややるべきことをすでに理解しているからです。また、訪問介護計画書を作成していることで根拠ある介護課程の展開が身に着いているので、ケアプランもスムーズに作成できるかと思います。

また、訪問介護事業所だけでなく他の入所系の介護施設やデイサービスにおいても、人材育成やマネジメント業務ができる「サ責経験者」はニーズが高く、採用も有利になることが強みになるでしょう。

サービス提供責任者の活躍例

サービス提供責任者の主な就職先は、在宅介護を受けている方が対象となる訪問介護事業所になりますが、有料老人ホームに併設されている訪問介護事業所でも活躍されています。

筆者自身の体験談になりますが、訪問介護事業所以外の活躍例をご紹介します。住宅型有料老人ホームに併設する訪問介護事業所のサービス提供責任者として働いていたことがあります。在宅の訪問介護事業所では利用者との距離がありますが、有料老人ホームでは利用者の生活を目の当たりにすることができます。もちろんサービス提供時間は決まっていますが、「生活全体を把握し、すぐニーズに気づき提案できる」「顔を合わせる頻度が在宅よりも多いため、より密なアセスメントができる」ことがメリットです。

有料老人ホームのサ責として働いている方は、すぐに利用者のフォローとケアのフィードバックができることが、やりがいと感じる方が多いでしょう。利用者と身近な距離でサービスをしたい方におすすめの職場です。

サービス提供責任者の働き方

サービス提供責任者の働き方や業務の特徴についてみてみましょう。

時には残業や休日出勤も

サービス提供責任者は訪問介護員に比べると、残業が多くなりやすい傾向です。訪問を終えたヘルパーからの報告や相談を受け、急な欠勤による訪問代行などで対応しなければいけないからです。また、サービス担当者会議では利用者や家族の希望で開催日時が決まりますので、休日を変更して出席というケースもあります。

多様な働き方が可能

サービス提供責任者は、訪問介護事業所の人員配置基準で必要な職種なので、常勤・正社員で働いている方が多いです。事業所の求人により、非常勤での働き方も可能です。働き方の条件は、各都道府県自治体の条例で定められていますが大阪府では以下の通りです。

※非常勤のサービス提供責任者については、当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数の2分の1以上に達していること。

基本的に夜勤がない

ヘルパーとの兼務や働く職場から求められる場合、人手不足の際は夜勤に入るケースがありますが、サービス提供責任者は基本的に夜勤業務がありません。そのため体力的な不安や子供が小さい方など夜勤がしにくい方でも、働きやすい環境です。夜勤がどうしてもできない方は働く前に求人情報をしっかり確認し、“夜勤なし”の職場を探しましょう。

ケアマネへのキャリアアップに向けた基礎作りに◎

サービス提供責任者が行う業務、アセスメントや訪問介護計画書作成業務は、ケアマネージャー業務の基礎になります。ケアマネージャーも同様にアセスメントやケアプラン作成、モニタリングを行いますので、ケアマネの実務に直結する業務の練習になるだけでなく、利用者や家族との関わりにもサ責で培った経験は役立つでしょう。
また、サービス担当者会議に参加することで「どんな視点をもってケアを行うのか」「他職種とどのように連携すればいいのか」といったノウハウを学ぶことができます。サービス提供責任者で知識やスキルを身に着けることで、スムーズにケアマネ業務にも取り組んでいけるでしょう。

POINT

働き方や業務内容は事業所によって異なります。夜勤なし、定時出勤、定時退社、残業もほとんどない事業所も多いので、職場を選ぶ際は勤務体制をしっかり確認することが大切です。

ケアマネージャーへのキャリアアップを目指すなら、サ責の業務は基礎作りにぴったり。

サービス提供責任者の給料

公益財団法人介護労働安定センターが行った『令和2年度介護労働実態調査』を参考に、訪問介護事業所のサービス提供責任者の給料をみてみましょう。サービス提供責任者の平均月収は229,521円である、一方で訪問介護員の平均月収は175,338円となります。

役職につくことで5万円以上給料アップが可能になり、ホームヘルパーからキャリアアップして目指すポジションとして、ホームヘルパーと比較すると平均給与は高い傾向にあります。

サービス提供責任者は給与アップや転職の際の選択肢が広がるだけでなく、マネジメント業務にも携わることができる重要なポジションに就くことができます。 サービス提供責任者になると他職種との関わりも多くなることでキャリアアップできるだけでなく、やりがいや給料アップにつながるでしょう。

サービス提供責任者とサービス管理責任者との違い

サービス提供責任者はサービス管理責任者(通称サビ管)と間違えられることが多いですが、両者にはどんな違いがあるのでしょうか。

活躍の場の違い

まず、対象となる分野が異なるという点が挙げられます。サービス提供責任者が活躍する分野は主に高齢者を対象にした訪問介護サービスです。一方でサービス管理責任者は障がい者分野が対象となります。障がい者サービスは個々の障がいに合わせて様々事業所がありますが、サービス管理責任者はほとんどの障害者福祉サービスを提供する事業所での配置基準が定められています。仕事内容は訪問介護事業所のサービス提供責任者と同様に、利用者・家族の対応や個別支援計画書の作成、他職種連携となります。

資格要件の違い

サービス提供責任者の資格要件は以下の通りです。

  • 介護福祉士
  • 実務者研修修了者
  • (旧課程)ホームヘルパー1級課程修了者

サービス提供責任者は上記の要件を満たしていればなれますが、サービス管理責任者の資格要件は実務経験と研修修了(「基礎研修」「実践研修」「更新研修」)が必要になります。

まとめ

実務者研修を取得するメリットのひとつとなる、サービス提供責任者の仕事内容や給料、働き方、活躍例などについて紹介しました。

実務者研修で得られる訪問介護計画書の作成スキル、アセスメントスキルはサービス提供責任者としての業務スキルの理解につながります。アセスメントや訪問介護計画書は介護サービスの考え方として「〇〇のニーズがある→〇〇を行うことで〇〇向上につながる(ニーズの改善)→だから必要」というように、全て根拠のある内容で記載しなければいけません。

また、利用者に関わる多職種が集まるサービス担当者会議においても根拠を基に発言する必要があります。実務者研修で訪問介護計画書の作成やアセスメントを学ぶことで、根拠あるサービスの基本姿勢を学び、実践を通じてスキルとして身に着けることができます。そのため訪問介護事業所でサービス提供責任者として現場にたったとき、スムーズに業務が遂行できるようになるでしょう。

サービス提供責任者を目指している方は、ぜひ実務者研修を受講し実践的なスキルを身に着けましょう。

吉田あい写真
この記事の著者吉田あい
プロフィール
大阪府出身。現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」「介護現場におけるリスクマネジメント」
特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。
カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。
保有資格
介護支援専門員(ケアマネージャー)、介護福祉士、社会福祉士、メンタル心理カウンセラーなど