介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修など介護の資格なら、カイゴジョブアカデミーにお任せください。資格の取得から就業支援までを幅広くサポート。介護未経験の方でも丁寧に指導致します。

介護職の賃上げ9000円に介護現場の声は?

更新日:2022/1/7

介護現場の声

岸田政権が打ち出した介護職や看護職、保育士などの賃上げ9000円政策。
「やったぁ!給料が上がる!」と喜ぶ声が上がる一方で、「私はもらえるの?」「実際いくらもらえるの?」と疑問をもつ声を聞きます。
では、実際いくらの賃上げが見込めるのか?また、対象となる人や正社員以外のパートやアルバイトももらえるのか?といったことについてお伝えしたいと思います。
介護現場の声を紹介しますので、現時点でわかっている範囲で、ぜひ参考にしてください。

賃上げ政策の概要

2022年2月から介護職の給与を月額9000円の引き上げという政策は、9月の自民党総裁選の分配政策の目玉として発表されました。

2021年11月19日の閣議決定において、「保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員」を対象に、「収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための措置」を「新しい資本主義」の経済対策の一環として打ち出されました。

11月26日に閣議決定された2021年度の補正予算では1,655億円が投じられ、介護職の賃上げには、この内およそ1,000億円があてられるとされています。

今回の政策の内容は、介護職のみならず保育士や看護師らの月収を2022年2月から引き上げ、介護職員や保育士で月3%程度(9000円)の賃上げを図る予定です。
また、支給については「介護職員処遇改善加算」を算定する事業所が補助の対象となり、基本給か固定手当で実施すると調整されています。

“賃上げ9000円”ということは、年額になると10万8000円もの賃上げが期待されますが、介護現場には期待半分、不安半分の声が広がっているのが現状です。

なぜ賃上げをするのか?

賃上げ政策の大きな目的は、介護職や保育士の慢性的な人材不足の解消です。
これらの職種の賃金水準の低さが、人が集まらない、人材不足の背景にあると指摘されたことから検討されました。
コロナ禍でも、介護職や保育士、看護師などエッセンシャルワーカーの重要性は再認識されたかと思います。
なくてはならない職種だからこそ、給料のベースアップを図り人材を充足するという目的があるのです。


・今回の賃上げ分が現場の職員の給与に反映され賃上げする
・給料アップを実感できれば離職を防止し、新規の雇用につなげられる

このような結果を狙った政府の考えがあります。

処遇改善金方式で支給予定

今回の賃上げ9000円は、介護職員処遇改善加算と同様に、施設の運営費などに回されず確実に職員の給与に反映されることが重要です。

このため事業所に対して、賃上げ計画書や補助金が給与として支払われた後の実績報告など、既存の処遇改善加算の仕組みを活用する調整が行われています。

しかし、介護事務を担う現場からは書類作成など業務負担の増大を懸念する声も…。

賃上げの対象となる人とならない人は?

賃上げの対象となる職種について、また介護に携わりながらも対象とはならない事業所・職種についてみていきましょう。

賃上げの対象となるのは介護現場で働く介護職員

賃上げの対象となるのは、介護報酬の介護職員処遇改善加算を取得している施設・事業所で、介護施設で働く介護職員とされています。

介護現場で実際に介護を行っている職員であれば、資格の有無や雇用形態に関わらず支給される方針です。
現在、介護事業所で働く138万人が対象とされ、正社員以外のパートやアルバイトも支給対象となっています。

介護施設で働く介護職員以外の職種、例えば介護施設のケアマネージャーや相談員、看護師、栄養士、リハ職、介護助手、事務職などは対象となりません。

対象外でも事業所次第でもらえるかも?

介護施設で働く介護職員以外の職種は、基本的に支給の対象外とお伝えしました。
しかし、事業所に支給された金額については処遇改善に活用するなら柔軟な運用が認められるとされています。

事業所側の判断で介護職以外の賃上げに振り分けるケースも考えられるということです。その際は介護の賃上げ9000円から差し引くため、他職種に分配すればするほど賃上げの金額がグッと下がる可能性もあるのです。

介護職員処遇改善加算の算定外の事業所も対象外になる

介護職員処遇改善加算の算定対象とならない事業所(居宅介護支援事業所・訪問看護・福祉用具貸与事業所など)は、介護に携わる仕事ではありますが賃上げの対象外となります。

また、今回の賃上げは介護現場で働く介護職を対象にしているため、医療施設で入浴や食事介助、排泄介助など介護職と同じような業務を行う看護補助も対象となりません。

なぜ看護補助者が対象にならないかというと以下の通りです。

・医療機関となり働く施設が異なる
・給与が診療報酬から支給されている

介護職よりも給与が高いから?と思われがちだが、介護職の月給水準は看護補助者の月給水準を6万円ほど上回るとされています。

看護については、コロナ禍において「地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関」で勤務する看護職員が給与引き上げの対象となっています。
その際に、看護職以外の職種(看護補助者やリハビリ職など)の処遇改善に分配できる仕組みがとられています。

しかしながら、医療機関において患者の年齢層は高齢化し、看護補助者の介護なしには医療提供は困難という現状です。
それにもかかわらず処遇改善の兆しがなく、今回の介護職の賃上げと同様の対応が望まれています。

懸念されていることとは?

そもそもの介護職の給与は夜勤分の手当を含めても全産業の平均賃金から約5~7万円低く、賃金の安い職種の代表とされています。

給料アップ!というと聞こえはいいですが、実際のところ9000円の賃上げ率の低さを考えるとはかなり小規模の給料アップになるでしょう。
9000円の賃上げをしたところで、給与水準はまだ低いままであり、支給される介護職は、その賃上げを実感できるのか疑問が残ります。

賃上げ分が介護報酬に加算されることで介護保険料や利用者負担が増額する可能性も高いですね。

そして多くの介護職が感じている不安は「適切にもらえるのか?」ということ。
従来からの介護職員処遇改善加算と同様の仕組みとなると、経営者側の裁量に影響されます。
「どの職員にいくら分配するか」という対象職員や配分率など、「均等に・全員に支払う」ルールはありません。
違法となりますが、不正利用や搾取する事業所も少なからずあるかもしれません。

また、支払われ方に明確なルールがあっても、支給の根拠は不透明なままです。
実際に9000円を手にすることはできないのでは?と不安を抱く介護職員はたくさんいます。
経営者の評価や判断次第で「Aさんは3000円」「Bさんは9000円」と、賃上げ額に差が生じることになるでしょう。

とはいっても、例え1カ月数千円でも給料アップが実現すれば、大きな第一歩でしょう。
これからの介護職員の処遇改善につながることを期待したいものです。

賃上げ9000円に対する現場の声は?

実際に今回の政策に対して聞かれた現場の声をお伝えします。
介護現場で働く職員と、医療現場で働く看護師からの意見です。


・不安な現場の声

「給料が本当に上がるか不安」
「処遇改善として賃上げするのはいいが、激務に見合っていない」
「賃上げ分が給料に反映されず、事業所に搾取されないか心配。
 ごまかされていても分からないし…」
「9000円増えたところで労働の対価に見合っていないと思う」
「目先の賃上げより環境改善をしてほしい」
「9万円上がるのかと思った(9000円なんて少なすぎるでしょ)」
「高齢者が増え医療現場での介護業務の度合いが多い。
 介護というなら看護師や看護補助者の賃金アップも検討してほしい」
「結局自分たちの税金が上がるのではないか?」

・期待の現場の声

「少額といわれるが進展があったのはいいことだと思う」
「9000円増えるなら嬉しい。5000円でも助かる!」
「これから段階的な賃上げに期待しています!」


まだ政策の内容が明確になっていないため、不安の声の方が多かった印象です。

また、こんな声も…
「賃上げよりも介護施設の人員配置の緩和を考え直してほしい」

現行の介護現場での人員配置では3対1になっていますが、ICTなどの活用を取り入れ4対1に緩和する案があるのです。
介護職の賃上げ9000円と飴の対策を打ち出しながら、現場にとっては鞭のような人員削減の政策も検討されている事実。

この政策は、ICTやAI化、周辺業務のアウトソーシング、これらに伴う業務オペレーションの最適化・効率化などの導入によって介護現場の慢性的な人材不足解消のため検討されているものです。

この人員配置についてはまだ制度化されていませんが、導入されれば緊急時の対応困難や介護職員の負担増になるのは必須。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
“介護職の賃上げ9000円”政策の概要とともに現場の声をお伝えしました。

介護職の賃上げ9000円には懸念も多く残り、目先の賃上げよりも、実際の介護現場に目を向けた環境改善に取り組んでほしいのが介護現場の本音ではないでしょうか。

しかし小さくても介護職の待遇改善のきっかけとなり、段階的にでも業務に見合った給与が支給されるよう、これからのよりよい政策を望みます。

また、今回の賃上げとともに既存の介護職員処遇改善加算についても、事業所側が介護職のことを考えた活用を行うよう、分配の仕組みについての軸を明確にする必要があるでしょう。

ぜひ、介護現場で働く介護職員の待遇、環境改善に視野を広げ、利用者のQOLの維持向上につながるよう検討してもらいたいものです。

介護職員初任者研修(旧:ヘルパー2級)を詳しくみる

この記事の著者

吉田あい


大阪府出身 現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」
「介護現場におけるリスクマネジメント」

特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、
介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、
介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。

カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、
実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。

【所持資格】
・介護支援専門員(ケアマネージャー)
・介護福祉士
・社会福祉士
・メンタル心理カウンセラー
など