介護職員初任者研修を安く受講するには?
介護職員初任者研修を安く受講するには?
介護の仕事を検討する時に、どのような資格が必要なのでしょうか?求人を見ていると、資格がなくても働けるところはあるようですが、将来を見越すと能力面や給与面でも資格がある方が有利になります。しかし、資格取得には時間もお金もかかります。
そこで、できるだけ簡単に安く、介護の資格を取得する方法をご紹介したいと思います。
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受講費用*&
テキスト代 -
振替受講や
再試験代 -
就業
サポート
*初任者研修 または 実務者研修
目次
1.介護職員初任者研修とは
介護職員初任者研修を受講する目的
介護職員初任者研修とは、これから介護の仕事をやってみようと思う人に最初に取得してほしい資格になります。介護の資格には国家資格である「介護福祉士」や、初任者研修の上級資格になる「介護福祉士実務者研修」があります。介護福祉士を受験するためには実務者研修を受講していることや実務経験が必要になります。介護職員初任者研修では、受講要件がないので誰でも受けることが可能です。かつては「ヘルパー2級」という名称で介護の資格が普及した時代もありますが、現在では廃止され介護職員初任者研修という名称の資格になっています。
介護の仕事には大きくわけて「生活援助」と「身体介護」の2種類があります。このうち訪問介護の身体介護に関する業務を行う場合には、介護の資格が必要になります。介護職員初任者研修の資格は、それらを始める時の「最初の資格」になります。
介護職員初任者研修のカリキュラム内容
介護職員初任者研修の取得にかかる期間は、おむね1ヵ月~4ヵ月程度です。時間数は130時間となり、各科目に時間数が定められています。受講する方法は、「通学と通信」もしくは「通学」の2種類があります。実技の講習もあるので、通信だけの受講で資格を取得することはできません。
科目 | 時間数 |
---|---|
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだの仕組みの生活技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
これらは、自宅学習と通学の学習時間を合計したものになります。すべてのカリキュラムが終了すると、筆記試験があります。講習先によりプランや時間割が異なります。筆記試験の内容は、講習内容に準じた内容になります。難易度は講習内容を理解していれば合格できるレベルで作成されており、万が一不合格の場合にも、追試にてほぼ全員が合格できるようなカリキュラムが研修実施校で組まれています。
介護職員初任者研修を修了すると、できるようになること
介護職員初任者研修の資格を取得すると介護の仕事に就くことができます。主な選択肢としては、「訪問介護員(ホームヘルパー)」「施設内介護スタッフ」「看護助手」という職種があります。
ホームヘルパーは自宅で生活している方のお宅に伺い、介護や生活援助を行ないます。仕事内容は、食事の介助や排泄の介助、入浴介助等の身体介護に関する業務や、外出支援等の移動介助を行います。
また、生活援助では洗濯や調理、買い物代行等を行い、ご利用者が過ごしやすい環境をサポートする業務です。
施設の介護スタッフは、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどでご利用者の入浴介助や食事介助、排泄介助等の身体の介護を主な業務とします。勤務は昼間だけでなく、早朝や深夜、夜勤の時間帯もあり24時間、ご利用者の生活をサポートする業務です。
看護助手は病院などに勤務する看護師のサポートをする業務です。医療行為はできませんが、入院している患者様の食事や排泄のお世話、入浴の介助、身の回りのお世話をする仕事になります。
2.介護職員初任者研修の受講にかかる費用相場
介護職員初任者研修を受講する時に「通信と通学」か「通学」を選択します。通信の場合もスクーリングは必要になるので、通学の必要性はありますが、通学する曜日や時間帯によって料金が異なる場合があります。
金額の相場は4万円台~10万円台と、地域やサポート体制によって料金はさまざまです。受講料金に差がありすぎて、あまりに安いと不安になることもありますが、立地条件に劣ることやテキスト代を別途で請求している場合もあり、平均的な受講料は7万円程度のところが多いようです。(4万円台の実施校は一部の地域に限られていることもあります)
受講する場合は、「夜間コース」「土日コース」「平日コース」等の通学する日程を選択できますが、料金やサポート体制によって振替授業の融通が利くかどうかも、研修実施校により違いがあり事前に確認が必要となります。
3.介護職員初任者研修の安い受講方法
介護職員初任者研修を安く取得したいと考えている方は、資料請求をして受講料の安いコースを選択すると思いますが、受講料のみ安くなる方法だけでなく、雇用保険を利用した教育訓練給付金や自治体からの補助金、母子家庭や父子家庭を対象とした自立支援教育訓練給付金制度があることも理解しておきましょう。
また、カイゴジョブアカデミーのように、介護職デビューキャンペーン制度があり、無料での受講が可能な場合もあります。
雇用保険の有無により変わる金額
雇用保険に加入していない人は、カリキュラムや立地を検討し、キャンペーン等で安くなっているかどうかを調べましょう。期間限定で安くなっている場合もありますし、友人や知人と申し込むと割引がある、実際に受講している人からの紹介で割引される場合もあります。さらに、上級の介護福祉士実務者研修と合わせて受講する人に対して、割引価格で受講できるスクールもあります。
雇用保険に加入している人は「教育訓練給付金」という制度を利用します。これは、一定の条件を満たしている人には、受講料の一部を補助しますという制度です。雇用保険に継続して3年以上(初めて利用する人は1年以上)加入している人が、指定の教育訓練施設に支払った「教育訓練経費の20%」に相当する額がもらえます。この制度を利用する場合の注意点は、自分の受講する講座が教育訓練給付の指定講座であるかどうか、自分が教育訓練給付金対象者であるかを確認する必要があることです。自分が対象者かどうかは、ハローワーク等で確認でき、指定講座かどうかは受講先に問い合わせると確認できます。
支給に関する注意点は、「10万円を超える場合は10万円とし、4千円を超えない場合は支給されない」ため、10万円以上の講座を受講した場合でも10万円が上限となります。したがって20%の額(2万円)が給付される額の上限となります。
補助金等を利用する方法も
自治体(都道府県や市区町村)が「介護職員研修受講支援事業」を行っている場合も多く、「補助金」「助成金」等の名称で自治体ごとに独自の補助金を支給する制度があります。補助金の金額や要件は各自治体によって異なりますが教育訓練給付金より補助金の額が大きいケースが多いので、お住まいの自治体のwebサイトを見るか、電話で問い合わせてください。自治体の予算や先着順で支給されているところもあるので、利用を検討している場合は早めの対応が必要です。手続きには、領収書等が必要になりますが、多くの自治体では教育訓練給付金との併用は認めていません。さらに、介護施設や介護業務に継続して携わることや、市税の滞納がないことを要件にしている自治体も多くみられます。
また、自立支援教育訓練給付金制度という、母子家庭や父子家庭を対象とした給付金の制度もあります。給付額は教育訓練給付金と同様で、上限支給額は10万円となり20%が戻ってきます。これも教育訓練給付金との併用はできません。
自立支援教育訓練給付金制度の対象者は、「20歳未満の子どもを扶養している」「児童扶養手当の支給を受けているか又は同様の所得水準にあること」「雇用保険法による教育訓練給付の受給資格を有していないこと」「就業経験・技能・資格の取得状況や現在の労働市場などを考慮して、当該教育訓練が適した職に就くために必須であると認定されること」の、すべての条件に該当していることが必要になります。
4.受講費用が安い介護職員初任者研修を受講する際の留意点
転職を理由として、ハローワークで職業訓練を無料で受けることもできます。この場合、「求職中でハローワークに求職登録していること」が条件です。留意点は、「テキスト代は実費」「受講するためには面接と筆記試験がある」「倍率が高いので選考で受けることができない場合が多い」「開講日数が少なく、希望の日程や時間に受講できないこともある」「欠席時の振替が受けにくい」等があります。
民間のスクールでは、育児や仕事との両立を前提にしているところも多く、ハローワークの職業訓練とサービス内容は違います。
安い講座を受講する時の留意点には、いくつかのポイントがあります。
振替の授業への対応
介護職員初任者研修の講座の難易度はそれほど高くはなく、すべてのカリキュラムをクリアすることで合格することができます。逆に、休んでしまった場合は資格を取得できません。体調やスケジュールの都合で、すべての日程が調整できない場合には振替が必要になります。その際、開講スケジュールが限られているスクールや、不定期で貸し会場を利用しているスクールにおいては、申し込みの前に振替授業のシステムに関して確認するようにしましょう。
立地条件
通いやすいということは、駅前や公共交通機関からも通学しやすい場所で賃料も高くなります。その場合、その立地条件が受講料に反映されている場合もあるので、スクーリング時の交通手段も検討しましょう。通信で補える部分もありますが、通学における時間数もあるので、通学手段や交通費も含めて検討する必要があります。
講師の質
介護職員初任者研修の講師は、経験豊富な介護福祉士や看護師が務めることが多いです。現場での経験が豊富であることと、講師としての経験は別の問題で、教え方が上手であるとは限りません。講師のスキルを講習前に判断することは難しいですが、口コミやスクールの規模、開講授業数を目安にしてみましょう。大手のスクールでは、講師陣に対する研修も行われており、料金が高い分安心できる要素もあります。安いからといって講師の質が悪いと判断はできませんが、開講日数のすくないスクールの講師よりも、開講日数の多いスクールの講師の方が経験値は多いと思われます。
テキスト代やそのほかの料金が含まれているかどうか
申し込み時の料金内容に何が含まれているのか、十分に確認しましょう。テキスト代が別途必要と書かれていることもあります。また、交通費や昼食費等の実費のほかに必要な料金がないのか事前に確認しましょう。
就職サポート
養成講座だけでなく人材サービスも同時に行っている大手のスクールでは、人材専門の知識を持つスタッフがいます。そのようなスタッフが在籍しているところでは、優先的に採用してくれることもあります。また、面接の練習や就職斡旋をサポートしてくれるスクールもあります。
5.まとめ
介護の仕事に就くための最初の資格は「介護職員初任者研修」になります。就職してから資格を取得することは、時間的な課題や体力的な問題もあります。取得までの料金も重要ですが、制度をうまく活用し、自分のライフスタイルに合ったスクールを探してください。補助金や教育訓練給付金に関しては知らない人も多く、身近な人が検討している場合は教えてあげてください。
- この記事の著者 吉田あい
- プロフィール
- 大阪府出身。現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」「介護現場におけるリスクマネジメント」
特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。
カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。
- 保有資格
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)、介護福祉士、社会福祉士、メンタル心理カウンセラーなど
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この記事の監修者
カイゴジョブアカデミー
編集部
- 介護専門の資格講座学校「カイゴジョブアカデミー」の編集部です。
介護業界のプロフェッショナルが介護の仕事や資格に関するお役立ち情報をお届けします。