介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修
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介護職員初任者研修の課題は難しい?

食事の介助をする女性介護職員

超高齢社会を突き進む日本では、介護の担い手として介護福祉士のニーズは高まる一方です。
介護資格の国家資格である介護福祉士は、給料アップやキャリアアップにつながるとされメリットが大きい資格です。

しかし、資格を取得したいと思っても資格取得の方法や難易度が分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、介護福祉士の資格の取り方や介護福祉士国家試験の難易度、試験対策のポイント等について筆者の実体験も踏まえてご紹介します。
資格取得のメリットもあわせて説明しますので、介護福祉士試験を目指している方、働きながらでも合格できるか不安な方はぜひ参考にしてください。

介護福祉士資格とは?役割は?

介護福祉士は1987年に制定、2007年に改正された”社会福祉士及び介護福祉士法”により定められた国家資格で、高齢の方や障害や疾病により介護を必要とする方に対して専門知識と技術を用いて生活や動作をサポートする専門資格です。
要介護者本人だけでなく家族へのレスパイトケア(介護の休息)、地域住民への働きかけなどの支援も役割のひとつで、介護施設や介護事業所、医療機関、在宅など様々な場所で活躍します。
また、介護の仕事は未経験や無資格でも行えますが介護福祉士になれば現場での活躍だけでなくスタッフへの指導など、より幅広い仕事ができるでしょう。

介護福祉士のなり方は?受験資格4つのルート

介護福祉士になるには、国家資格である介護福祉士の受験資格をもち試験に合格、そして介護福祉士として登録することで名乗ることができます。

介護福祉士の国家試験受験は学歴や年齢は問いませんが、定められた受験資格が必要となります。では受験資格はどうすれば得られるのか、4つのルートを説明します。

1.実務経験ルート

介護現場で3年以上・540日以上の実務経験を積み実務者研修を修了するルートです。
介護現場で働きながら介護福祉士を目指し、実務経験はアルバイトやパート、派遣社員でも可能です。
実務者研修、介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修の修了が必須要件となり、実技試験は免除されます。

【受験資格】
・3年以上の実務経験 + 実務者研修の修了
または
・3年以上の実務経験 + 介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修の修了

【メリット】
・現場で実務に携わりながら知識やスキルを学べる
・リーズナブルに資格取得できる

【デメリット】
・業務に終われ学習時間を作るのが大変
・未経験から目指す場合、実務経験を得るため最低3年必要になる

2.養成施設ルート

文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校または都道府県知事の指定した養成施設を卒業後、筆記試験に合格することで介護福祉士を目指します。(実技試験は免除されます)

【メリット】
・福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかを卒業していれば最短1年、高等学校等卒業であれば2年以上の養成・施設通学で受験資格を得ることができる
・理論に基づいた知識の修得と実践的な学びができる

【デメリット】
・養成施設の学費や時間がかかる

3.福祉系高校ルート

福祉系高校、福祉系特例高等学校で定められた課程を修了し、介護福祉士を目指します。

・2009年度以降入学者→実技試験免除
・2008年度以前入学者→介護技術講習の受講により実技試験が免除

【メリット】
・最年少で介護福祉士資格取得を目指せる
・介護福祉士の受験資格を得ながら進学も◎

【デメリット】
・福祉系高校自体が少ない

4.経済連携協定(EPA)ルート

経済連携協定(EPA)に基づき、EPA介護福祉士候補者+実務経験3年以上の方が介護福祉士資格取得を目指すルートです。
研修を受けながら就労するインドネシア人、フィリピン人及びベトナム人がEPA介護福祉士候補者受入れ対象となり、介護技術講習または、実務者研修の受講により実技試験免除となります。

以上、4つのルートから介護福祉士の受験資格を満たすことができます。
介護業界にいくか悩んでいる方、すでに介護業界で働いている方は、「実務経験ルート」がおすすめです。

受験要件となる「介護福祉士実務者研修」

2017年より介護福祉士国家試験受験に必須となった「介護福祉士実務者研修」は、より質の高い介護サービスを安定的に提供していくことを目標にしています。
基本的な介護の知識や技術、介護課程の展開などを学び、視野の広い介護人材となるためのスキルを身に着けます。

介護福祉士実務者研修で学ぶ内容

介護福祉士実務者研修は20科目(450時間)となり、「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」と大きく4つのカリキュラムを学びます。

介護職員初任者研修や訪問介護員研修、介護職員基礎研修、その他全国研修(認知症実践者研修・喀痰吸引等研修)を受講していれば、科目が一部免除となりますので事前に確認しましょう。

実務経験3年以上の要件を満たしていても、実務者研修の受講が終了していなければ介護福祉士の受験資格を得ることができません。
働きながらでも学びやすい配慮もされているので、自身が学びやすいスクールや通信講座等を選び、休日や仕事終わりをうまく活用し受講しましょう。介護福祉士実務者研修の受講料ですが、調べると3万円~15万円と差があります。
受講料は、所持している資格(介護職員基礎研修・初任者研修)やスクール、免除科目によって異なります。
インターネットやパンフレットなどで比較し、実際に問い合わせご自身に合ったスクールを選びましょう。

介護福祉士国家試験「筆記試験」の試験内容

筆記試験は午前・午後に分かれて実施され、試験時間はそれぞれ110分。
出題領域は「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」「総合問題」で構成され、125問の五肢択一を基本とする多肢選択形式で出題されます。

令和4年度(第35回試験)から適用する介護福祉士国家試験出題基準は以下の通りです。

———
〇人間の尊厳と自立
〇人間関係とコミュニケーション
〇社会の理解
〇介護の基本
〇コミュニケーション技術
〇生活支援技術
〇介護課程
〇発達と老化の理解
〇認知症の理解
〇障害の理解
〇こころとからだのしくみ
〇医療的ケア
〇総合問題
———

また、試験科目別出題基準は公益社団法人社会福祉振興・試験センターの公式サイトにて公開されていますので確認しましょう。

筆記試験の難易度

合格ラインは総得点の60%程度(70~75点)で、難易度により補正されます。
過去数年は合格率70%前後を推移しており他の難関試験と比較すると高い傾向で、今後はさらに介護ニーズが高まるため、合格率や難易度の大きな変化はないと予測されます。
ただし、「11科目すべてで1点以上必要」なので総得点が合格点に達していても特定の科目で0点であれば不合格になってしまいます。

介護福祉士筆記試験対策のポイント

働きながら介護福祉士合格を目指している方は、なかなか学習時間がとれないことに苦慮していることと思います。

そこで効率的な学習を進めるためのポイントを紹介します。
実際、私が介護施設で仕事しながら学習した方法ですので参考にしていただければと思います。

〇学習を習慣づける
出題範囲が広い介護福祉士国家試験。浅く広い知識と、実践的なスキルが必要です。
働きながら学習する場合は、仕事や家事、通勤時間などスキマ時間を見つけテキストや一問一答を活用しましょう。
通信・通学で対策講座の受講がありますので、より確実に学びたい方にスクールでの受講がおすすめです。

〇1冊のテキストを使い込む
筆者が行っていた勉強ですが、多くのテキストを使わず1冊のみで勉強を進めていく方法です。1冊のテキストを中心に学習を進め、過去問題や問題集を行う中で不足している内容や関連事項をテキスト内に書き込んでいきます。
この1冊が自分専用の虎の巻になり、学んできた内容がギュッと集約されたテキストになるはずです。試験当日も、1冊のみ持っていけば良いですし「ここまでやりこんだ」というモチベーションにもなるでしょう。

〇時事問題や国の動向を知る
ニュースで話題になった事柄や国が推進する施策、制度化・改正された介護に関する法律が出題される傾向があります。
試験前はテキストの問題や過去問題だけでなく、最新の情報収集も心がけましょう。

〇毎日の業務を大事に学習につなげる
介護福祉士国家試験は、毎日の業務で身に付いた知識やスキルが役立つ内容です。
業務で気を付けていることや工夫、連携などが改めて問われ、利用者に適切なケアができている方はスムーズに解答できるはずです。
現場での「なぜ?」「どうして?」という疑問を根拠に結び付け、実践していくことが試験に役立つでしょう。

事前にイメージを!試験当日の雰囲気

介護福祉士国家試験の会場の雰囲気や注意点について、第26回介護福祉士国家試験を受験した私が感じたことをお伝えします。

〇経路の確認、早めの到着を!
試験は冬の寒い日に実施されますので、雪の影響や交通事故なども予測されます。
バスや公共交通機関などの乱れに気を付け早めに到着することがポイントです。

〇トイレの確認は必須、大混雑のトイレ!
私はインテックス大阪が試験会場でしたが、臨時にトイレは増設されていたものの、女性トイレは長蛇の列で混雑します。
試験前にトイレの確認は必ずしておくこと、そして試験会場の中で遠めのトイレ(部屋の横のトイレは×)、別館などへ行くと混雑を避けられますので臨機応変に対応しましょう。

〇温度調節できる服装、室内は想像以上に暑い!
1月の寒い日ですので厚着をしていましたが、試験会場となる室内は思っていた以上に暖房が効いて汗ばむほど。インテックス大阪は大規模な会場ですが、私の試験会場はその中でも小さめの部屋でしたので、暖房がよく効いていたようです。

広い会場では座る場所によって暖房が効きにくい場合もありますので、着脱しやすい上着・防寒対策は必須です。

介護福祉士国家試験「実技試験」の試験内容

実技試験は第29回試験より福祉系高校卒ルート、経済連携協定(EPA)ルートの免除対象外の方のみが受験します。実務者研修が必須となったので、実務経験ルートでは実技試験を受験する方はいません。
実技試験は、実践的な介護に基づいたシチュエーション問題が出題基準の中項目からテーマが出題されます。
試験の制限時間は5分以内で、実技試験開始前に利用者の情報や心身状況、ニーズが提示されどのような介助をすればよいかを考え実践します。


【実技試験を受ける必要がある人】
・2008年度以前の福祉系高校で旧カリキュラムにて卒業(「介護技術講習」を修了していない)
・特例高校等の2009年度以降に入学し、実務経験が9ヵ月以上あり「介護技術講習」を修了していない
・経済連携協定(EPA)ルートで「介護技術講習」や「介護福祉士実務者研修」を修了していない

実技試験の難易度

合格ラインは総得点の60%程度(過去数年は46点~60点が合格基準点)で、筆記試験と同様、難易度により補正される場合があります。
実技試験で出題される課題については、通常業務で行っているような介助ですので、それほど難易度は高くありませんが「自立支援と尊重」を大事にした介助かどうかが合格の別れ道になります。
例えば、
・事前の説明や声かけをせず介助をはじめた
・利用者の自立支援を無視した介助をおこなった
というような場合は減点されるポイントです。
実務的な介助の実践が試験内容ですが、試験の場であることや緊張感から介護技術が優れている方もいつも通りの介助ができない可能性がありますので注意が必要です。

実技試験免除「介護技術講習」

「特例高校(専攻科を含む)を卒業し、9ヶ月以上介護等の業務に従事した方」、「福祉系高校(専攻科を含む)を卒業した方(平成20年度以前の入学者)」、「EPA介護福祉士候補者」は、介護技術講習を修了し実技試験を免除することができます。
介護技術講習は多くのスクールで4日間(32時間)の日程で、介護課程の展開やコミュニケーション技術、移動や排泄の介護などの講義・演習からカリキュラムが構成されます。
理論に基づいた実践を学び、介護計画書作成の課題や実技試験を経て修了認定を受けます。
介護福祉士国家試験で筆記試験に合格したのに実技試験で不合格になったらもったいないですよね。
介護技術講習は時間や費用はかかりますが、根拠のある適切なケアを学べるので筆記試験対策にもなり、筆記試験だけに集中して勉強することができます。
確実に合格したい方や実技面で不安な方は、実技試験免除となる介護技術講習の受講がおすすめです。

私自身、介護技術講習を受講し実技免除で試験に臨みましたが、やはり受講していてよかったと思います。
日頃の介助の見直しができましたし、何より筆記試験だけに集中して勉強することができたからです。
介護技術講習では利用者の自立支援を支えるケアや声かけの仕方、心身に負担ない介助方法、理論的なケアに基づいた介護計画書の作成を学びます。
即戦力となる介護福祉士として、現場でのケアに役立てることができます。

介護福祉士資格取得5つのメリット

ここまで資格取得の方法についてお伝えしましたが、「介護福祉士になったらいいことはあるの?」と気になっている方も多いかと思います。
そこで、介護福祉士資格取得のメリット5つを紹介しますので「絶対合格するぞ!」というモチベーションアップにつなげてください。


・サービス提供責任者や介護リーダーに!管理職を目指せる
・資格手当で2~5万円の差!給与・待遇アップ
・就職・転職で有利!履歴書への記載ができる
・認定介護福祉士やケアマネジャーへの第一歩!上位資格へのキャリアアップ
・介護のエキスパート!一生使えるスキルになる

仕事に困らない職種とされる介護職ですが、中でも介護福祉士は施設や事業所での配置基準が定められているため高待遇が多いことが特徴。
より高い給料を目指すなら資格取得は必須!

介護福祉士は資格更新がないので、取得すれば一生のスキルとして安定して働くことができるのもメリットのひとつですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
介護福祉士の資格の取り方や介護福祉士国家試験の難易度、試験対策のポイント等について紹介しました。
「猫の手も借りたい」といわれる人材不足で多忙な介護現場ですが、2025年度には243万人の介護人材が必要となるとされています。
介護分野で唯一の国家資格である介護福祉士は介護業界のエキスパートとしてこれからの時代に欠かせない存在であり、需要はますます高まるでしょう。

試験の内容自体の難易度はそれほど高くはありませんが、確実な合格を目指すならポイントを押さえた対策をすることが大切です。
これから介護福祉士試験に取り組む方は「理論に基づいたケア」「自立支援に向けた利用者目線でのケア」を理解しながら、合格を目指してください。

投稿日:2018年7月11日 更新日:

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