特別養護老人ホームって?資格や仕事内容、お給料などを解説!
特別養護老人ホームではどんな仕事をするの?具体的な仕事内容を解説!
特別養護老人ホームでの介護士のお仕事は、非常にやりがいのあるものですが、実際にどのような仕事をするのか、気になる方も多いかと思います。
そこで今回は、特別養護老人ホームでの仕事内容や働き方、お給料、特別養護老人ホームで働くメリットなどについて解説いたします。特別養護老人ホームでの介護士の仕事内容に関心がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
-
受講費用*&
テキスト代 -
振替受講や
再試験代 -
就業
サポート
*初任者研修 または 実務者研修
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の詳細はこちらから>>
目次
特別養護老人ホームとは?
特別養護老人ホームは、地方公共団体や社会福祉法人が運営し、「介護老人福祉施設」や「特養」とも呼ばれている介護施設です。
常に介護を必要とし、在宅での生活が難しい高齢者に対して入浴や、排泄、食事等の介護、その他日常生活の世話、機能訓練、健康管理などのサポートを行います。
入居対象者は、原則要介護3以上の方が入居対象となります。ただし、要介護1・2の方でも、やむを得ない事情により在宅での生活が困難であると認められる場合には、特例的に入所することが可能です。
特別養護老人ホームには、「多床室」と「ユニット型個室」の2種類があります。
- 多床室:従来型のタイプで、他の入居者と同じ部屋で過ごします。
- ユニット型個室:全室個室で共用リビングが設置され、入居者一人ひとりの個性や生活リズムに合わせたケアを提供します。
特別養護老人ホームでの仕事内容は?
特別養護老人ホームの仕事は、入居者が快適に暮らすために生活全般の様々なサポートを行います。
- 食事介助:美味しく食事が摂れるようにサポートすること
- 入浴介助:安全な入浴を介助すること
- 排泄介助:排泄の際に見守りや介助を行うこと
- 着替えの介助:衣類の着脱をサポートすること
- 生活サポート:日常生活の家事をサポートすること
- メンタルケア:心理的なケアを行うこと
- レクリエーション:楽しみや娯楽を提供し、リフレッシュや社会的な交流を促すこと
- 機能訓練:身体機能や認知機能の維持向上のため、リハビリを行うこと
- 看取り支援(ターミナルケア):最期の時間を支えるケアや心のサポートを提供すること
それでは特別養護老人ホームでの仕事内容について、詳しく見ていきましょう。
食事介助
特別養護老人ホームに入居されている高齢者の中には、認知症や身体の衰えなどの理由で、自分で食事をすることが難しい方もいます。介護士は入居者一人ひとりに合わせた食事介助を行い、食事を楽しく、安心して召し上がっていただけるようにサポートします。
具体的には、利用者様の健康状態や嗜好に合わせた食事を提供し、献立の説明や声かけを行いながら安全に摂取していただけるように介助します。
入居者によって、普通食から一口大食、きざみ食、ミキサー食など、食事形態が異なるため、介護職員はその方に合わせた食事を提供する必要があります。
また、食事介助の前後には、手洗いや配膳、片付けなどの準備も行います。食事の際には、介護職員自身も食べることが多く、利用者様とのコミュニケーションを大切にしながら、食事を共にすることが大切です。
入浴介助
入浴介助は、入居者が身体の清潔を保ち、健康的な生活を送るために必要なケアの一つです。個浴、一般浴、機械浴、リフト浴、ストレッチャー浴など、利用者のADL (日常生活動作)に応じた様々な入浴方法があり、体調不良や拒否などで入浴できない方は、シャワー浴、清拭、部分浴(足浴、手浴)などで対応します。
入浴介助を行う際は、入居者の心身の状態やバイタルサイン(脈拍・血圧・呼吸・体温)を確認し、安全面に配慮します。具体的な介助方法は、入浴の声かけから始まり、健康チェック、着脱介助洗身、洗髪などを行います。入浴介助中はコミュニケーションを取りながら、リラックスした気分で入浴を楽しめるようにサポートし、入浴後は、着衣介助を行い、十分な水分補給を促します。
入浴は、身体の清潔保持だけでなく、疼痛緩和 (とうつうかんわ:痛みや倦怠感などの症状を和らげること)、血行促進、新陳代謝の向上、感染症予防、精神の安定、リラックス効果やスキンチェックなどの効果があります。
利用者の心身の状態、認知症のレベル、環境整備などの要素を考慮し、安全性に配慮しながら適切なケアを行うことが大切です。
排泄介助
排泄介助は、トイレへの誘導や介助、ベッド上でのおむつ交換などがあります。
トイレへの誘導や介助では、介護士が丁寧に誘導し、トイレ内での動作を見守り、便座に座る手助けやズボンの上げ下ろし、パッドやオムツの装着などを行います。また、ベッド上でのおむつ交換では、おむつやパッド、陰部洗浄、清拭タオルなどを用意し、プライバシーに配慮しながら行います。
排泄介助には、入居者の清潔保持や快適な環境維持、自立支援、寝たきり予防などの目的があります。
その一環として、介護士は排泄介助時にスキンチェックを行い、皮膚疾患の早期発見をすることが重要です。スキンチェックによって、おむつやパッドの摩擦や湿気、適切な清拭などが行われているかを確認できます。早期発見によって皮膚疾患の進行を防ぎ、利用者の健康維持につながるため、スキンケアを含めたきめ細かなケアが求められます。
着替えの介助
着替えの介助は、入浴や排泄、起床後、就寝前など、日々の様々なシーンで必要になり、入居者の快適な生活を支援するために欠かせない介助です。介助の流れは、まず入居者の希望を確認し、必要な服装を用意します。その後、プライバシーを保ちながら、着替えをサポートします。衣服を着脱する際には、入居者の体の動きや健康状態、感情に配慮しながら、ゆっくりと作業を進めることが重要です。
特に、麻痺や片側に障がいを持つ利用者の場合、脱健着患(だっけんちゃっかん)※に気をつける必要があります。
「脱健着患」とは、「脱ぐときは健側(けんそく)※から、着るときは患側(かんそく)※から」という意味で、麻痺や拘縮、痛みのある方に負担をかけずに健側の残存能力を活用する着脱方法です。
健側は、半身に麻痺や障がいを負っている場合の、障がいがない側の身体のこと、患側は、障がいがある側のことを指します。
着替えの介助では、入居者の好みや体調に合わせて、衣服や靴下、下着などを選択し、季節や天候に合わせたものを選ぶことができるよう声かけを行うこともあります。
生活サポート
身体介助だけでなく、洗濯や掃除、買い物などの日常生活のサポートも介護士の仕事内容に含まれます。ここでは主な生活サポートである「洗濯」「掃除」「買い物」について説明します。
・洗濯
入居者の衣服やタオル、寝具などを定期的に洗濯することで、清潔な生活環境を維持します。専門のスタッフが洗濯業務を担当し、洗濯機や乾燥機を使用して洗濯を行ったり、介護士が入居者とともに行ったりと施設によって様々です。入居者の好みや状態に合わせて、柔軟剤や漂白剤の使用など、細かい配慮も行います。
・掃除
特別養護老人ホームでは、共有スペースや居室、トイレ、浴室などを定期的に清掃しています。共有部分については、清掃業務を行う専門のスタッフに委託している施設が多く、日々の掃除は主に介護士が行います。また、入居者自身が掃除をしたい場合には、必要な用具や洗剤を提供し、サポートを行います。
・買い物
介護士は、入居者から日用品や嗜好品などについて「買物がしたい」と希望があった場合は、同行して、入居者をサポートします。入居者が自分で買い物に行くことができない場合には、スタッフが代行して買い物を行ったり、家族に依頼することもあります。
筆者が働くグループホームでは、日常的に入居者と買い物に行く以外に、年に2回、業者に依頼して出張デパートを開催しています。衣類や靴、下着、お菓子、飲み物、雑貨など様々な商品が販売され、外出が困難な入居者も買い物を楽しむことができます。これらの日常生活のサポートは、全てを介護士が行うのではなく、利用者のペースや方法に合わせて、「共に行うケア」が大切です。
メンタルケア
高齢者は、身体的なケアだけでなく、精神的なケアも必要です。
介護士は、入居者の表情や仕草、言葉遣いなどから、その方が何を求めているかを察知し、必要に応じて話を聞いたり、悩みを解消するサポートをします。
例えば、一緒に歩いたり、食事を楽しんだり、会話を楽しんだりすることで、心のケアをすることができます。また、特別養護老人ホームでは、認知症の方も多くいます。介護士は、認知症の方に対して、ストレスを与えないように配慮し、リラックスできる空間を提供することも大切です。
レクリエーション
特別養護老人ホームにおけるレクリエーションは、入居者の生活の質を向上させ、生きがいや喜びを感じていただくことが目的です。また、入居者同士の交流を深めたり、介護予防や、認知症予防などにも効果があります。
レクリエーションには、個人的な趣味や利用者全員が楽しめるアクティビティなど、様々な種類があります。例えば、手芸や書道、絵画などのアート関連のレクリエーション、軽い運動や体操、卓球などのスポーツ関連のレクリエーション、クイズやゲームなどの頭を使うレクリエーションなどです。また、季節限定のイベントである花見や夏祭り、クリスマスパーティーなどの他にも、カラオケ大会やビンゴ大会なども人気があります。近隣の保育園や幼稚園、小学校、地域の方との交流イベントや、ボランティアによる演奏や、マジックショーなども開催されています。
レクリエーションを企画するスタッフは、入居者のニーズや興味に合わせて慎重に選択し、入居者が喜んでいただけるようなプログラムを提供しています。
機能訓練
特別養護老人ホームでは、入居者の身体機能を維持・改善するための取り組みとして、機能訓練指導員※によって機能訓練が行われます。
常勤専従の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者
特別養護老人ホームの人員基準として、機能訓練指導員を1名以上配置することが必要です。
そして、介護士は「生活リハビリ」となる機能訓練を実施します。
生活リハビリでは、入居者の状態やニーズに合わせて、日常生活の動作を訓練し、自立した生活を送るためのサポートを行います。声かけや介助を適切なタイミングで行い、身体機能や日常生活動作の維持・向上、認知症予防を目指します。
看取り支援(ターミナルケア)
特別養護老人ホームは、入居者が終の棲家として最期を迎える場所でもあり、多職種の専門家が入居者と家族を支えます。具体的には医師をはじめ、看護師や、栄養士、機能訓練指導員、相談員、介護士などの多職種が連携して、看取り支援(ターミナルケア)を行っています。
入居者が余命を告げられた際、介護士は入居者や家族と十分なコミュニケーションをとり、入居者の状態や希望を確認します。
そして、入居者が最期まで自分らしい生き方ができるよう、リビングなどの共有スペースや居室での過ごし方に配慮し、生活面でも苦痛がないよう、食事や排泄の介助など、きめ細かなケアを心がけます。また、入居者とじっくり話をしたり、入居者が楽しめる音楽を流したりすることで、安心して過ごせるよう、心のケアも行います。
このように特別養護老人ホームでの仕事は、入居者と家族にとって、心地よい空間と温かいサポートを提供することが大切で、そこで働く介護士は、入居者の気持ちに寄り添い、思いやりと尊重の心をもって接することが求められます。
特別養護老人ホームでの働き方って?
特別養護老人ホームで働く介護士は、基本的に早出・日勤・遅出・夜勤のシフト制で働きます。
入浴・排泄・食事・移動、移乗・レクリエーションなどの業務はシフトやその日のスケジュールによって役割が分担されます。
特別養護老人ホームでの1日の流れ
特別養護老人ホームでの1日の流れは、施設や勤務時間、利用者の状況によって異なることがあります。
ここでは、一例をご紹介します。
◆特養で働く介護士の1日の流れ◆特別養護老人ホームで役立つ資格って?
ここでは、特別養護老人ホームで役立つ3資格「介護職員初任者研修」、「介護福祉士実務者研修」、「介護福祉士」のについて説明します。
介護職員初任者研修 (旧ヘルパー2級)
「介護職員初任者研修」は、旧ホームヘルパー2級が改称された、介護職の入門資格として目指す研修です。
介護士として働くために必要な知識や技術を身につけるためのもので、学歴や年齢、資格の有無などの制限がなく、介護職が未経験・無資格の方でも学びやすいカリキュラムが組まれています。介護職員初任者研修を受講することで、仕事の幅を広げ、訪問介護員として働くことができるようになります。
◆資格の取得方法
厚生労働省または都道府県知事が指定した養成校で、厚生労働省が定めたカリキュラムを修了し、修了試験に合格することで介護職員初任者研修の資格を取得できます。
学歴や年齢、前提資格などの制限はありませんので、知識ゼロから介護職のキャリアパスを歩むことができます。
厚生労働省が定めた介護職員初任者研修の研修科目及び研修時間は、介護職員初任者研修が130時間です。
カリキュラムは全国共通ですが、各スクールによって内容や修了試験の内容は異なる場合があります。また、スクールによって様々なコースが設定されており、カイゴジョブアカデミーでは、自宅学習とスクーリングの2本柱で資格取得を目指します。テキストをもとに自宅で通信課題に取り組み、基礎知識を身につけていきます。
次に15日間のスクーリング(通学)が始まり、介護の基礎知識や実技演習で実践的な介護技術を学びます。最終日には学んだことを確認する修了試験が行われ、合格者には修了証が発行されます。不合格の場合は無料でもう一度チャレンジできます。修了試験は、これまでの受講内容を確認するための試験ですので、しっかり学べば難易度はさほど高くありません。
資格の取得費用
一般的な初任者研修の費用の相場とカイゴジョブアカデミーの費用をご紹介します。
初任者研修の費用の相場 | 5~10万円 | |
---|---|---|
カイゴジョブアカデミーの費用 | 東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知
42,900円 (税込・テキスト代込) |
大阪・兵庫・福岡
31,900円 (税込・テキスト代込) |
また、求職中の方を対象に介護職員初任者研修の受講料とテキスト代を当校が実費負担し、就職支援も無料でサポートする介護職デビューキャンペーンを実施しています。介護のお仕事をご検討中の方はぜひお気軽にご相談ください。
-
受講費用*&
テキスト代 -
振替受講や
再試験代 -
就業
サポート
*初任者研修 または 実務者研修
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の詳細はこちらから>>
介護福祉士実務者研修(旧ヘルパー1級)
「介護職員実務者研修」は、旧ホームヘルパー1級が改称された資格で、介護過程の展開や医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養など)も含め、介護現場の即戦力として実践的な知識やスキルを身につけます。
受講するために必要な資格はなく、未経験の方や介護職員初任者研修を受講していない無資格の方でも受講できます。介護福祉士国家試験の受験資格には、2017年より介護職員実務者研修の受講修了が義務付けられているため、介護福祉士を目指す方には必須の資格です。
◆資格の取得方法
厚生労働省または都道府県知事が指定した養成校で、厚生労働省が定めたカリキュラムをすることで 資格を取得できます。
厚生労働省が定めた研修科目及び研修時間は、無資格者の場合、養成校で450時間の受講時間で、6カ月~1年の研修を含むカリキュラムを受講します。
基本的に学習内容やカリキュラムはどこのスクールで学んでも同じですが、実務者研修の受講時間や講座内容は都道府県の規定によって異なり、スクールによって様々なコースや通学日数が設定され、保有する資格でも受講時間が異なります。
◆資格の取得費用
一般的に実務者研修にかかる費用は、スクールや保有資格によって異なります。
無資格者 | 10万円~15万円 |
---|---|
介護職員初任者研修取得者 | 8万円~15万円 |
カイゴジョブアカデミーの実務者研修の受講費用は以下のとおりです。
実務者研修の受講費用
初任者研修修了者 | 90,200円(税込・テキスト代込) |
---|---|
ヘルパー2級修了者 | |
無資格者 | 110,000円(税込・テキスト代込) |
初任者研修と同様に、求職中の方を対象に介護職員初任者研修の受講料とテキスト代を当校が実費負担し、就職支援も無料でサポートする介護職デビューキャンペーンを実施しています。
介護のお仕事をご検討中の方はぜひお気軽にご相談ください。
-
受講費用*&
テキスト代 -
振替受講や
再試験代 -
就業
サポート
*初任者研修 または 実務者研修
介護福祉士
介護福祉士は、介護職員のスキルアップ資格であり、キャリアパス上位の国家資格です。介護のエキスパートとして、リーダーや管理者として活躍できます。
介護施設や訪問・通所介護事業所、医療施設など様々な場所で活躍し、介護現場での介助だけでなく、介護職員の指導や利用者へのサポートなど仕事の幅も広がります。介護業界でのニーズが高く、安定した仕事が確保できるだけでなく、認定介護福祉士やケアマネジャーなどキャリアアップを目指すこともできるでしょう。
◆資格の取得方法
介護福祉士の資格取得までには、3つのルートがあります。
1 | 介護現場で3年以上・540日以上の実務経験を積み介護福祉士実務者研修を修了 |
---|---|
2 | 養成校を卒業 |
3 | 福祉系高校を卒業 |
いずれかのルートを経た後に介護福祉士国家試験を受験し、合格を目指します。
介護現場で働きながら介護福祉士合格を目指している方は、(1)の実務経験を積んで取る方法が一般的です。
介護福祉士は介護業界でのニーズが高くキャリアアップ資格となるので、安定した仕事が確保できるでしょう。カイゴジョブアカデミーでは働きながら国家試験の合格を目指す方向けに「介護福祉士受験対策講座」を開講しています。独学で不安な方はぜひご活用ください。
◆資格の取得費用
介護福祉士の取得に掛かる費用は、受験ルートによって異なります。
・実務経験ルート実務経験ルートでは実務者研修の受講費用が必要です。ここでは、カイゴジョブアカデミーを例に実務者研修の受講費用をご紹介します。
実務者研修の受講費用
無資格者 | 110,000円(税込・テキスト代込) |
---|---|
初任者研修修了者 | 90,200円(税込・テキスト代込) |
ヘルパー2級修了者 | |
介護職員基礎研修修了者 | 33,000円(税込・テキスト代込) |
養成施設ルートではおおよそ100〜200万円の学費、福祉系高校ルートでは通常の高校を卒業するまでの学費と同程度の費用が必要になります。また、介護福祉士国家試験の受験手数料として、第35回(令和4年度)介護福祉士国家試験では、18,380円必要です。
参照元 公益財団法人社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験 試験概要
特別養護老人ホームの給料って?
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p147-149)」を参考に、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)で働く介護士の給料と年収について説明します。
勤務 形態 |
平均 年齢 |
平均 勤続年数 |
実労働 時間数 |
平均 給与 |
年収 |
---|---|---|---|---|---|
常勤 | 40.8歳 | 9.0年 | 163.0時間 | 約34.6万円 | 約415万円 |
非常勤 | 48.1歳 | 7.9年 | 126.7時間 | 約20.3万円 | 約244万円 |
勤務 形態 |
平均 年齢 |
平均 勤続年数 |
実労働 日数 |
平均 給与 |
年収 |
---|---|---|---|---|---|
常勤 | 46.8歳 | 7.0年 | 20.7日 | 約21.1万円 | 約253万円 |
非常勤 | 57.5歳 | 10.7年 | 15.1日 | 約16.8万円 | 約202万円 |
勤務 形態 |
平均 年齢 |
平均 勤続年数 |
実労働 時間 |
平均 給与 |
年収 |
---|---|---|---|---|---|
常勤 | 48.8歳 | 8.2年 | 163.3時間 | 約22.7万円 | 約273万円 |
非常勤 | 51.7歳 | 7.8年 | 105.4時間 | 約13.6万円 | 約163万円 |
※平均給与額は、基本給(日額)×実労働日数+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)で記載しています。
※年収は目安として平均給与額×12で算出しています。
参照元 厚生労働省:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p147-149)
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)で働く介護士の給料は、表のとおり勤務形態(正社員・パート・登録ヘルパー)や給与形態(月給・日給・時給)によって大きく異なります。また、職場により支給額は異なりますが、資格手当による給与の違いも大きいでしょう。
無資格者 | 資格手当なし |
---|---|
介護職員初任者研修修了者 | 5,000円~10,000円/月 |
介護福祉士実務者研修修了者 | 10,000円~20,000円/月 |
介護福祉士 | 10,000円~30,000円/月 |
介護士は無資格・未経験から働くことができますが、介護の資格の有無は給与に大きく影響することが分かりますね。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の詳細はこちらから>>
参照元 厚生労働省:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要 介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者、保有資格別)
特別養護老人ホームで働くメリットは?
特別養護老人ホームでの仕事は大変なこともありますが、多くのメリットがあります。
ここでは、特別養護老人ホームで働くメリットについて詳しく説明します。
無資格・未経験者が働きやすい
特別養護老人ホームで働くメリットの一つは、無資格・未経験者でも働きやすい環境が整っていることです。介護の仕事は、高齢者の方々に対する思いやりや、身体介護の技術、コミュニケーション能力など、様々なスキルが必要とされる仕事です。
しかし、多くの特別養護老人ホームでは、研修や教育体制が充実しています。介護の基礎知識や技術、高齢者の心理的なケアについてなど、必要な知識やスキルを習得することができるでしょう。また、介護職員の人数も多いので、上司や先輩介護士から丁寧に指導してもらいながら実践を通じて学びやすいことがメリットです。初めての介護業務でも安心して取り組めるでしょう。
さらに、介護業界の求人は、「学歴不問」「未経験者歓迎」であることが多く、中には介護の資格がなくても働くことができる職場もあります。国籍や年齢も問いませんので、どなたでも活躍していただけるチャンスがあります。しかし資格を取得することで、基礎的な介護技術や知識を身に着けたうえで仕事に取り組めるので、入職後の不安を少なくすることができます。さらに無資格と比べると、基本給が高く、資格手当が支給されるケースが多いため、収入アップの可能性が高いでしょう。
介護スキルがあがる
特別養護老人ホームで働く介護士は、入居者の方々の状態や病歴を把握し、適切な介護を行うことが求められます。例えば、認知症の入居者に対しては、コミュニケーションを図る方法や、行動パターンを理解することが必要です。
そのため、自ら考えて行動する力や、状況に応じた柔軟性を身につけることができます。
入居者は一人ひとり異なるケアが必要とされますが、その中でも特別養護老人ホームでは、認知症や身体的障がいを持つ方が多く、その方々に合わせたケアが必要とされます。そのため、様々なニーズに臨機応変に対応するスキルを身に付けることができ、より質の高い介護ができるようになるでしょう。
夜勤に入ると稼げる
特別養護老人ホームでの仕事には、多くのメリットがありますが、その中でも、夜勤に入ることで稼げるというのは大きな魅力の一つです。
夜勤手当は、日勤と比較して割増率が高く、時給が大幅にアップするため、労働時間に応じて高い収入を得ることができます。
2020年に行われた日本医療労働組合連合会の調査結果によると、正規職員の夜勤手当の金額は以下のとおりです。
2交替制 | 平均 6,632円 |
---|---|
3交替制(準夜) | 平均 3,445円 |
3交替制(深夜) | 平均 4,349円 |
参照元 日本医療労働組合連合会:2020年介護施設夜勤実態調査結果
例えば夜勤手当が5,000円の場合では月5回夜勤に入ると1カ月で2.5万円、1年間で30万円の収入アップにつながります。
また、もっと効率良く高収入を目指したいという方は、夜勤専従という働き方もオススメです。職場によりますが1勤務あたり2万円〜3万円の収入を得ることができるので、月10回勤務した場合、単純に計算すると月給20万~30万円程度が見込まれます。
働き方を選びやすい
特別養護老人ホームは基本的にシフト制なので、夜勤や土日祝出勤が必要な場合もありますが、自分のライフスタイルに合わせて働き方を選びやすいというメリットがあります。例えば、主婦の方が子育てと両立しながら働く場合、日勤のみの勤務や短時間勤務など、自分に合った働き方を選ぶことができます。
また、学生の方がアルバイトとして勤務する場合にも、学校のスケジュールに合わせて週末のみの勤務や夜勤を選ぶことができます。さらに、特別養護老人ホームには、常勤だけでなくパートやアルバイトの求人も多く、フルタイムで働くことができない方でも、自分のペースで働くことができます。また、経験が浅い方や未経験の方でも、短時間勤務や週末勤務などで経験を積みながら、スキルアップしていくこともできます。
このような働き方の選択肢があるため、仕事とプライベートのバランスを取りやすく、家庭の事情がある方や子育て中の方でも働きやすい職場といえるでしょう。
特別養護老人ホームの仕事で大変なところは?
特別養護老人ホームでの仕事は、とてもやりがいのあるものですが、同時に大変なこともあります。そこで、特別養護老人ホームの仕事で大変なところについて、現役介護士(40歳、女性、介護士歴15年)に聞いてみました。
体力を使う
特別養護老人ホームで働く介護士の仕事は、身体介助や生活支援など様々な業務が求められるため、体力を使うことが多い仕事の1つと言えます。例えば、入浴介助やトイレ介助など、入居者の身体を動かす作業は力が必要であり、長時間作業を行うこともあります。適切なケアを行うためには、介護技術や身体の動かし方、負荷をかけない方法などの知識や技術が必要です。
適切な介助方法(ボディメカニクス)を学ぶことで利用者と介護者自身の負担を軽減するケアができるようになります。
「ボディメカニクス」とは、身体の動作や体重移動、福祉用具を活用した技術のことです。ボディメカニクスを活用することで、介護現場での負担を軽くし怪我を未然に防ぎ、安全な介護を行うことができます。ボディメカニクスは介護職員初任者研修で詳しく学びますので、介護のお仕事をご検討中の方は受講されることをお勧めします。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の詳細はこちらから>>
夜勤があり時間が不規則
特別養護老人ホームは、夜勤があり時間が不規則という面もあります。夜勤は、週に1~2回程度、ローテーションで入る場合がほとんどですが、生活リズムが乱れてしまうことがあります。夜勤明けの疲れや不規則なシフトによって、睡眠不足やストレスに悩む方もいらっしゃいます。
しかし、夜勤で働くことで昼間の時間帯を自由に使えるため、家庭との両立がしやすくなることや、日中のシフトよりも給料が高いというメリットもあります。
特別養護老人ホームの仕事内容に関するよくある質問
特別養護老人ホームで働く仕事内容についてご興味をお持ちの方々に向けて、よくある質問についてお答えいたします。
特別養護老人ホームに向いている人って?
特別養護老人ホームに向いている人は、以下のような人です。
1.優しく思いやりのある心を持っている人
高齢者の方々は、身体的な介護だけでなく、精神的なケアも必要としています。そのため、思いやりや優しさを持ち、その人の気持ちに寄り添える人が向いています。
2. チームワークを大切にできる人
特別養護老人ホームでは、医師や看護師、機能訓練指導員、相談員など、様々な専門職が協力して働いています。協調性があり、チームワークを大切にできる人が向いているでしょう。
3.臨機応変に対応できる人
高齢者の方々の状態は日々変化するため、スケジュール通りにいかないことも少なくありません。転倒事故や体調不良、急変が起こることもあるため、臨機応変な対応が求められるでしょう。
特別養護老人ホームで働くやりがいって?
特別養護老人ホーム仕事は、身体的な負担が大きく大変というイメージがありますが、多くのやりがいがあります。
ここでは、特別養護老人ホームで働くやりがいについて3つ紹介します。
1.感謝される
特別養護老人ホームでの仕事は体力的にも精神的にも大変な面がありますが、入居者との触れ合いの中で生まれる感動ややりがいは計り知れません。高齢者の方々は孤独感や不安感を抱えていることが多く、介護職員がそばにいて話を聞いたり、サポートをすることで、彼らの心に寄り添うことができます。そして、入居者やその家族から感謝の言葉や笑顔をいただくことがあり、職員自身にとっても自己肯定感ややりがいにつながります。
2.入居者との交流
入居者は、長い人生を生きてきた中で様々な経験や知恵を持っています。介護士は、交流を通じて人生経験を知り、新しい価値観や人間関係の大切さなどを学ぶことができるでしょう。
3.チームケアができる
特別養護老人ホームで働くやりがいの一つに、チームワークが挙げられます。高齢者の方々の介護には、医師や看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、栄養士など、それぞれの専門分野を持ったスタッフが協力して仕事を行っています。それぞれの専門性を尊重しながら協力し合い、入居者に質の高いサービスを提供することができます。そして、チーム全体で「入居者がよりよい生活を過ごせるようにサポートをする」という目標に向かって協力し合い、達成することで充実感ややりがいを感じることができるでしょう。
キャリアアップしていくにはどんな方法がある?
特別養護老人ホームで働く介護士が、キャリアアップしていく方法を2つ紹介します。
1.資格取得
介護士の仕事は未経験・無資格からスタートできますが、資格取得や経験の積み重ねによってキャリアアップを目指すことができる仕事です。介護士はキャリアパス制度が確立されており、資格取得や実務経験によってキャリアアップとともに給料アップも見込めます。
まずは介護職員初任者研修で基礎的なスキルや知識を身に着け、次に実務者研修を受講し、実務経験3年を経て国家資格である介護福祉士の取得を目指すルートが一般的です。介護福祉士の資格取得後は、認定介護福祉士やケアマネージャー(介護支援専門員)などへとステップアップし、仕事の幅を広げることができます。
未経験や無資格から始めた方でも、段階的に資格を取得することで仕事の幅が広がります。
2.実務経験を重ねる
現場での経験を積み重ねることも重要です。入居者の生活を支えるためには、コミュニケーション能力や問題解決能力が求められますが、現場での経験を積むことで、介護職としてのスキルが向上します。また、実務経験を重ねることで、管理者や介護リーダーとして活躍することもできるでしょう。
まとめ
特別養護老人ホームでの仕事は、入居者の生活を深く理解し、食事や排泄の介助、健康管理、レクリエーションなど、多様なサポートを提供することです。
時には大変なこともありますが、一方で入居者との交流やチームケアなど、非常にやりがいを感じられる仕事でもあります。
入居者とのコミュニケーションを大切にし、お互いに信頼関係を築いていくことが、良いケアを提供するために不可欠です。
カイゴジョブアカデミーの介護職員初任者研修では、介護の基本的な知識とスキルを学ぶことができます。介護職員初任者研修を修了すれば、不安なくケアに向き合うことができ、介護士として実務経験を重ねることで、自分自身のキャリアビジョンに合ったステップアップを目指せます。
また、カイゴジョブアカデミーでは求職中の方を対象に介護職員初任者研修の受講料とテキスト代を当校が実費負担し、就職支援も無料でサポートする介護職デビューキャンペーンを実施しています。介護のお仕事をご検討中の方はぜひお気軽にご相談ください。
-
受講費用*&
テキスト代 -
振替受講や
再試験代 -
就業
サポート
*初任者研修 または 実務者研修
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の詳細はこちらから>>
-
この記事の監修者
カイゴジョブアカデミー
編集部
- 介護専門の資格講座学校「カイゴジョブアカデミー」の編集部です。
介護業界のプロフェッショナルが介護の仕事や資格に関するお役立ち情報をお届けします。