病院で働く介護士に必要な資格は?仕事内容・やりがい・給料等を解説!
介護士は、介護施設だけでなく病院でもニーズが高く、幅広く活躍できる職種です。
病院で働く介護士は、一般的に「看護助手」や「看護補助者」、「ケアワーカー」と呼ばれ、看護師の補助や患者様の環境整備、身の回りのお世話などを担当しています。
病院での仕事に関心のある方は、介護施設の介護士との違いや具体的な仕事内容について気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、病院で働く介護士が活躍しやすい療養病棟を中心に、必要な資格や働き方、仕事内容、お給料、病院で働くメリットやデメリットなどを体験談も交えながら解説します。
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目次
病院で働く介護士・看護助手に必要な資格って?
介護士が病院で看護助手として働く場合、無資格でも働けますが、仕事で役立つ資格や就職で有利になる資格があります。
ここでは、病院で働く介護士・看護助手に役立つ資格「介護職員初任者研修(以下、初任者研修)」、「介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)」、「介護福祉士」について説明します。
1.介護職員初任者研修
「初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」は、介護職の入門資格です。
介護士として働くために必要な知識や技術を身につけるためのもので、学歴や年齢、資格の有無などの制限がなく、介護職が未経験・無資格の方でも学びやすいカリキュラムが組まれています。
看護助手の業務のひとつに、シーツ交換や環境整備があります。 初任者研修では、シーツ交換の目的や手順、注意すべきポイント、患者様がベッドに寝たままの状態での交換方法などを学びます。初任者研修を受講することで、患者様に対して快適な入院生活をサポートできるでしょう。
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介護福祉士実務者研修
「実務者研修(旧ホームヘルパー1級)」は、認知症ケアや介護過程の展開、医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養など)も含め、介護現場の即戦力として実践的な知識やスキルを身につけます。
受講するために必要な資格はなく、未経験の方や初任者研修を受講していない無資格の方でも受講できます。
また、2017年より介護福祉士国家試験の受験資格には、実務者研修の受講修了が義務付けられているため、介護福祉士を目指す方には必須の資格です。
実務者研修は、医療的ケア の知識やスキルを習得するため、医師や看護師の補助をスムーズに行うことができるでしょう。
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介護福祉士
介護福祉士は、介護職員のスキルアップ資格であり、キャリアパス上位の国家資格です。
介護施設や訪問・通所介護事業所、医療施設など様々な場所で、介護のエキスパートとしてだけでなく、介護職員の指導やリーダー、管理者として活躍できます。
特に医療や介護が必要な療養病棟でのニーズが高く、医師や看護師、理学療法士など多職種と連携し、患者様へ主体的なケアを実践できます。
また、キャリアアップ資格となるので、安定した仕事が確保できるでしょう。介護福祉士の詳細や受験資格などはこちらの記事を参考にしてください。
看護助手
看護助手の知識やスキルを証明する資格に、特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会が認定する「メディカルケアワーカー」や全国医療福祉教育協会が認定する「看護助手認定実務者試験」などがあります。
どちらも民間資格ですが、看護助手の役割や患者様への対応方法、看護助手の基本スキル、薬の知識などを学びます。
看護助手の資格を取得することで、一般病棟※での働き方や医療チームとしての役割などを学び、知識やスキルを活かして仕事に取り組むことができるでしょう。
また、療養病棟※で働くことを考えている方は、介護技術を学べる初任者研修や実務者研修の取得をおすすめします。
※一般病棟や療養病棟については次の「病院の種類と働き方の特徴」で解説します。
病院の種類と働き方の特徴は?
病院は医療法に基づき、状態によって病状や期間により病院の機能や対象者が分けられ、提供する医療的ケアやサービス、働き方が異なります。
ここでは、「急性期:一般病棟(病床)」「回復期:回復期リハビリテーション病棟(病床)」「慢性期;療養病棟(医療療養病床)」の3種類について説明します。
1.急性期:一般病棟(病床)
疾患の治療や手術後の容体が安定しない患者様が入院され、内科や外科などの医療的なケアを実施する病院です。老若男女の幅広い患者様が入院され、病状も様々です。
一般病棟に入院する患者様の入院期間は、約60%が30日以下です。
一般病棟で働く看護助手は、主に看護師のサポートとしての役割をもちます。
快適な療養環境を提供するために、病室内の環境整備やシーツ(リネン)交換、食事の配膳、消毒業務(滅菌・洗浄)などを行います。
患者様の直接的なケアは、受け持ちの看護師が行うことが多いため、病院によって看護助手は患者様の身体介助をしない場合もあります。
2.回復期リハビリテーション病棟(病床)
回復期リハビリテーション病棟(病床)は、急性期病院での治療を終え、病状が安定した後にリハビリテーションを行い、回復や社会復帰を目指すための病院です。
脳血管疾患や頭部外傷、大腿骨頚部骨折など対象となる疾患が定められています。
入院日数は、疾患や状態により異なりますが、最長で180日で、リハビリテーションを受けられる期間も疾患により定められています。
看護助手は患者様の様子観察や病室の環境整備、シーツ(リネン)交換、入浴介助、看護師の補助、食事の準備などを行います。
3.慢性期:療養病棟(医療療養病床)
療養病棟は、病気の治癒や手術などによって病状が安定したものの、長期に渡り継続的な医療と療養が必要な患者様が入院しています。
慢性的な疾患の医療管理が必要な方が多く、長期入院や状態に合ったリハビリテーションなどを提供します。
患者様は高齢者が多い傾向ですが、中には若年の患者様で難病の方なども入院され、終末期ケアも行います。
療養病棟で働く看護助手は、患者様の身体介助(排泄・移動移乗・食事・入浴など)のほか、環境整備や看護師のサポートを行います。
病院で働く介護士・看護助手の仕事内容
病院で働く介護士・看護助手は、入院している患者様が安心して入院生活や療養生活を送れるようなサポートを行います。
一般病棟では、主に入院している患者様の身の回りのお世話や看護師のサポートが中心で、療養病棟では身体的な介助が中心です。
以下は病院で働く介護士・看護助手の主な仕事内容です。
- 病室の環境整備:病室内の掃除や機器の確認
- シーツ交換(リネン交換):清潔な寝具への交換
- 医療機器の洗浄・消毒など:医療機器の片づけや洗浄、消毒
- 医師・看護師のサポート:スムーズな医療が提供できるようにサポート
- 身体介助:患者様の日常生活のサポートや介助
一つひとつ解説します。
病室の環境整備
病院での環境整備は、患者様が快適で安全な療養ができるように病室内を整えることです。
安全性の高い医療の提供とともに、感染症や事故などを予防する目的があります。
病院によって異なりますが、一般的に環境整備では以下のことを行います。
- 室内の換気
- ほこりの除去
- ベッド周辺の清拭
- 通路や廊下の整備
- 照明やベッド、床頭台の正常動作の確認
- 物品の補充
清潔で居心地のよい室内に整えることで、患者様は安楽な療養生活を過ごすことができます。患者様のプライバシーに配慮しながら適切な環境整備を行うことが大切です。
シーツ交換(リネン交換)
シーツ(リネン)交換も、介護士や看護助手の仕事のひとつです。
病院によって、清掃担当のスタッフがシーツ交換を行う場合もあります。
寝たきりの患者様や療養生活が長い患者様にとって、ベッドは生活空間となりますので、快適で寝心地のよいベッドに仕上げることが大切です。
汚れやしわがあるシーツは、感染症や褥瘡(じょくそう)※の原因になりますので、適切なシーツ交換を心がけましょう。
寝たきりや車いすでの生活など、長時間同じ体勢で圧力がかかることで血流が悪化し、皮膚の炎症や水疱、潰瘍などができることです。一般的には「床ずれ」とも呼ばれています。
介護士の介護技術の基本となるシーツ交換は、介護職員初任者研修で目的や手順を詳しく学ぶことができます。
医療機器の洗浄・消毒など
患者様が治療を受けたときに使用された医療機器の片づけや洗浄、消毒なども介護士や看護助手が行います。
医療機器の洗浄や消毒は、感染症の予防や安全性の高い医療の提供に欠かせない業務のひとつで、衛星管理と手順を守り適切に行うことが重要です。
総合病院などでは、滅菌業務担当として専門の看護助手が活躍しているケースもあります。
医師・看護師のサポート
病院で働く介護士や看護助手は、医師や看護師の指示のもと、業務のサポートを行うこともあります。
例えば、医療機器の片づけやカルテ整理などの簡単な事務作業、患者様の案内などです。
スムーズな医療を提供するため、医師や看護師と患者様のパイプ役としても活躍することができます。
身体介助
療養病棟の場合、介護施設と同様に身体介助も看護助手(介護士)の主な業務の一つです。身体介助を行う際は、顔色や体調の変化に配慮して行います。
また、患者様の中には気管切開や経管栄養の処置を受けている人もいるため、身体に繋がるチューブに気を付け、慎重にケアを行う必要があります。
療養病棟で働く介護士は、以下のような身体介助を行います。
- 排泄介助:トイレ誘導やオムツ交換による介助
- 入浴介助:安全な入浴介助
- 着脱介助:衣類の着替えを介助
- 食事介助:安全でおいしい食事を介助
- 口腔ケア:食後の歯磨きや口腔清掃による清潔保持
- 移乗介助:車いすからベッドへの移乗を介助
- 移動介助:車いすの歩行を介助
- 体位変換:ベッド上にて身体の位置や向きを変える介助
身体介助の基本スキルは、介護職員初任者研修で目的や手順を詳しく学ぶことができます。
病院で働く介護士・看護助手の1日の流れは?
病院によって介護士・看護助手の働き方は異なりますが、ここでは一例をご紹介します。
環境整備のみ、滅菌業務のみといった特化した働き方の場合は、日勤のみで募集されることもあります。
※その日の状況により変動があります。
※排泄介助や体位変換など利用者対応は随時行います。
※掃除・洗濯・調理など入居者様とともに行います。
病院で働く介護士・看護助手のお給料って?
厚生労働省による「令和4年賃金構造基本統計調査」を参考に、看護助手の給料についてみていきましょう。
参照元 厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|e-Stat
平均 年齢 |
平均 勤続年数 |
実労働 時間数 |
平均 給与 |
賞与等 | 年収 |
---|---|---|---|---|---|
49.1歳 | 9.0年 | 157時間 | 約20.6万円 | 約45.7万円 | 約293万円 |
平均 年齢 |
平均 勤続年数 |
実労働 時間数 |
平均 給与 |
賞与等 | 年収 |
---|---|---|---|---|---|
49.5歳 | 8.9年 | 159時間 | 約20.4万円 | 約43.8万円 | 約289万円 |
平均 年齢 |
平均 勤続年数 |
実労働 時間数 |
平均 給与 |
賞与等 | 年収 |
---|---|---|---|---|---|
49.2歳 | 9.3年 | 157時間 | 約20.4万円 | 約45.6万円 | 約290万円 |
平均 年齢 |
平均 勤続年数 |
実労働 時間数 |
平均 給与 |
賞与等 | 年収 |
---|---|---|---|---|---|
48.3歳 | 8.2年 | 159時間 | 約21.8万円 | 約48.1万円 | 約310万円 |
※年収は目安として(平均給与額×12カ月+賞与額)で算出しています。
※上記の表は、病院の従業員数によって区分され、一般病棟や療養病棟などすべての医療機関の看護助手の給与額を表しています。
※平均年収を計算すると約310万円です。
療養病棟では、介護の資格が重視されているため、職場によって支給額は異なりますが、資格手当が支給されるケースが多いです。
看護助手は無資格・未経験から働くことができますが、療養病棟で働きたい方や収入アップを目指すなら、初任者研修から段階的に介護資格を取得していくことがポイントです。
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病院で働く魅力って?
ここでは、病院で働く代表的な4つのメリットについて詳しく説明します。
1.無資格・未経験から働ける
病院では、無資格・未経験から働くことができ、専門的なスキルや知識については研修や実務の中で身につけることができます。
多くの場合、看護師の指示のもと業務を行い、経験豊富なスタッフから指導してもらえる環境が整っています。
無資格・未経験からスタートしても、介護や医療の知識を着実に身につけながら働くことができることは、病院で働く魅力のひとつといえます。
また、無資格から働き始めた場合でも、初任者研修を受講することでキャリアアップや将来的な転職にも繋がるでしょう。
療養病棟では、先述した通り患者様への身体介助などを必要とする患者様が多いため、初任者研修以上の資格が求められる場合もあります。初任者研修の資格を持っていれば介護のスキルやボディメカニクスを用いて活躍できるでしょう。
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2.医療従事者が常にいるから安心
介護施設では、利用者様に体調不良や事故が起きた際、夜間帯などに不安を抱えながら働いている介護士も多いかと思います。
一方で、病院で働く場合は、医師や看護師、薬剤師などが常に在籍しており、必要な時にサポートやアドバイスを受けることができます。
緊急事態や不測の事態が発生した場合でも、医療チームが迅速な救命措置や適切な対応をしてくれるため、安心して仕事に取り組むことができるでしょう。
3.医療の知識が身につく
病院で働く場合、疾患の理解や症状管理、医療機器の使い方、滅菌方法、薬に関する知識など医療に関する幅広い知識を身につけることができます。
医療行為はできませんが、同じ現場で働きサポートを行うことで、医療用語や知識が自然に身につくため、スキルアップにつながるでしょう。
4.介護施設に比べて福利厚生が充実
病院は、介護施設に比べて福利厚生が充実しているところが多いのもメリットのひとつです。
社会保険や厚生年金、雇用保険の加入など安定した雇用の保障だけでなく、従業員の働きやすさや健康をサポートするような福利厚生も用意されているところもあります。
例えば、定期的な健康診断や予防接種、メンタルヘルス支援などの取り組みや、食堂や院内託児所、キャリアアップ支援、人間ドックの割引など病院ならではの福利厚生の充実は、働きやすさやモチベーションアップだけでなく、自身のスキルアップにもつながる重要なポイントです。
病院によって福利厚生の内容や充実度は様々ですので、勤務先を選ぶ際は、給与面だけでなく福利厚生にも注目してみてください。
病院で働く悩みは?
病院での仕事は、魅力ややりがいも多いですが、同時に大変なことや悩みもあります。
ここでは、病院で働く介護士・看護助手の悩みについて、4つお伝えします。
1.主体的に働きにくい
介護施設の介護士は、利用者様の生活の質を向上させることを考えながら、利用者様の介護方法やレクリエーションなどを提供します。
一方、病院は介護よりも医療的な管理や治療が中心となり、看護師の指示に従って働くため、主体的に働きにくいことが悩みのひとつとなります。
特に一般病棟では、忙しく、仕事内容も環境整備や消毒など、直接患者様と関わる機会が少ない場合もあります。
また、多くの患者様を抱えているため、患者様への個別的なケアやアプローチが難しい場合があります。
ご自身の介護観と業務内容が大きく相違していた場合は、「やりたいケアができない」とジレンマを抱える方も少なくありません。
2.介護技術の専門性を高めにくい
病院で働く介護士や看護助手に多い悩みのひとつに「介護技術の専門性を高めにくい」ことがあげられます。
一般病棟では、先述の通り様々な疾患や年齢の患者様が入院し、看護助手の仕事内容としては患者様の身の回りのお世話や看護師の補助などがメイン業務です。
そのため医療的な知識や補助については身につきやすいですが、介護施設で行うような身体介助や認知症ケアの業務は少なく、高齢者介護の専門性を高めにくい傾向があります。
一方、療養病棟では、高齢者や寝たきりの患者様が多く、排泄介助や入浴介助などの身体介助がメイン業務になります。
患者様の状態やニーズに合った介助だけでなく、看護師の補助も行うため、医療的な知識やスキルを学ぶことができるでしょう。
介護技術の専門性を高めたい方は、介護と医療をどちらも学べる療養病棟がおすすめです。
3.キャリアパスが難しい場合もある
看護助手としてのキャリアパスについては、一般病棟と療養病棟で異なります。
一般病棟では看護師の補助が主な業務になるため、役職につくといったキャリアアップは難しい場合が多いでしょう。
一方、療養病棟では、看護助手としての立場が確立されているため介護職のリーダー(主任)や副リーダー(副主任)といったキャリアアップを目指すことが可能です。
また、実務経験を積み重ねることでケアマネジャーの資格を取得できますので、介護施設への転職を考えることもできるでしょう。
4.働き方によって介護福祉士の実務経験にならない
介護福祉士は、実務経験3年を積み、実務者研修を修了することで受験資格を得ることができますが、看護助手は確認が必要です。
病院や診療所で働く看護助手、看護補助者も受験資格に含まれています。しかし、「主たる業務が介護等の業務である者」に限られます。
参照元 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 受験資格 4その他の分野
介護福祉士の受験資格である実務経験3年というのは、「介護等の業務」に従事していた方が対象です。 以下引用
「身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含みます)を行ない、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行なうこと」をいい、厚生労働省がその範囲を定めています。
参照元 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 介護等の業務とは
看護助手の経験が長くても、滅菌業務や清掃、シーツ交換、検体の運搬など、間接的な業務のみを行っていた方は実務経験の対象とならないため注意してください。
一方、療養病棟などで、日常的に身体介助を行っていた看護助手(介護士)に関しては、実務経験に含まれます。
「病院で働きながら介護福祉士を目指したい」という方は、身体介助が業務に含まれる一般病棟や、療養病棟で働くことを検討してみましょう。
病院勤務のやりがいって?
ここでは、病院勤務のやりがいについて、実際に療養病棟で働く介護士と看護師の声をご紹介します。やりがいは、働くうえでのモチベーションにつながりますのでぜひ参考にしてください。
1.病院勤務のやりがいは「人生の最期を見送るお手伝い」
Kさん(43歳・男性)介護福祉士(療養病棟歴15年)
療養病棟で働くやりがいは、終末期(※)の患者様のお世話をし、人生の最期を見送るお手伝いができることです。
治療効果が期待できず予測される死への対応が必要となった期間のことです。
参照元 全日本病院協会 終末期医療に関するガイドライン
手術や治療を終えた後、継続した医療的ケアが必要な状態でありながら退院せざるを得ない方が多くいます。
家に帰っても医療的ケアが継続できない、家族が対応できない患者様の受け入れ先として療養病棟があります。
難病や末期がんの方もおられ、長期入院され終末期を迎える患者様が多くいらっしゃいます。
仕事で心がけていることは、終末期を迎える患者様の療養生活とともに家族様の負担を軽減し、安心あるケアを提供することです。
「患者様の苦しみを軽減させるためにはどうしたらいいか」「安楽に過ごしていただくにはどうしたらいいか」を医師や看護師、薬剤師、理学療法士などと話し合い、ケアにあたっています。
最期を迎える瞬間まで、患者様と家族様に私たちが寄り添い、ともに悲しみを共有します。
「いい最期を迎えることができました」と家族様から言葉をいただいたとき、この仕事へのやりがいを感じます。
2.病院勤務のやりがいは「介護士とのチームケア」
Yさん(63歳・女性)看護師長(療養病棟歴35年)
療養病棟で働き35年になりますが、やりがいはなんといってもチームケアです。
一般病棟では看護師と看護助手の立場は異なり、同じ仕事を行うことは少ないですが、私が働く療養病棟では、一人の患者様に対して看護師と介護士がチームを組み、ケアにあたります。
同じ業務を行っていても、看護師の視点と介護士の視点が異なるため、新しい発見や提案、気づきがあり共に働いていて面白さを感じます。
医療的ケアは私たち看護師が行いますが、介護に関しては介護士の提案や方法を重視し、実践しています。
また、介護士のちょっとした心配りについてもチームケアを通じて感じることがあります。
家族様がお見舞いに来られたとき、まず目にするのは、患者様の上半身です。
「ちゃんとケアをしてもらっているのだな」と安心していただけるように、常に患者様の身なりを整え、環境整備を行うことは欠かせません。
排泄介助をしてくれた後も、衣服やシーツを綺麗に整え、食事介助の後は、口の周りを清潔に整えてくれる介護士のスキルや心配りにはいつも感心します。
職種は異なりますが、患者様の療養生活をサポートするという目的は同じですので、チームで働き協働することにやりがいを感じながら働いています。
病院勤務に関するよくある質問
病院勤務についてご興味をお持ちの方々に向けて、よくある質問についてお答えいたします。
病院介護士と施設介護士の違いって?
介護士の働き方について、病院勤務と介護施設勤務の違いを説明します。
病院介護士
病院介護士(病院で働く介護士)の仕事内容は、患者様の身体介助や看護師の補助で、患者様の身の回りのお世話や医療処置のサポート、医療器具の消毒・洗浄などを行います。
例えば、褥瘡の処置を行う場合、医師や看護師がスムーズな処置ができるように患者様の身体を支えたり、患者様が安心できるように声かけを行うなどです。
病院で働く介護士は、医療チームの一員となりますので、一般病棟、療養病棟ともに、医師や看護師などの医療スタッフと連携し、患者様のケアに取り組むことが大切です。
施設介護士
施設介護士(介護施設で働く介護士)の仕事内容は、入居されている方の日常生活やQOL(生活の質)の向上を目指したサポートがメインです。
施設介護士は、介助方法や介護計画の検討や、カンファレンスの開催など主体的に働くことが求められます。
施設介護士も、病院介護士と同様に医師や看護師、生活相談員、理学療法士などと連携をとり、チームケアを実践することが重要です。
病院介護士と看護助手の違いって?
病院介護士と看護助手の違いは、仕事内容や働く病院の種類によって異なります。
両者に明確な違いはありませんが、患者様の身体介助を行う場合は病院介護士、清掃や消毒、シーツ交換など間接的な業務に特化した仕事を行う場合は看護助手と呼ばれるケースが多いです。
しかし、一般病棟と療養病棟では、病院介護士・看護助手の人員配置基準に大きな違いがあります。
一般病棟では看護助手の配置は決められていませんが、療養病棟では、病院介護士(看護助手・看護補助者)の人員配置基準が定められています。
療養病棟の病院介護士の人員配置基準は医療法上で4:1と定められており、看護師及び准看護師と同等の「患者様4人に対して1人以上」の配置が必要です。
参照元 厚生労働省 医療療養病床(20対1・25対1)と介護療養病床との比較
看護師と同数の人員配置基準が定められている病院介護士は、患者様へよりよい療養環境と質の高いケアを提供するために必要な職種であることが分かりますね。
病院で働くにはどんな人が向いている?
病院勤務に向いている人は、以下のような人です。
1.思いやりのある人
病院には老若男女問わず、様々な疾患を抱えた患者様が入院しています。
患者様の中には、治療中の不安感が強い人や、手術前後で状態や感情に敏感になっている人も少なくありません。
患者様の身の回りのお世話や環境整備だけでなく、挨拶や笑顔で声かけなど思いやりをもった対応が求められるでしょう。
特に療養病棟においては、長期に渡る療養生活で気持ちが沈んでしまっている人も多いため、患者様の気持ちに寄り添ったケアが大切です。
2.コミュニケーションが得意な人
医師や看護師がスムーズな治療を行うためには、看護助手の適格な準備やサポートが不可欠であり、医療チーム内でのコミュニケーション力が求められます。
積極的に周囲とコミュニケーションを図り意思疎通ができる人は、医療チームの一員として活躍することができるでしょう。
また、看護助手は患者様や家族など人と接する機会が多いことや、病院内の各科と連携をとる機会もあるため、人と接することが好きな人やコミュニケーションが得意な人に向いているでしょう。
3.向上心がある人
医療現場では、医療機器や技術、ケアなどが日々進化しています。
患者様へより良いケアを提供するために、病院での医療情報やケアについて関心を持ち、自身の能力や知識を向上させようとする人は、看護助手として活躍できるでしょう。
まとめ
看護助手は、医師や看護師の補助や、患者様の身の回りのお世話をすることで療養生活をサポートします。医療行為はできませんが、病院の「縁の下の力持ち」として活躍できる、やりがいのある仕事です。
療養病棟で働く病院介護士は、患者様の身体介助も行うため、介護技術の向上やスキルアップにもつながります。
そして看護師の補助をする中で、医療の知識やスキルを磨き、介護技術と医療の知識を備えた介護士として活躍できるでしょう。
カイゴジョブアカデミーの初任者研修では、介護の基本的な知識とスキルに加え、看護助手の業務に必要な環境整備やシーツ交換を学ぶことができます。
初任者研修を修了すれば、不安なくケアに向き合うことができ、介護士として実務経験を重ねることで、自分自身のキャリアビジョンに合ったステップアップを目指せます。
また、カイゴジョブアカデミーでは求職中の方を対象に初任者研修の受講料とテキスト代を当校が実費負担し、就職支援も無料でサポートする介護職デビューキャンペーンを実施しています。
病院で働く介護士・看護助手のお仕事に興味がある方はぜひお気軽にご相談ください。
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- この記事の著者 吉田あい
- プロフィール
- 大阪府出身。現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」「介護現場におけるリスクマネジメント」
特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。
カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。
- 保有資格
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)、介護福祉士、社会福祉士、メンタル心理カウンセラーなど
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この記事の監修者
カイゴジョブアカデミー
編集部
- 介護専門の資格講座学校「カイゴジョブアカデミー」の編集部です。
介護業界のプロフェッショナルが介護の仕事や資格に関するお役立ち情報をお届けします。