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65歳以上のシニア世代も介護業界で活躍できるって本当?

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65歳以上のシニア世代も介護業界で活躍できるって本当?

定年退職や子育てを終え、新しいスタートとなる老後。日本には年齢を重ねても仕事を続けたり、趣味や孫育にと精力的に活躍されるシニア世代の方がたくさんいらっしゃいます。

中でも生涯現役を目指すアィティブシニアの活躍の場として注目されているのが介護業界です。

自分自身のシニアライフを生き生きと過ごしつつ、人材不足の介護業界を支える担い手として貢献できる介護業界で、どんな活躍ができるのでしょうか。

今回は、アクティブシニアが介護業界で活躍するメリットや活かせるスキルなどをお伝えしますので、介護職に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

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健康寿命の延伸とともにアクティブシニアが活躍

アクティブシニアとは、明確な定義はありませんが、おおむね前期高齢者世代(65~75歳)とされており、仕事や趣味に対して非常に意欲的で、健康や自立意識が高く、新しい価値観を積極的に取り入れようとする65歳以上のシニアを指します。かつては「人生50年」といわれていましたが、平均寿命や健康寿命※の延伸により、年齢を重ねても趣味や仕事にと活躍するアクティブシニアが増え、地域の活動やボランティアに参加される方もいらっしゃいます。小学生の登下校中の見守り活動されている高齢者の方もいらっしゃいますね。

※2022年の平均寿命は男性 81.47 歳、女性87.57歳、そして日常生活に制限のない健康寿命は男性 72.68 歳、女性75.38歳と発表されています。

背景には子育てが終わり、自分の時間が増えたことや社会とのつながりや、生きがいを持ち続けたいと考えていることがあげられます。健康寿命を延ばすためには家に閉じこもりっぱなしにならず、積極的な社会参加を続け、多様な世代との社会交流を続けることが必要とされています。そして「元気な間は社会の役に立って働きたい」という労働意欲の高いアクティブシニアが、これまで培ったスキルや知識、人生経験を活かし生涯現役で活躍しています。

実際、生涯現役として活躍することは、自身のADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の向上だけでなく社会保障の担い手となる働き手を増やすことにつながっています。

介護業界から求められているアクティブシニア

では、アクティブシニアの介護業界でのニーズについてみてみましょう。

人手不足に悩む介護業界での需要が高い

2030年には人口の約3分の1が高齢者になると予測され、介護が必要な高齢者に対して介護職不足が問題視されています。介護業界は求人の門戸が広く売り手市場です。介護職は、年齢不問で介護施設によっては未経験・無資格でも働きやすい職種です。

「年齢不問といってもシニアでも働けるの?」と不安の方もいらっしゃるかと思いますが、介護業界ではシニア世代の人生経験やこれまでのキャリアを必要としています。

働き方も選びやすいので、自分に合った業務を行い80代になっても介護職として活躍されている方もおられます。

介護未経験で不安…という方は、介護職員初任者研修で介護の基礎的な知識とスキルを身に着けることをおすすめします。

もちろん入職後には研修で実践的な技術を身に着けることができますが、事前に学習しておくことでスムーズに業務を行えるでしょう。

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アクティブシニアが活躍する介護業界

介護業界ではシニア世代のニーズが高いとお伝えしましたが、一般企業に比べると20代から80代までの幅広い年齢の方が活躍しています。公益財団法人 介護労働安定センターが行った『令和3年度介護労働実態調査状』をみてみましょう。

介護職の平均年齢は47.7 歳。(男性が 42.3 歳、女性が 49.2 歳)
男性は「40 歳以上 45 歳未満」が 18.6%で最も高く、次いで「35 歳以上 40 歳未満」が 17.0%となっています。また、女性は「45 歳以上 50 歳未満」が 15.8%で最も高く、次いで「50 歳以上 55 歳未満」が 15.4%となっています。

7割弱の事業所で65歳以上の労働者を雇用していると結果もあり、60歳以上の介護職の割合は全体で15.9%となります。

データから、年齢を重ねても活躍されている方が多く、就労割合が多いことは介護職を始める自信につながりますね。

アクティブシニアが介護業界で活躍するメリット

「もう高齢だし働けるか不安…」という方も多いかと思いますが、介護職は20代から80代まで幅広い世代が活躍し、年齢に合わせた働き方が実現しやすい職種です。

介護施設側も人材の確保だけでなくシニア世代特有のノウハウや人生経験を活用できるメリットがあるため、中にはアクティブシニアの方だけに絞った求人もみられます。

アクティブシニアが介護業界で活躍するメリットは主に6つあります。

1.年齢問わず活躍できる

介護の仕事は年齢やこれまでのキャリアに影響されず年齢を重ねてからでも活躍できる仕事です。介護業界はキャリアパス制度が整っているので、「「介護職員初任者研修」や「介護福祉士」「ケアマネジャー」などの資格を取得していくと、キャリアアップや資格手当で給与アップを目指すことができます。定年を過ぎてから介護の資格を取得し、現在70歳でケアマネジャーとして活躍されている方もいらっしゃいます。

介護の仕事は幅広い年齢の方が個々のスキルを活かして活躍できるので、年齢や体力に合わせて長く安定して働けることもメリットになるでしょう。

2.人生経験を活かせる

「もう若くないし、体力にも自信がない…」と介護の仕事に不安を抱えている方もいらっしゃいます。しかしこれまでの家事や子育て、仕事の経験などすべての人生経験は、介護の仕事のスキルのひとつとなります。

中でもこれまで築かれた人生経験がもたらす応用力は、誰にも負けないスキルになるでしょう。

若手介護職の人生のアドバイザーや相談相手といった若い世代の育成ポジションで活躍している方もいらっしゃいます。アクティブシニアが活躍している姿をみることで、若手職員だけでなく利用者様へ勇気を与えることができるのも魅力のひとつですね。

3.利用者からのニーズが高い

介護サービスの利用者様はちょうどシニア世代の親世代という方が多いでしょう。中にはアクティブシニアと同世代の利用者様もいらっしゃいます。利用者様によって「若い子と話すと元気になるから」と若手介護職員のケアを希望する方もいますが、「年齢が近い方が話しやすい」と年齢を重ねた職員を希望する方もいます。

利用者様からすると年齢の差が小さいため“老い”に対する不安や焦燥感といった気持ちを理解してもらいやすく話しやすいのです。

若い頃の話や健康のことなど共感できる話題も多く、アクティブシニアにとってもこれからの老後について人生の先輩から学ぶことも多いでしょう。

4.働き方の選択肢が豊富

介護の仕事は正社員だけでなく、契約社員、派遣社員、パートと様々な働き方があり、時間の融通が利きやすいことがメリットです。特に訪問介護は短時間のシフト勤務が可能で、週に1回・2~3時間・1コマからOKという職場もあり、自分に合った勤務時間が選びやすいでしょう。

長く働くことに自信のない方や勤務時間に制限がある方にもおすすめです。

5.自分に合った業務内容がある

職場によりますが、アクティブシニアを積極的に採用している介護施設では、その方の体調やスキルに合った業務を任せてもらうことができます。例えば、身体介護メインではなく調理補助+見守り業務の介護助手、清掃や配食業務、物品補充などその方に合ったスキルとパワーで業務を行えるのがメリットです。

「介護業務をする体力に自信がない」といった方も、ご自身でできる範囲で仕事ができるので安心ですね。

6.生きがいになる

高齢になると「心身の健康」「家族や社会とのつながり」「経済的自立」「生きる目的」「役割」などの喪失があるとされています。中でも大きい喪失は「役割の喪失」です。子育てが終わった、定年退職をした後に目標を失い、閉じこもりがちになってしまったり、うつのようになってしまったりする方もいらっしゃいます。介護の仕事のように社会貢献につながる仕事は、人と人とのコミュニケーションが充実し誰かの役にたつ仕事です。

役割の喪失を体験したシニアにとって、自身の活動で利用者様の笑顔を引き出せたり「ありがとう」という言葉が、人生の大きな生きがいになるでしょう。

アクティブシニアにおすすめの介護事業所

ではアクティブシニアにおすすめの介護事業所を紹介します。

訪問介護事業所

訪問介護は、介護保険制度の“在宅介護”に位置づけられた介護サービスで、自宅で暮らしたいと願う高齢者や障害者の毎日を支えます。ホームヘルパー(訪問介護員)が利用者の自宅を訪問し、生活援助(掃除や洗濯など)や身体介護(入浴や排泄など)、通院介助などのサービスを提供します。

ケアプランで決められたサービス提供の時間でシフトに入り、短時間で働くことができます。職場によりますが「週1回・2~3時間から可」という職場もあります。

生活援助では掃除や調理、洗濯などを行うのでこれまでの家事スキルを多いに活かすことができるので、介護の仕事の入門として体の負担が少なく働きやすい仕事ではないでしょうか。

また年齢の近い訪問介護員が来ることを楽しみにしている利用者様も多く、心強い相談相手となれるでしょう。

※訪問介護員として働く場合は、介護職員初任者研修・介護職員実務者研修・介護福祉士の「訪問介護員」としての資格取得が必要になります。

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デイサービス

デイサービスは「自宅で自立した日常生活を送りたい」という希望をもつ高齢者を支える通所サービスです。心身機能の維持向上や孤立感の解消、家族の介護負担の軽減が目的で、入浴や食事、リハビリ、レクリエーションなどを日帰りで提供します。

夜勤がなく日勤帯のみで、介護度が低く自立度の高い方が多く、特別養護老人ホームなどの入居施設に比べて介護業務の負担が少ないことが特徴です。

朝や夕方の送迎が混む時間、入浴が開始され介護職員が少なくなる時間、昼食時などのニーズが高く、細かいシフト勤務で働くことができる職場もあります。介助業務とともにレクリエーションやイベント等を提供しますので、場を盛り上げることやカラオケが好きな方におすすめです。

また、運転が好きなアクティブシニアの男性におすすめなのはデイサービス送迎車の運転手です。また、デイサービスを利用される方の中には、集団で活動せず囲碁や将棋などを楽しみたい方がいらっしゃいます。特に男性利用者に多く、その方の囲碁相手や話し相手など個別的な対応などを任せられることもあるでしょう。

職場によって朝と夕方だけなど働く時間帯を選ぶことができるので、ライフスタイルに合わせて働くことができる点がメリットです。

介護施設

介護老人福祉施設や介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホームなど入居施設もアクティブシニアにおすすめです。入居施設で需要の高い時間が食事時間。特に早朝から朝食後くらいまでの時間に人手が足りず、見守りや食事の準備、食事介助で必要とされるケースが多いでしょう。また、住み慣れた地域で暮らしたい認知症利用者を対象にしたグループホーム(認知症対応型共同生活介護)もアクティブシニアに向いています。

食事や洗濯、掃除などの家事全般を利用者とともに行いますので、介護助手・介護補助といった働き方で活躍できるでしょう。

筆者の体験談 グループホームで活躍するアクティブシニアのMさん

70歳で入職されたMさんは現在73歳で、長年家族の介護をされてきました。「介護経験を生かして役に立つ仕事がしたい」と、グループホームに入職されました。

ではMさんのエピソードをお話したいと思います。

70歳Mさんの担当業務

腰痛があり重度の方の介助はできませんが見守りや歩行介助、排泄介助などの介護補助として活躍されています。

また主な業務としてキッチンや洗濯、掃除など長年の主婦スキルで調理担当を任されています。

グループホームには20代から80代までの幅広い年齢層の介護職員が働いていますが、若手介護職員の家事指導はMさん担当です。お皿の洗い方や洗濯の仕方など10代・20代の若手職員に指導してくれています。

利用者様の“心の友”Mさん

ある女性の利用者様はトイレに行きたくなったときは、必ずMさんをご指名します。Mさんがお休みの日に変わりに他のスタッフが行くと、とても残念そうにされ「Mさんが良かったのに…」と。お孫さんと同じくらいの年齢のスタッフに介助してもらうのは気を使うとのことでした。「若いスタッフは気を使ってお世話してくれるしありがたいけれど、Mさんは年が近いし友達みたいに何でも話してくれるから嬉しいねん」と話されました。入居者様の尊厳や尊重を考えることは重要ですが、毎日過ごす施設の中で心を許して気兼ねなく話せる相手がいる、ということも大切なことですね。

Mさんは利用者様の“心の友”として、利用者と一緒に座りお茶をしながら世間話に花を咲かせたりと、主にコミュニケーションを担当していただいています。

「やればできる!」と資格取得に踏み出したMさん

無資格で入職したMさんですが、介護現場で働くうちに「もっといろいろな知識や技術を身に着けたい」と思い、介護職員初任者研修を受講することにしました。「年齢を重ねてからの勉強は、覚えることもあって大変だけど楽しい!」「やればできる!」と前向きに取り組み、見事資格取得されました。講義内容で分からない部分があれば講師やスタッフに質問し、スキルを吸収したいというポジティブな意欲が周りのスタッフにも伝染。

「当時70歳だったMさんができるなら私も頑張ろう」と、同じく無資格で入職したスタッフも介護職員初任者研修を受講することになり資格ラッシュに…

そんなやる気満々なスタッフをみる利用者様にも変化がみられました。「認知症が進まんようにせなあかん」と、クロスワードパズルをしたり新聞を読んだり。カレンダーに日記をつけたりと利用者様にも前向きな姿勢が伝わったのです。

自身の資格取得がきっかけでしたが、活気あるフロアーに導いてくれました。そして資格取得後、介護福祉士の資格取得にも意欲をみせるMさんでした。

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まとめ

アクティブシニアにとって介護の仕事は社会的なニーズが高く、自身にとっても「誰かの役に立っている」ことが生きがいとして、豊かなシニアライフの実現につながります。しかし体力に自信のあるアクティブシニアの方でも、年齢を重ねるごとに体力は衰えていきます。無理をして介助をすると、適切でないケアになってしまったり腰を痛めてしまう恐れがあります。そのため介護のスキルや知識を身に着け、双方にとって負担の少ない介助を身に着けることが大切です。

介護の実践を通じて学ぶことも多いですが、仕事を始めるまえに介護職員初任者研修を受講することで基本的な介助動作を身に着けることができるでしょう。

カイゴジョブアカデミーでは介護の基本的な知識とスキルを学べる介護職員初任者研修を開講しています。介護職員初任者研修を修了すれば不安なくケアに向き合うことができるでしょう。また、幅広い年齢層の受講生が多数在籍しています。豊富な知識と人生経験を武器に、一緒に介護の世界で第二の人生をスタートしませんか?

吉田あい写真
この記事の著者 吉田あい
プロフィール
大阪府出身。現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」「介護現場におけるリスクマネジメント」
特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。
カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。
保有資格
介護支援専門員(ケアマネージャー)、介護福祉士、社会福祉士、メンタル心理カウンセラーなど
カイゴジョブアカデミー
この記事の監修者 カイゴジョブアカデミー
編集部
介護専門の資格講座学校「カイゴジョブアカデミー」の編集部です。
介護業界のプロフェッショナルが介護の仕事や資格に関するお役立ち情報をお届けします。