介護福祉士実務者研修とホームヘルパー1級の違いは?
介護福祉士実務者研修とホームヘルパー1級の違いは?
介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)とホームヘルパー1級(以下、ヘルパー1級)の違いは大きく3つあります。
- 「介護福祉士の受験資格」を得られるかどうか
- 「医療的ケア」と「介護過程Ⅲ」を学べるかどうか
- 「訪問介護以外」にも対応できるかどうか
一般にも広く知られていた「ホームヘルパー」の資格は2013年3月末で廃止され「介護職員初任者研修(以下、初任者研修)」「実務者研修」が新設されました。この記事では、実務者研修の詳細やホームヘルパー制度が廃止になった理由、ヘルパー1級修了者が介護福祉士を受験する際に注意すべき点などを解説します。
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目次
介護福祉士実務者研修とは?
実務者研修とは介護の入門資格である「初任者研修」の1ステップ上の資格として位置づけられています。初任者研修は、無資格・未経験者が介護の基礎を学ぶ介護の入門資格ですが、実務者研修は多様化する介護ニーズに応えるため、初任者研修より専門的・発展的な知識や技術を学びます。
具体的な学習内容は「医療的ケア(たん吸引や経管栄養)」や「介護過程Ⅲ」などを含む、介護福祉士養成校(2年以上の養成課程)の到達目標と同じ水準です。
さらに実務者研修は、介護福祉士の受験資格の一つでもあるため、介護業界でのキャリアアップの足掛かりとなる資格でもあります。
初任者研修と同様に受講資格はなく、介護未経験者や無資格者でも受講できることが特長です。
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ホームヘルパー1級とは?介護福祉士実務者研修との違い
ヘルパー1級とは、ホームヘルパー2級(以下、ヘルパー2級)の講座を修了し、一定の実務経験を満たした人を対象に、より高い介護技術と知識を得るために設定された資格でした。実務者研修はヘルパー1級や「介護職員基礎研修※」と同等の資格とみなされていますが、学習内容がすべて重複しているわけではありません。実務者研修との違いは大きく3つあるのでそれぞれ解説します。
介護職員基礎研修は初任者研修・実務者研修の前身として2007年~2013年に運用されていた資格
違い① 介護福祉士の受験資格を得られるかどうか
国家資格である介護福祉士の受験資格を得るためには複数のルートがありますが、「実務経験ルート」では「実務経験3年以上+実務者研修の修了」が設定されており、ヘルパー1級は受験資格として認められません。実務経験ルートから介護福祉士を目指すために実務者研修の取得が必須です。 上記の理由から実務者研修の取得は介護福祉士を目指しているアピールにもなるので、就職や転職にも有利に働くでしょう。介護福祉士の受験資格の詳細は以下の記事を参考にしてください。
違い② 医療的ケアと介護過程Ⅲを学べるかどうか
実務者研修ではヘルパー1級にはなかった「医療的ケア(たんの吸引や経管栄養)」と「介護過程Ⅲ」の科目を学びます。
- 医療的ケア
実務者研修の修了後に実地研修を受けるなど一定の要件を満たすことにより、実際に医療的ケアを介護現場で行えるようになります。看護師不足の今、医療的ケアができる人材の需要は高まっています。 - 介護過程Ⅲ
介護過程Ⅲの科目では「アセスメント→計画立案→実施→評価」の一連のプロセスを、演習やグループワークなどを通して習得します。実際に介護計画を作成する際に役立つだけでなく、介護福祉士国家試験に頻出する科目なので、授業そのものが受験対策にもつながります。
違い③ 訪問介護以外にも対応できるかどうか
ホームヘルパー1級の学習内容は、訪問介護に特化したものでした。しかし現在は訪問介護以外の介護サービスの需要も高く、時代のニーズに合わせて制度が改正されたという実情があります。制度改正で新設された実務者研修の修了者は、幅広い知識と技術を持ち合わせた介護職員として、訪問介護以外の介護事業所でも幅広く活躍できるようになりました。
ホームヘルパー1級が廃止になった理由って?
前述の通り2013年3月末にホームヘルパー資格制度は廃止されました。ホームヘルパー資格制度がなくなった理由は大きく3つありますので、それぞれ説明します。
介護福祉士の質向上を図るため
制度改正前の介護福祉士受験資格は多岐にわたりました。しかし、国家資格である介護福祉士を様々な経歴や経験を持った人が取得することで、知識や技術に差が生じ、専門職としての質は担保できなくなってしまいました。そのため、介護福祉士の質の向上を目的とし、必要とされる知識や技術を明確にする「実務経験ルート」での研修制度を整備したのです。
訪問介護に特化したヘルパー1級の研修内容から、実務者研修ではすべての介護業務に対応できる内容へと見直されました。同時に医療的ケアや介護過程Ⅲといった高度な科目を追加することにより、介護福祉士の知識と技術のレベルを一定水準に保ち、介護福祉士の質向上を図っています。
キャリアパスをわかりやすくするため
旧制度ではヘルパー2級修了者でも要件を満たせば介護福祉士を受験することができました。また、ヘルパー2級の上位資格であるヘルパー1級や介護職員基礎研修を修了してから介護福祉士を目指す人も混在していました。
しかも、ホームヘルパー制度と介護職員基礎研修制度は混在し、学習内容が重複している状況にありました。
こうした分かりにくいキャリアアップ制度を一本化する目的もあり、資格制度が改正されたのです。
新制度では、以下の図のように『初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネジャー/認定介護福祉士』というキャリアパスが設定され、資格取得やキャリアアップの道筋がシンプルで分かりやすいものになりました。複雑な旧制度下で「次はどの資格を取得すればいいのか」に迷い、一歩を踏み出せなかった人でも、新制度では明確なステップアップを目指せるようになっています。
人材の偏り解消と人材確保のため
日本は高齢化が進み、高齢者の数が右肩上がりに増加し続けています。そのため、介護業界では介護職員の人材育成や人材の偏り解消、人材確保が急務となっています。そうした観点からも、以下の3点を中心にして制度が改正されました。
- 訪問介護以外の業務にも幅広く対応できる質の高い人材を育成する
- 介護サービスの違いによる人材の偏りを解消する
- キャリアアップの道筋を明確にすることで、資格を取得しやすくして介護業界で長く活躍できる人材を確保する
ホームヘルパー1級から介護福祉士へキャリアアップする方法
介護福祉士の受験資格を満たすためには主に4つのルートがありますが、ヘルパー1級修了者であればほとんどの場合が「実務経験ルート」で介護福祉士を目指すことになるでしょう。ここでは、実務経験ルートから介護福祉士を目指す方法を解説します。
現在、ヘルパー1級を取得していても、実務経験ルートでの介護福祉士の受験資格は満たせません。ヘルパー1級の取得者が受験資格を満たし、介護福祉士へキャリアアップするためには以下の3ステップが必要になります。
ステップ1 介護福祉士実務者研修を修了する
実務経験ルートで介護福祉士国家試験を受験するには、全20科目ある実務者研修の修了が必須です。その場合、ヘルパー1級ですでに習得した18科目分の受講は免除されますが、残りの2科目「医療的ケア」と「介護過程Ⅲ」は受講しなくてはなりません。
以下に保有資格別の実務者研修の科目数と受講時間、免除時間をまとめたので参考にしてください。
保有資格 | 受講科目数 | 受講時間 | 免除時間 |
---|---|---|---|
無資格 | 20 | 450時間 | – |
ヘルパー2級 | 12 | 320時間 | 130時間 |
初任者研修 | 11 | 320時間 | 130時間 |
ヘルパー1級 | 2 | 95時間 | 355時間 |
介護職員基礎研修 | 1 | 50時間 | 400時間 |
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ステップ2 3年以上の実務経験を積む
実務経験ルートでは、実務者研修の修了と併せて「3年以上の実務経験」も必要です。実務経験は以下のように定義されています。
- 従業期間3年以上(1,095日以上)
かつ - 従業日数540日以上
実務経験については以下にポイントをまとめたので併せて参考にしてください。
- 実務経験は雇用形態不問!
- 実務経験は実務者研修修了の前後どちらでもOK!
- 実務経験は転職しても通算3年以上あればOK!
参照元 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験 受験資格
ステップ3 介護福祉士国家試験に合格し、登録手続きを行う
ステップ1と2を経て実務経験ルートでの受験資格を満たせば、介護福祉士国家試験が受験できます。以下に、介護福祉士国家試験の概要をまとめました。参考にしてください。
試験日 | 例年1月下旬の日曜日 |
---|---|
受験手数料 | 18,380円 |
合格発表 | 例年3月下旬の月曜日 |
合格率 | 例年70~80%前後 |
2024年7月現在
晴れて介護福祉士国家試験に合格した後は、資格の登録が必要です。試験に合格しても、資格を登録しないと介護福祉士を名乗ることはできません。合格通知には資格登録の申請書が同封されるので、必要な手続きを済ませ、介護福祉士の登録証を受け取りましょう。資格登録に必要な書類は以下の通りです。
- 登録申請書
- 登録免許税『収入印紙』の原本
(郵便局等で収入印紙を購入する(9,000円) - 登録手数料『振替払込受付証明書(お客さま用)』の原本
郵便局等で払い込む(3,320円) - 下記ア、イ、ウのいずれか1通
ア 戸籍の個人事項証明書の原本
イ 戸籍抄本の原本
ウ「本籍を記載した」住民票の原本
外国籍の方は、以下の書類も必要です。
- 中長期在留者、特別永住者:「国籍等を記載した」住民票の原本
- 短期滞在者:パスポートその他の身分を証する書類のコピー
2024年7月現在
参照元 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験 資格登録
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受講料 | 55,000円(税込・テキスト代込) |
---|---|
受講時間 | 95時間 |
免除時間 | 355時間 |
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まとめ
「ヘルパー1級」と「実務研修」は、ほぼ同レベルの資格とみなされていますが、介護福祉士の受験資格を満たすためには実務研修を修了しなければなりません。介護福祉士として活躍できるようになれば、介護士としての知識や技術、実務に精通しているというアピールにつながり、昇給やより好条件での転職も見込めます。
さらに、介護福祉士としての実務経験を積むことで、介護福祉士の上位資格である「ケアマネジャー」や「認定介護福祉士」にチャレンジできるようになります。介護福祉士以上のキャリアアップを目標にするなら、まずは実務者研修の修了を目指しましょう。
カイゴジョブアカデミーではお手頃価格で実務者研修を開講しています。さらに、費用が一切かからない「介護職デビューキャンペーン」も実施中!転職をご検討の方はぜひお気軽にお問合せください。
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*初任者研修 または 実務者研修
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この記事の監修者
カイゴジョブアカデミー
編集部
- 介護専門の資格講座学校「カイゴジョブアカデミー」の編集部です。
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