実務者研修の取得方法とは?受験条件や勉強の仕方も解説!
超高齢社会の昨今、質の高い福祉人材を確保することは急務です。行政はその取り組みのひとつとして、複雑だった介護の資格制度を整えました。ホームヘルパー2級(以下、ヘルパー2級)は介護職員初任者研修(以下、初任者研修)に、ホームヘルパー1級(以下、ヘルパー1級)は介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)に生まれ変わりました。
この記事では実務者研修とヘルパー1級の違いや、実務者研修の取得方法、勉強方法などを解説します。
- 約2〜6ヵ月※
- 通信 + 通学
介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)の詳細はこちらから>>
実務者研修の受験(受講)条件は?
実務者研修には受験(受講)条件はありません。介護の資格を持っていない人や、介護の経験がない人でも受講できます。ヘルパー2級やヘルパー1級、初任者研修、介護職員基礎研修といった介護の資格を修了している人は、一部の科目が免除されるため、実務者研修の受講期間が短くなったり、受講料が安くなったりします。免除科目による受講期間や受講料の詳細は以下の記事で解説しています。参考にしてください。
実務者研修とホームヘルパー1級の違いとは
実務者研修とヘルパー1級の違いは大きく3つあります。
1.受験(受講)資格の有無
実務者研修は無資格・未経験者でも受講可能です。一方、旧制度のヘルパー1級を受講するためには、ヘルパー2級の修了と業務の経歴など一定の基準を満たす必要がありました。
※一部の自治体では、特例措置によりヘルパー2級を修了していれば実務経験の有無に関わらずヘルパー1級を受講できました。
2.研修内容
実務者研修とヘルパー1級で学習する内容はほとんど重複していますが、実務者研修ではヘルパー1級の学習内容に含まれていない以下の2科目を受講します。
- 介護過程Ⅲ(45時間)
- 医療的ケア(50時間)
実務者研修の受講時間は全450時間ですが、所有資格により異なってきます。たとえば、ヘルパー1級修了者の場合、上記2科目計95時間を受講するだけとなり、355時間分の科目が免除されるため約2か月で修了できます。
3.修了試験の有無
ヘルパー1級では学習達成度合いを測るテストを実施していました。一方、実務者研修は理解度を確認するためのテストが必ずしも行われるわけではありません。スクールによって修了試験実施の有無や、実施する際の難易度、合格基準が異なります。
ホームヘルパー1級がなくなった理由
ホームヘルパーの資格制度が廃止された理由は大きく2つあります。
1.キャリアパスを明確にするため
かつてのヘルパー1級や介護職員基礎研修などの資格では、学習内容に重複がありました。そのため学習効率が悪く、実施機関による学習内容のバラつきなども生じていました。こうした混乱は介護業界への人材参入の阻害要因のひとつだと考えられ、研修内容等を統一し、介護のキャリアパスを分かりやすくするために、初任者研と実務者研修という研修体系を定めることになったのです。
すでに取得しているヘルパー1級やヘルパー2級の資格は無効にはなりませんが「介護福祉士」を目指す際には、実務経験ルートの場合「実務者研修の修了」と「3年以上の実務経験」が必要になるので注意が必要です。
介護福祉士についての詳細は以下の記事を参考にしてください。
2.介護の質を高めるため
介護職唯一の国家資格に「介護福祉士」があります。この資格は専門知識と技術に長けた介護のエキスパートの証と位置付けられています。
しかし、制度改正前の介護福祉士の受験資格は多岐にわたり、さまざまな経歴や経験を持った人が受験できたため、知識や技術に差が生じ、専門職としての質が担保できなくなってしまいました。そのため、介護福祉士の質向上を目的とし、必要とされる知識や技術を明確にする「実務経験ルート」での研修制度を整備したのです。
ヘルパー1級は訪問介護に特化した研修内容でしたが、実務者研修ではすべての介護業務に対応できる内容へと見直されました。同時に「医療的ケア」や「介護過程Ⅲ」といった高度な科目を追加することにより、介護福祉士の知識と技術のレベルを一定水準に保ち、介護福祉士の質向上を図っています。
ホームヘルパー1級がなくなった理由は以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
実務者研修の取得方法
実務者研修の取得方法は、カイゴジョブアカデミーのように国から認定された養成施設(スクール)で受講し、全課程を修了することです。実務者研修には「通信コース(通信+通学)」と「通学コース」の2種類があり、どちらのコースも受講内容は同じです。
実務者研修の内容
- 人間の尊厳と自立
- 社会の理解Ⅰ
- 社会の理解Ⅱ
- 介護の基本Ⅰ
- 介護の基本Ⅱ
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術Ⅰ
- 生活支援技術Ⅱ
- 介護過程Ⅰ
- 介護過程Ⅱ
- 発達と老化の理解Ⅰ
- 発達と老化の理解Ⅱ
- 認知症の理解Ⅰ
- 認知症の理解Ⅱ
- 障害の理解Ⅰ
- 障害の理解Ⅱ
- こころとからだのしくみⅠ
- こころとからだのしくみⅡ
- 医療的ケア・通信
- 介護過程Ⅲ
- 医療的ケア・演習
「通信コース(通学+通信)」のメリット
「通信コース(通学+通信)」では、テキストでの学習とスマートフォンやパソコンなどを用いたweb学習が基本になります。「通信コース(通学+通信)」のメリットは、自身のライフスタイルに合わせて学習時間を調整できることです。介護の資格を持っていない人は、1から19までの科目を自宅で学習し、20と21の科目は通学して受講します。
「通学コース」のメリット
「通学コース」では、すべてのカリキュラムをスクールで受講します。「通学コース」のメリットは「自宅学習より集中しやすい」「不明点はその場ですぐに質問し解決しやすい」などです。
「通信コース(通学+通信)」「通学コース」それぞれの留意点
「通信コース(通学+通信)」の留意点
「通信コース(通学+通信)」は不明な点があった場合、質問をしても後日の返答となってしまうことがあります。自身の都合に合わせて学習しやすいメリットがあると同時に、学習時間の自己管理が必要になります。
「通学コース」の留意点
「通学コース」であっても、ある程度の自宅学習は必要です。また、実務者研修は働きながら受講する現役介護士が多く、「通学コース」を開講しているスクールは少数です。費用面や受講期間においても「通信コース(通学+通信)」と違いが生じる場合があり、確認は必須です。
修了試験の有無
修了試験の有無はスクールによって異なります。試験が実施される場合でも、落とすことが目的ではなく、理解度を測るための試験ですので、しっかり復習していれば合格できるでしょう。
実務者研修を取得するメリット
実務者研修を取得するメリットは大きく4つあります。それぞれ解説していきます。
介護福祉士の受験資格になる
介護福祉士国家試験の受験資格のひとつに「実務経験ルート」が設定されています。福祉系の大学や専門学校等の卒業資格がなくても、介護の現場で実務を積むことで受験できるため、このルートで受験する人は少なくありません。「実務経験ルート」で必須となる要綱が、実務者研修の修了です。ヘルパー1級やヘルパー2級、介護職員基礎研修の資格を持っていたとしても、実務者研修の修了が必要になります。
サービス提供責任者になれる
サービス提供責任者は訪問介護事業所に配置が義務付けられています。サービス提供責任者になるためには「実務者研修の修了」または「介護福祉士等の資格」が必要です。以前は初任者研修修了者やヘルパー2級修了者でも配置義務を満たせましたが、現在は認められていません。そのため、とくに訪問介護事業所では「実務者研修修了者」に高い需要があります。
医療的ケア(経管栄養、喀痰吸引)を学べる
実務者研修修了後に実地研修等の一定条件を満たすことで、介護職員でも一部の医療的ケアを行うことができます。超高齢社会となった現在、医療的ケアのニーズは高く、実務者研修を取得することで業務の幅が広がります。
資格手当や役職手当がつき給料が上がりやすい
実務者研修修了者は資格手当や役職手当等が支給される場合があります。実務者研修修了者は、サービス提供責任者の配置義務を満たせますし、医療的ケアに携われるため、評価がお給料に反映されやすくなります。
実務者研修の勉強方法
実務者研修には提出課題があります。ある程度の自宅時間や復習時間を確保する必要があるので、勉強方法をご紹介します。
勉強の習慣をつける
「通信コース(通学+通信)」でも「通学コース」でも決めた時間に学習し、その習慣を継続していくことが目標達成への第一歩となります。日々の生活の中では学習時間の確保が難しい場合もあるでしょう。仕事の都合、あるいは体調不良など、アクシデントがないとも限りません。そこで、実務者研修修了という大きな目標を細分化し、短期目標と長期目標を立てることをおすすめします。計画の管理には、スマートフォンのアプリ等を活用するのも良いでしょう。
実務者研修に合格するためのポイントを解説した記事もあります。ぜひ参考にしてください。
提出課題の間違えた箇所をまとめて、弱点を“見える化”する
ただやみくもに手をつけるのではなく、自分が今どの学習レベルにいるのか、どこがどのように理解できていないのかを把握し、分析することは非常に有効です。自分が抱えている課題を解決していくことで、学習する喜びにもつながるでしょう。
そのほかの勉強方法
これが正しいという方法はなく、自身に合った勉強方法を探しましょう。適度にリフレッシュしながら学習することも大切です。各スクールなどのwebサイトには、受講生の体験記なども掲載されているので、先輩たちの体験を参考にピッタリの勉強方法を見つけてください。
まとめ
実務者研修の研修制度や取得する利点、学習方法などを解説しました。「通学コース」「通信コース(通学+通信)」ともに学習内容は変わらないため、自身に合ったコースのあるスクールを選ぶことが大切です。
カイゴジョブアカデミーの実務者研修は「通信コース(通学+通信)」です。料金設定が安いだけでなく、就業支援をご希望の方には、自己負担なく実務者研修が受講できる「介護職デビューキャンペーン」も実施しています。ぜひこの機会にカイゴジョブアカデミーの実務者研修をご検討ください。
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*初任者研修 または 実務者研修
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この記事の監修者
カイゴジョブアカデミー
編集部
- 介護専門の資格講座学校「カイゴジョブアカデミー」の編集部です。
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