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人員配置基準が3対1から4対1になるとどうなるの?ICT化がキーになる!?

更新日:2022/4/28

人員配置基準が3対1から4対1になるとどうなるの?ICT化がキーになる!?

人員配置基準が変わるとどうなるの?

介護の仕事をしている方、これから介護業界を目指している方は「人員配置基準が3人に1人から4人に1人になる」という噂をきいたことがあるのではないでしょうか?

現時点では本決まりではなく、介護施設の人員配置基準を段階的に4対1に見直していくことが検討されています。

「ただでさえ人手が足りていないのに、さらに大変になるの?」と、介護職員の中には介護人材の確保に不安を抱く方も多いかと思います。
今回は、実際に基準が緩和されると利用者や職員にどのような影響があるのか、また緩和が検討されている施設形態と影響を受けない職場について解説します。
これから介護業界を志す方々は、ぜひ参考にしてください。

介護施設の人員配置基準とは

まず、見直しとなる“人員配置基準”とはなにか?についてご説明します。
人員配置基準とは介護保険法で定められた職員の最低人数のことで、現行の3対1では利用者3人に1人の介護職員の配置が必要ということです。
3対1を下回った場合には介護報酬が減額される決まりがあります。

しかし、「24時間365日、3人の利用者に対して1人の介護職員が常駐している」という意味ではありません。

例えばグループホームの場合。
1ユニットの入居者が9人とすると、入居者3人に1人の介護職員となり、常に総数3人の介護職員が配置されているとイメージします。
しかし実際には常勤換算方法で常勤の介護職員の総数に対して働いている時間数が3対1であれば問題ないということになります。

9人の入居者であれば3人×8時間配置すればOKなので、日中の介護職員は早出・日勤・遅出が揃えばクリアします。
夜間帯はフロアー毎に1人の夜勤者の配置が必要になります。

複数の介護職員が働く場合は、1人以上が常勤であることも決まりのひとつで、その他はパートやアルバイトなど短時間の非常勤職員である場合が多いです。

1日の人員配置基準をクリアしていても、実際には時間帯によってスタッフが手薄になる時間もあります。
しかし、職場によっては利用者へ手厚いサービスを提供したいと理念をもち、人員配置基準を大幅に超えて介護職員を配置しているところもあります。

4対1に変わるとどうなる?

実際の現場では現行の3対1基準でも「人がいない」と忙しく動き回っています。
常に3人のスタッフがいるわけではなく、パートさんのシフトによっては2人のスタッフで現場をこなさなくてはいけない日もあるからです。
それが4対1になったら…利用者4人に1人の介護職員となり、利用者1人に対して2.25人の介護職員になるということです。

ちょっとしか変わらないイメージがありますが、体感としては「今日はスタッフが少ないな。他部署から応援がなかったら入浴は明日にしようか…」というレベルです。
筆者が働くグループホームは2ユニットと小規模多機能型居宅介護が併設されているので、人員不足の際はスタッフが応援にきてくれています。
4対1基準に改正となると、この「人がいないな」という現場が常態化するということなので、介護職員の中でも不安を口にする方は多くいらっしゃいます。

4対1基準の対象は?

慢性的な人材不足である介護現場では、2040年には69万人の介護職員不足と予測。
今後も介護保険制度を維持し、よりよいケアを提供するには人材不足の解消と職員の処遇改善は必須の課題であるとされています。

その中で現行の3対1基準を緩和し4対1にすることは、人材確保にはつながりますがサービスの質の低下につながらないかという懸念が残りますよね。

「介護職員が少ないのにあれもこれもできない!」というのが介護現場の本音でしょう。
自分が働く施設が対象になったら不安…という方もいらっしゃいますが、現時点では4対1基準の緩和は特定の施設形態を対象に検討されています。

4対1基準の対象となる施設形態

4対1基準となる緩和が検討されている施設形態と影響を受けない職場にですが、まだ検討段階なので明確な決まりは発表されていません。
週刊高齢者住宅新聞onlineに掲載された規制改革推進室 木尾参事官のインタビューでは先進的な取り組みを行っている特定施設を対象としており、全ての特定施設が対象とは想定されていないということ、また特別養護老人ホームも対象にはなっていないということです。

また、3対1基準から4対1基準に一律移行するのではなく、4対1の人員配置基準でも特例的な対応として違法としないとされています。

このことから、4対1基準は、

・先進的な取り組み(ICTの活用や介護ロボットの導入)によって、サービスの質を落とさず、職員の負担軽減や人員削減を行っている特定施設。
・介護施設の一律的な緩和はなく、先進的事業者に対する特例制度。

と、現時点で予想されます。

では、先進的事業者とはどのような取り組みを行っている施設なのでしょうか?

先進的事業者が取り組む介護現場のICT化

厚生労働省は介護人材の負担軽減、人材確保のため介護現場のICT化を推進しています。
ICT(Information and Communication Technology)とは、情報処理やインターネットサービスなどITと同じようなイメージですが、ITよりもコミュニケーションを重視した情報の共有を行うという意味を持ちます。

介護現場での仕事は、排泄介助や入浴介助など直接的な介助が主になりますが、介護記録や請求業務など事務作業も多くスタッフの負担になっています。

事務作業を行うためにサービス残業をしなくてはならない、スタッフ間で情報共有を行うため紙媒体に伝達事項を記載しなければいけない等、非効率な業務が少なくありません。


先進的事業者が取り組む介護現場のICT化は、質の高い介護サービスを提供・介護業界で働く人材の働きやすさ・効率化を追求することを目的に、IT機器や介護ロボットが導入されています。

ICT化のメリット

増加する一方の介護需要に対して十分な介護人材の確保をしつつ、持続的な介護サービスを提供するにはICTの活用が必須。
近年、多くの介護施設や介護事業所においてICT化が進められ、以下2つのメリットがあります。


1.事務作業の軽減と介護業務の効率化
2.介護職員の負担軽減

では、それぞれみていきましょう。

1.事務作業の軽減と介護業務の効率化

介護施設や介護事業所では、いまだ多くの現場での手書きによる紙媒体での記録業務が行われています。
その中で、ICT化に取り組む施設ではタブレットやスマホなどの端末を活用して、いつでも・どこでも記録することや情報を閲覧することができるという、効率的な業務が実施されています。
また、訪問介護では訪問先で介護記録を入力すれば、リアルタイムで情報共有できるようになっているところもあります。
ICTにより情報を一元化することで、多職種間でのコミュニケーションも活性化や連携が行われ、スムーズな情報共有が可能になります。

2.介護職員の負担軽減

介護現場では利用者の見守りをしながら別の業務を行っているため、気を休める時間がないのが実情です。
行動は連鎖するもので、1人の利用者が「トイレに行きたい」というと居室からナースコールが鳴り…1人で対応するのは負担の大きい業務です。
特に夜間帯はスタッフの人数が少なくなるため1人ですべての利用者の安全確保・見守りをしなければいけません。

筆者が最もしんどいと感じた時間帯は、夜勤明けの朝食時。
7時頃に朝食スタートするのですが、それまでに早出と2人で朝食の準備をしつつ、着替えや口腔ケア、排泄介助と離床の準備を行います。
そしてフロアーへ誘導し朝食スタート、食事介助を行いながら記録業務や他の利用者の対応、服薬介助をしなければいけない…日勤者が来る9時までは怒涛の時間帯でした。
この見守りと同時並行で行う業務がプレッシャーとなり離職するスタッフもいますが、ICTの導入により見守りシステムを導入すれば負担軽減につながります。

例えば夜間帯、見守りシステムを確認すれば利用者が睡眠しているのか、離床しているのかということが把握できます。
夜間帯は少しの物音でも「起きているのかな」と気になり、頻繁に訪室することもありますが見守りシステムで安全が確認できれば、巡回の負担を減らすことができますね。
また、離床センサーはじめ生体情報を管理できるセンサーなどを活用すれば利用者の体温や血圧を測定することができるので異常の早期発見が可能になるでしょう。

4対1の緩和へ介護現場の声とタブレット導入事例

4対1の緩和について、介護現場のスタッフからはこんな声がありました。

・人手不足によってスタッフの負担が大きくなるのではないか?
・利用者に寄り添ったケアができなくなる!
・これ以上業務がきつくなったらケアの手抜きをしなければ回らない
・人材確保どころか離職につながる緩和では?

このようにネガティブな意見が多く聞かれます。

筆者の職場では、実際に手書き紙媒体の記録からタブレット入力へ切り替えました。
導入当時は反対するスタッフが多く、特に高齢スタッフからは「辞めたい」の意見まで。
扱うことへの不安や時間や手間がかかる、と声があり、導入まで説明したりマンツーマンで指導したり…
そしてタブレット導入後、慣れない操作に手間取っていたスタッフ。
しかし操作に慣れたら、手書きの手間がないこと・リアルタイムで情報が確認できること・クリックするだけで入力できること等の便利さに驚いていました。

記録業務の時間短縮につながり、利用者とのコミュニケーションの時間が増えたので、結果的に導入は成功。


4対1の緩和に対しては、実際に人員が削減されるだけでは、ただの業務負担が大きくなるだけですので、職場のICT化導入とのバランスが大切だと考えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
人員配置基準が3対1から4対1になるとどうなるか、について説明させていただきました。

近い将来、介護人材不足はさらに深刻化し、現行基準でのサービス提供は厳しくなります。
人員配置基準4対1の緩和に抵抗感を持つ人も少なくありませんが、緩和してもサービス提供できるシステムを整えていく必要があり、現場の生産性や効率性も考えていかなければいけません。

まだ明確な情報や法案がないため、「4対1基準になる」という言葉が独り歩きしている状態なのかと思います。

全ての介護施設で4対1が導入されることになれば、ICT化進んでいない現場では人員削減・業務負担増が予想され、特に緊急時の対応は困難を極めるでしょう。

しかし導入と同時にICT化の推進を進めれば…
今の事務作業や情報共有にかかる時間や手間が削減され、見守りの負担も軽減されることになれば介護の質を維持したサービスを提供できるのではないでしょうか。
ICTやロボットの導入で、今よりも利用者に寄り添ったケアができるかもしれません。


予測となりますが人員配置基準が緩和されても、サービスの質の低下とならないことが大前提となっています。

これから介護業界を目指す方は、ICT化が進んだ新しい介護にも挑戦できると前向きにチャレンジしていきましょう。

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この記事の著者

吉田あい


大阪府出身 現役のケアマネージャー
専門は「高齢者介護論」「社会福祉援助技術論」
「介護現場におけるリスクマネジメント」

特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所などの現場で、
介護職を10年以上経験。介護講師経験3年。
WEBライターとして、
介護・医療・転職・健康などのジャンルで執筆700本以上。

カイゴジョブアカデミーにて、介護の仕事や資格について、
実体験を踏まえたお役立ち情報をお伝えします。

【所持資格】
・介護支援専門員(ケアマネージャー)
・介護福祉士
・社会福祉士
・メンタル心理カウンセラー
など