今、苦しい状況にいる人に「大丈夫だよ。一緒にやろう」と伝えたい!コンビニ店員で学んだ接客術を活かして介護に挑戦する30代男性の決心
初任者研修から踏み出した一歩
「みんなの介護転職ストーリー」、今回の主役は中山貴央さんです。保険営業やコンビニ店員を経験し、介護業界に転職。接客業で学んだことを介護に活かしています。介護職に就く前は、無職の期間があったと話します。その間、同居していた祖母を亡くした中山さん。衰弱していく祖母のお世話を十分にできなかったことが心残りだと語ってくれました。初任者研修で学んだことを活かし、これからは介護業界で多くの高齢者の役に立ちたいと考えています。
2023年4~8月 介護職員初任者研修/大宮校
2023年4月 有料老人ホームに就職
記事の監修者:藤井寿和(介護福祉士)
保険営業やコンビニの接客から学んだ気配り術
藤井:中山さんは、介護業界に入る前はどんなことをされていたのですか?
藤井:保険の代理店を退職後はどうされたのですか?
中山さん: コンビニエンスストアでアルバイトを始めました。5年間、店舗を移動しながら新規店舗のオープニングスタッフとしてスタッフをまとめたり、新人アルバイトに業務を教えたりとバイトリーダー的な立場で働きました。いい経験ではありましたがこれがなかなか大変で、毎日バタバタしていたのを覚えています。
藤井:コンビニの仕事で得た学びにはどんなものがありましたか?
中山さん: 一にも二にも接客です。例えば「今日が○○の発売日だから」と、新商品を求めて来店するお客さまが多いのですが、流通の影響や地域性の事情で、商品が発売日に店頭にないこともあるんですよね。そんなとき、ご立腹されたり文句を言われたりすることもよくあります。そういうお客さまに対応するのはすごく勉強になりましたね。
藤井:クレーマーとまではないかもしれませんが、お客さまがご立腹されたときというのはどのように対応していたのですか?
中山さん: 商品が準備できていないのはこちら側の事情なので謝るしかないんですが、その謝り方にもコツがあります。まず、きちんと相手の言い分を聞くことからスタートします。お客さまの話を十分聞いてから、こちらの事情も説明してわかって頂いたり、互いに納得できる落としどころを探ったりするんです。とはいえ、ずいぶん気を使いましたね。
藤井:コンビニを辞めて、すぐ介護に転職したんですか?
中山さん: いえ、実は貯金を切り崩しながら、1年ほど無職のまま過ごしました。当時祖母と2人暮らしだったので、祖母と時間を過ごしました。コンビニの仕事がハードで長時間勤務もあったので、今思えば、あの時はちょっと燃え尽きてしまっていたのかも知れませんね。貯金が尽きるまではゆっくり過ごそうと思いました。その後、生活費が必要になったので、カイゴジョブアカデミーに登録し、今年の4月から有料老人ホームで働いています。
接客業で学んだ傾聴スキルを介護に活かす
藤井:無職だった1年間は何をして過ごしていたのですか?
中山さん: 実は私が家で過ごしている期間に祖母が介護が必要な状態になって、結果的には看取りました。祖母をデイサービスに通わせたり、訪問介護に来てもらったりして過ごしました。祖母の介護に加え、経済的な理由で食費を節約しなくてはならなかったので、思い出してもちょっと辛い日々でした。そんな中、祖母の介護に来てくれていたスタッフがとてもいい人で、印象に残っています。
藤井:お祖母様を介護したことが、中山さんを介護業界に向かわせたんでしょうか?
中山さん: そうですね。ただ実際には介護スタッフの方に任せきりで、私自身はあまり介護していないんですよ。どう手助けしていいかわからなかったし、下手に手を出して怪我をさせてもいけないなと思ってしまったので……。でも今考えたら、もっと祖母のお世話をしていたら良かったと思います。祖母はもう亡くなってしまったので、もう何もすることができません。それが心残りですね。
藤井:保険営業とコンビニ店員の仕事で学んだ接客術は介護では役立っていますか?
中山さん: 接客の基本は「お客さまの話を傾聴する」ことです。お客さまの事情や言い分を知るため、また気持ちを知るために聞く、これが基本姿勢です。この姿勢が、今の介護の仕事に活きていると感じます。介護現場でも、利用者さんがスタッフに対して声を荒げることもあれば、利用者さん同士でもめごとが起こることもあります。そんな時、傾聴の姿勢を持って対応すると、比較的スムーズに問題が解決するように思います。
藤井:中山さんの思う傾聴のポイントを教えてください。
中山さん: 相手の話を聞くときは、こちらの言い訳や反論はいったんわきに置いておき、ひたすら傾聴します。介護現場では、残念ながらスタッフが利用者さんの思いを十分に傾聴できていないと感じることがあります。現場は常にマンパワーが足りず、スタッフみんな多忙だから仕方がないのですが、もっと利用者さんの話を聞くべきだと私は感じています。その点私は保険営業やコンビニでずいぶん鍛えられたので、自信がありますよ。
藤井:カイゴジョブアカデミーで学んだことは、現場で役立っていると感じますか?
中山さん: 病気を患っている方への対応、接し方などの知識は役立っていると感じます。また、以前のお仕事経験で培った「傾聴」スキルもとても役に立っており、学びと経験がより実践に繋がっています。
祖母にできなかったぶんを介護業界で恩返ししたい
藤井:介護の仕事をする上で、大切にしていることはありますか?
中山さん: 利用者さんにとっての課題や問題も、なにが難しいのか、しっかりと話を聴き、気持ちを受け止めることを大切にしています。周囲からも、目つきやふっとした表情から、「いい表情になったね」と言われるようになりました。職員間の関係もよく休憩時間は、プライベート、趣味の話などで盛り上がっています。とてもやりがいのある仕事です。
藤井:今後の目標や、挑戦したいことはありますか?
中山さん: 祖母にしてあげられなかったぶん、これから介護現場で心を込めて利用者さんたちのお世話をしたいです。将来的には介護士だけでなく、ケアマネジャーの資格も取りたいですね。
藤井:これから介護に挑戦したい人に向けてメッセージをお願いします。
中山さん:
私は祖母に対し、十分なお世話をしてあげられず悔いを残しました。そればかりでなく、何度も転職した上に無職だった期間もあります。経済的な苦労も味わい、決して順風満帆とは言えない人生でしたが、これまで学んだことを活かして、今はこうして介護業界で奮闘しています。
だからもし今、仕事がうまくいかなかったり、人生がうまくいかなかったり感じている人がいたら、「大丈夫だよ」と伝えたいです。そして少しでも介護の仕事に興味があるなら、「一緒に頑張ってみませんか?」と声をかけたいですね。
インタビューを終えて
保険営業やコンビニ店員を経験してきた中山さん。接客業は介護とは違う業界のようでいて、対人サービスという点では共通する部分も少なくありません。もし「接客が得意だった」という方は、介護福祉士にも向いているかもしれません。「自分はこんな業界にいたけど、介護業界に転職してやっていけるか不安」という方は、カイゴジョブアカデミーのキャリアアドバイザーに一度相談してみてはいかがでしょうか。
構成、執筆:秦 佐起代
「みんなの介護転職ストーリー」でご紹介している方々は、無資格・未経験から介護業界に挑戦したカイゴジョブアカデミーの卒業生です。皆さんが活用された「特待生キャンペーン」なら、自己負担なしで「介護職員初任者研修」の資格を取得でき、さらに介護職専門のキャリアアドバイザーによる就職先の紹介も受けられます。資格が1つあるだけで、給与や待遇がアップし、就職・転職時にも大変有利です。下記リンクからそれぞれ詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
>>自己負担なしで介護職員初任者研修を取得できる!「特待生キャンペーン」についてもっと見る
>>介護の最初の資格といえばコレ!「介護職員初任者研修」についてもっと見る
この記事の監修者
藤井寿和(ふじい ひさかず)
1978年 静岡県西伊豆生まれ。
18歳~24歳まで陸上自衛隊の救急隊員(衛生科)を経験し、
三宅島噴火に伴う災害派遣をきっかけに介護の仕事に転身。
医療法人で在宅医療に特化した介護を学び、介護施設の介護職員、生活相談員、管理者、事業部統括マネージャーに就任した後に、株式会社にて超都心型デイサービスの管理者を経験後、36歳で独立。
2015年に合同会社福祉クリエーションジャパンを設立。
介護福祉士現場コンサルタント、商品開発アドバイザー、講師業を経て、2017年、テレビ朝日の“スーパーJ チャンネル”にて自身への特集、密着取材が全国放映された経験から、介護業界の情報発信とスポットライトが当たる重要性に気づき、自主メディアの制作を志す。
介護専門誌のフリーペーパー発行人、編集長を歴任し、2021年9月にメディア事業へ注力する株式会社そーかいを設立し、代表取締役に就任、現在に至る。
・一般社団法人 日本アクティブコミュニティ協会 公認講師
・合同会社福祉クリエーションジャパン 代表
・株式会社そーかい 代表取締役
・ものがたりジャーナル 編集長
・NPO 16歳の仕事塾 社会人講師
・映画「ぬくもりの内側」プロモーションディレクター
中山さん: 専門学校で経営について学び、保険の代理店に就職しました。会社自体は業績も伸びていて順調に成長していましたが、そのぶん仕事は大変で精神的な負担も大きく、2年ほどで退職しました。