未来を拓く訪問介護で活躍中の20代男性が考える、介護職とキャリアアップ
初任者研修から踏み出した一歩
「みんなの介護転職ストーリー」、今回の主役はSさんです。父親や祖父が店舗のオーナーや会社の役職に就いていたことから、自然と自分も仕事で成長することを意識していたそうです。初任者研修を学び訪問介護に強い使命感を持つSさんが介護業界で思い描くキャリアとは、どのようなものでしょうか。
2022年6月~7月 介護職員初任者研修(短期コース)/溝の口校
2022年6月 スマイルケアの訪問介護部門に就職
記事の監修者:藤井寿和(介護福祉士)
カラオケ運営会社から訪問介護ヘ転職するまで
藤井:Sさんが介護業界に転職するまでのことを教えてください。
藤井:カラオケボックス運営会社ではどんなお仕事をされていたのですか?
Sさん: 入社してからはがむしゃらに頑張りました。カラオケ店の仕事も接客業なんですが、マニュアルを守り、効率よくサービスを提供するのに苦労しましたね。マネジメントの勉強にも打ち込みました。入社1年で店長に抜擢され、3年ほど続けました。
藤井:その後、どのような流れで現在の職場に就職したのでしょうか?
Sさん: カラオケ店を退職し、介護の道に進もうと決めたのが2022年4月でした。転職サービスをネットで検索し、すぐにカイゴジョブアカデミーに登録しました。カイゴジョブアカデミーを通じて、同年の6月に現在の職場であるスマイルケアの訪問介護部門に入社しました。初任者研修はすでに終了し、現在は実務者研修の通信課程に在籍中で9月に修了予定です。
父と母、祖父の影響で介護の世界へ
藤井:カラオケ店から介護業界に転職しようと思ったきっかけを教えてください。
Sさん: 僕の父が高齢者向けのお弁当の宅配サービスのお店を経営しているのですが、僕も調理を手伝ったり、高齢者のお宅にお弁当を届けたりしていました。子どもの頃から、地域で暮らしている高齢者の存在を身近に感じてきたのが影響していますね。他には、僕がカラオケ店に勤めている期間に祖父が認知症になったことが大きかったですね。介護の必要性を肌身で感じました。
藤井:おじいさまが認知症にかかって、どんなふうに感じましたか?
Sさん: 衝撃でしたね。祖父はかくしゃくとした人物だったので、そんな祖父が認知症になったことが、すごくショックでした。最初のうちは在宅で介護しましたが、最終的に施設に入所しました。認知症が進行すると在宅介護は難しくなるんだなと、その時実感しましたね。
藤井:在宅介護はどうでしたか?
Sさん: ヘルパーさんの訪問を受け、介護を手伝ってもらいました。認知症の進行は最初はゆっくりだったのですが、僕がカラオケ店を辞める1年ほど前から急に症状が進行しました。家族の顔や名前がわからなくなったり、トイレやお風呂の場所がわからなくなったりするのを見るのは辛かったですね。そういった祖父の経験もあって在宅介護をやろうと思い、就業先のスマイルケアでは入社当初から訪問介護部門を希望しました。
藤井:介護業界に転職するにあたってご両親の反応はどうでしたか?
Sさん: 両親は反対も賛成もしませんでした。「自分で決めたことなら頑張りなさい」というスタンスでしたね。実は母が介護福祉士なんです。だから介護福祉士の仕事について漠然とですがイメージは持っていましたし、転職するにあたってそれほど迷いはありませんでしたね。
介護業界でもキャリアアップできる!
藤井:ご両親は反対されなかったとのことですが、介護に対してマイナスのイメージを持つ人もいます。介護業界に転職することに抵抗感はなかったのでしょうか?
Sさん: 確かに介護は排泄介助があって汚い仕事というイメージがあると思いますが、僕自身はそういうイメージはありませんでした。両親が高齢者に関係する仕事に就いていたり、祖父を在宅介護したりした経験もあるのかなと思います。
藤井:では介護に転職するとき、まったく迷いや心配はなかったのですね。
Sさん: 介護に対する一般的なネガティブイメージはなかったのですが、キャリアアップしていける仕事なのかは心配していました。父は店舗のオーナーでしたし、祖父も元気なころは大きな会社で役職に就いていて、町内会長も務めていたんです。仕事では同じことを繰り返すのではなく、成長してキャリアアップしていきたいと思っていたので、それが介護業界で可能なのかを心配していました。
藤井:介護業界に実際に入ってみて、キャリアアップできそうだと感じましたか?
Sさん: 研修で講師から教わったのですが、介護福祉士はもちろん、ケアマネジャーや社会福祉士など、介護関係の資格をどんどん取っていくことで給料もアップするし役割も伴うと分かりました。具体的には、主任やサービス提供責任者、施設管理者という役職があります。キャリアアップできるかどうかは本人の努力次第ですよね。僕も昇進を目指して頑張っています。
訪問介護の可能性を信じて
藤井:訪問介護を希望して入社したSさんですが、訪問介護についてどう考えていますか?
Sさん: これからますます訪問介護の利用が伸びていくと思っています。みなさんご存じのように、日本は超高齢社会になっていて、2025年には日本人の4人に1人が高齢者という時代に突入しようとしています。財源やマンパワーの問題で、介護が必要な高齢者が施設に入りたくても入れない時代がすぐそこまで来ています。訪問介護の需要は今後ますます高まっていくと思います。
藤井:訪問介護をする上で大切なことは何でしょうか?
Sさん: 利用者様が、自分の慣れ親しんだ家や地域で最期まで暮らしていくことだと考えています。祖父が認知症になり、最終的には施設に入所することになったのですが、それが心残りでした。そのぶん、これからはスタッフとして訪問介護に携わり、自宅で生活する高齢者を支えていきたいですね。
藤井:しかし、認知症高齢者の在宅介護を続けるのは並大抵のことではありませんよね。
Sさん: 僕の家庭もそうでしたが、介護をしているといろんな問題が起こり、在宅介護を続けるのが難しくなることが少なくありません。僕が訪問介護で担当した利用者様の中にも、加齢や病気で体が思うように動かなくなったり、精神的な問題が起こったりして「これ以上は自分の家で暮らせない」と挫けそうになる人も結構いらっしゃいます。そんなときこそ僕らが支えになって問題を解決し、在宅生活を継続してもらいたいと思っています。
藤井:訪問介護で大変だと思うことは何ですか?
Sさん: 訪問介護は基本的に利用者様とスタッフとの1対1の関係です。いつも責任の重さを感じています。麻痺のある利用者様では転倒に気を付けるなど、安全には十分配慮しなくてはいけません。お薬の管理にも気を使います。また利用者様の精神的なものも含め、訪問中は全部自分ひとりで受け止めなくてはなりません。プレッシャーは大きいですよね。
藤井:どんなときに訪問介護のやりがいを感じますか?
Sさん: さっきは利用者と1対1の訪問介護は大変だと伝えたのですが、1対1で密接に関係するからこそ「自分が利用者さんを支えているんだ」という大きな実感を得られるんです。1対1の関わりなので、利用者さんと向き合えば向き合うほど信頼関係も深くなります。訪問介護をやりがいのあるものにするのか、そうでないのか、すべては自分の心がけ次第。それが魅力ですね。
インタビューを終えて
残念なことですが、世の中には介護職にネガティブなイメージを持つ人が少なくありません。Sさんはそういったイメージは持っていなかったとのことでしたが、お父様やおじいさまが経営者や役職に就いていたこともあり、「介護業界でキャリアアップの道があるのかどうか」と不安に感じていたそうです。介護業界でも、ケアマネジャーや社会福祉士の資格を取ったり、施設の主任や管理者に昇進するなど、努力次第ではキャリアアップも可能です。リーダーシップを発揮したい方もぜひ一度、カイゴジョブアカデミーのキャリアアドバイザーから介護の仕事を聞いてみませんか?
構成、執筆:秦 佐起代
「みんなの介護転職ストーリー」でご紹介している方々は、無資格・未経験から介護業界に挑戦したカイゴジョブアカデミーの卒業生です。皆さんが活用された「特待生キャンペーン」なら、自己負担なしで「介護職員初任者研修」の資格を取得でき、さらに介護職専門のキャリアアドバイザーによる就職先の紹介も受けられます。資格が1つあるだけで、給与や待遇がアップし、就職・転職時にも大変有利です。下記リンクからそれぞれ詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
>>自己負担なしで介護職員初任者研修を取得できる!「特待生キャンペーン」についてもっと見る
>>介護の最初の資格といえばコレ!「介護職員初任者研修」についてもっと見る
この記事の監修者
藤井寿和(ふじい ひさかず)
1978年 静岡県西伊豆生まれ。
18歳~24歳まで陸上自衛隊の救急隊員(衛生科)を経験し、
三宅島噴火に伴う災害派遣をきっかけに介護の仕事に転身。
医療法人で在宅医療に特化した介護を学び、介護施設の介護職員、生活相談員、管理者、事業部統括マネージャーに就任した後に、株式会社にて超都心型デイサービスの管理者を経験後、36歳で独立。
2015年に合同会社福祉クリエーションジャパンを設立。
介護福祉士現場コンサルタント、商品開発アドバイザー、講師業を経て、2017年、テレビ朝日の“スーパーJ チャンネル”にて自身への特集、密着取材が全国放映された経験から、介護業界の情報発信とスポットライトが当たる重要性に気づき、自主メディアの制作を志す。
介護専門誌のフリーペーパー発行人、編集長を歴任し、2021年9月にメディア事業へ注力する株式会社そーかいを設立し、代表取締役に就任、現在に至る。
・一般社団法人 日本アクティブコミュニティ協会 公認講師
・合同会社福祉クリエーションジャパン 代表
・株式会社そーかい 代表取締役
・ものがたりジャーナル 編集長
・NPO 16歳の仕事塾 社会人講師
・映画「ぬくもりの内側」プロモーションディレクター
Sさん: 実は僕、高校生の頃は警察官になりたかったんです。もともと法律を学んでみたかったのと、法学部から警察官になる人が多いと聞いて、法学部に進学しました。大学で4年間を過ごすうちいろいろ考えも変わり、新卒でカラオケボックスの運営会社に入社しました。