土日休み、残業なし!訪問介護ヘルパーは育児、主婦経験者にこそオススメ。早朝出勤と残業三昧の日々から、安定と働きやすさを実現できる介護職へ
初任者研修から踏み出した一歩
「みんなの介護転職ストーリー」、今回の主役は佐藤めぐみさんです。調理師免許を取得されていて、食堂の調理スタッフを経て、直近はスーパーのデリカ部門で12年間お勤めでした。早朝出勤と残業三昧のパート勤務から、初任者研修を取って正社員として訪問介護ヘルパーに転身。土日休みで残業なしと、収入面の自活と身体に無理のない理想的とも言える生活を手に入れました。子育てや家事を経験されてきた女性、主婦に「訪問介護」という働き方はお勧めです。
2023年1~2月 介護職員初任者研修(短期コース)/新宿校
2023年2月 訪問介護事業所に就職
記事の監修者:藤井寿和(介護福祉士)
ダブルワークより、介護の資格を取って正社員に!
藤井:介護の前はどんなお仕事をされていたのですか?
藤井:朝5時出勤! それは大変でしたね。
佐藤さん: 朝が早いのは苦になりません。それよりも、子どもが小さい頃は、家から自転車で行ける近さで、いざとなったら子どもを迎えに行けることが大切でした。ちょうど東日本大震災があった頃でしたから。
藤井:12年間も働いたスーパーを辞めようと思った理由は何ですか?
佐藤さん: とにかく残業が多くて、1年を通して残業がない日がないぐらい。パートなので、残業が多くても手当がつかず、収入はそこまで伸びなくて……。そんななか、49歳のときに離婚して、一人で生計を立てていくためにダブルワークも考えていました。ところが、会社が大きく体制を変えて、自分にかかる負担が大きくなり、残業がさらに多くなるとダブルワークもできない状況に……。「このままでは体を壊してしまう」と感じて、ダブルワークで仕事に追われるのではなく、きちんと正社員として働きたいと思い、退職を決めました。
藤井:介護に興味をもたれたきっかけはありますか?
佐藤さん: 昔、義父の介護を半年ほどしたことがあって、排泄介助や入浴介助もやったことがあります。一番影響を受けたのはスーパーの友人の話で、彼女はスーパーと介護職のダブルワークをしていて、介護でどんなことをするのか聞いていました。彼女が「向いてるよ」と後押ししてくれたのも大きかったですね。
藤井:身近な方に介護職の具体的な話を聞けるとイメージがつかみやすいですね。正社員の選択肢は介護だけだったのですか?
佐藤さん: はい。介護は年齢に関係なく働けるのがいいなと思いました。その友人も50歳で車の運転免許を取って、それからヘルパー2級(現在の「介護職員初任者研修」)を取得して、70歳近い今も元気に働いています。いくつになっても遅くないんだ、というのを間近で見て、私もまずは初任者研修の資格を取ってから正社員になろうと思いました。それと、介護の資格は全国共通。調理師免許は東京で取得したら東京だけ。どうせ取るなら、どこでも通用する資格がいいと思いました。
藤井:初任者研修を取ろうと決めてから、どんなふうに学校探しをしましたか?
佐藤さん: 「初任者研修」で検索したら、資料を一括請求できるところがあったので、資料で料金などを比較して決めようと思いました。でも、請求をしてその日のうちにすぐカイゴジョブアカデミーから電話がありました。ほかの学校は1週間後とか遅かったですね。カイゴジョブアカデミーはちゃんと対応してくれて、特待生キャンペーンも紹介してくれ、受講後の流れなども詳しく説明してくれたので決めました。
「訪問介護」、方向音痴でも地図アプリで心配無用!
藤井:久しぶりの学校通いはいかがでしたか?
佐藤さん: 何もわからない状態で始めたので大変でしたが、一人だけでなくクラスのみなさんと和気あいあいと受講できました。毎回、「心が折れそうなんだけど~」「もう折れているんだけど~」なんて、仲間と笑いながら励まし合っていました。グループで組んだ人と教え合ったり、シーツ交換や着替えが苦手な男性を女性が教えてあげたりもしました。
藤井:授業はいかがでしたか? 難しかったことなどありましたか?
佐藤さん: 私は車椅子が苦手でした。坂の進み方で、上りはいいけど、下りる時の体重移動が難しかったですね。でも、先生が納得いくまで教えてくれたから大丈夫でした。
藤井:授業で学んだことで、仕事に役立っていることはありますか?
佐藤さん: いまは身体介護を必要としている利用者さんを担当していないので、直接役立っていることは特にありません。でも、家族を介護する場合と他人を介護する場合の違いをきちんと学べて良かったです。思い返してみると、義父を介護したときは腕の力で起こしていましたが、ボディメカニクスを学んで、腰に負担がかからないやり方を学べました。排泄のやり方も見て学べました。
藤井:カイゴジョブアカデミーでの就職活動はいかがでしたか?
佐藤さん: キャリアアドバイザーの方が、「いまこういう会社から打診がきています」と細かく教えてくれました。当時はまだシフト制で働いていたので、私の都合に合うように面接時間も調整してくれました。
藤井:就職先については、最初から「訪問介護」で働くイメージをもっておられたのですか?
佐藤さん: 「就職する」ということは決めていたので、受講前に紹介していただいた3社の面接をしました。訪問介護だけでなく、グループホーム、老健(介護老人保健施設)も面接したのですが、私に介護を後押ししてくれた友人に「あなたは訪問介護に向いている」と言われたこともあって、訪問介護に決めました。面接の印象もありますね。その訪問介護の会社の面接担当者は経験を積んだ方でしたが、ほかの会社は20代の方でした。私としてはベテランの管理者の元で働きたいと思っていましたから、この面接も決め手になりました。
藤井:就職先が決まってからの授業だったわけですが、何か印象に残っているエピソードはありますか?
佐藤さん: 授業が始まってから、ある先生が「私は方向音痴で訪問介護を辞めました」と言われて、「え~、ちょっと待って~」と後悔しました(笑)。私、すごい方向音痴なんです。
藤井:利用者さんのお宅に伺うのも業務のうちですからね。実際にお仕事が始まってから、この点はどうでしたか?
佐藤さん: 携帯のGoogleアプリに利用者さんの住所を入れて、自転車で何分と出た通りのルートで行きます。行きは迷ってはいけないのでその通りに、帰りは「もっと早いルートがあるのでは?」と試して、後輩にも伝えます。今もたまに迷いますけど、こんな方向音痴の私でもなんとかなっています!
仕事内容と無理のない働き方が主婦にお勧め
藤井:訪問介護は一人で動くことになるのでハードルが高いように思われることがありますが、実際はどうですか?
佐藤さん: 他のスタッフとはチャットツール上で、「いま仕事が終わりました」とか「空いている人は同行お願いします」とか連絡を取り合っています。空き時間は事務所に行って、同僚と情報交換しているので特に不安はありません。私が入った会社には、息子と変わらない年齢の男子3人とパートの女性が1人いますが、女性社員は私だけなので、この2か月、ほぼほぼ一人で回っていました。でも、最初から介護度の高い利用者さんを担当することはないので、そこまでハードルを感じることなく働けています。
藤井:実際に働いてみて、想像していた訪問介護とギャップはありましたか?
佐藤さん: ギャップというか、訪問介護は会社によって勤務環境が違うことがわかりました。後押ししてくれた友人の会社は365日サービスを提供していて、お休みは交替で取るということでしたが、うちの会社の場合、社員は土日休み、平日9~18時勤務と決まっています。お正月休みも5日間ありました。終業時間がオーバーしても、残業するのは一部の人くらい。想像していたよりもお休みが確保されていて、働きやすい職場でした。
藤井:訪問介護先ではいろいろな利用者さんがおられると思うのですが、佐藤さんは1対1のコミュニケーションは得意そうですね?
佐藤さん: 入社2日後に、「女性ヘルパー以外NGのお宅があるから行ってきてね」という言葉だけで送り出されたのは、「人によってはドアも開けてもらえない」という気難しいと評判の利用者さんでした。でも、私はなんと一発OKでした。ほかの人から、「話が噛み合わない」「埒が明かない」と聞いていたけど、私は普通に会話できました。毎回買い物から帰るとお茶を入れてくれて、雑談して帰ってきます。相当気に入られているみたいです(笑)。ほかにも、「あなたでなくちゃ」と、私以外NGの利用者さんもいます。
藤井:すごいですね! それでも、ネガティブなことを言う利用者さんもいるのではないですか?
佐藤さん: そういう人にも、「こうしてちゃんと顔を見せに来ているんだから、そんな悲しいこと言わないで~」と言い続けて、お話を聞きます。少しずつ変化はあります。
藤井:お母さんのような包容力を感じますね。訪問介護はとくに女性に向いているでしょうか?
佐藤さん: 講師の先生も、「女性がこれから働いて行くなかで、介護の仕事が一番いいと思う」と言っていました。とくに訪問介護では、買い物や掃除や主婦の経験が最大限に活かせます。「女性に限る」と指定してくる人も多いです。例えば離婚して収入を増やしたい場合、ダブルワークをしている人も多いですが、収入が安定しません。安定を考えるなら、資格を取って介護に転職するのをお勧めします。
藤井:佐藤さん自身、介護に転職してから、何か変化はありましたか?
佐藤さん: 痩せました!(笑)。アプリで歩数をカウントしていると毎日20,000歩です。自転車での移動もカウントされていますが、平日の歩数がものすごいことになっています。
藤井:健康的ですね。これから挑戦したいことは何かありますか?
佐藤さん: とりあえず実務者研修までは取りたいです。実務者研修を取ると、資格手当も変わりますから。サービス責任者の方は実務者も介護福祉士ももっていますけど、私も事務的なこともお手伝いできるように資格を取っていきたいですね。
インタビューを終えて
訪問介護は施設スタッフのように一般的に見かけることがないので、「一人で動くのは大変?」「仕事内容は?」と未知な部分が多いですが、佐藤さんのおかげで働きやすさもわかりました。お休みが確保されながら、自由度が高く、家事経験を活かせるのは主婦向きですね。訪問介護は会社によって勤務条件も違いがあるようなので、こちらの希望する働き方をしっかリ伝えて、「自分に最適な就職先」の出会いまでをキャリアアドバイザーにサポートしてもらうといいのではないでしょうか。
構成、執筆:谷口のりこ
「みんなの介護転職ストーリー」でご紹介している方々は、無資格・未経験から介護業界に挑戦したカイゴジョブアカデミーの卒業生です。皆さんが活用された「特待生キャンペーン」なら、自己負担なしで「介護職員初任者研修」の資格を取得でき、さらに介護職専門のキャリアアドバイザーによる就職先の紹介も受けられます。資格が1つあるだけで、給与や待遇がアップし、就職・転職時にも大変有利です。下記リンクからそれぞれ詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
>>自己負担なしで介護職員初任者研修を取得できる!「特待生キャンペーン」についてもっと見る
>>介護の最初の資格といえばコレ!「介護職員初任者研修」についてもっと見る
この記事の監修者
藤井寿和(ふじい ひさかず)
1978年 静岡県西伊豆生まれ。
18歳~24歳まで陸上自衛隊の救急隊員(衛生科)を経験し、
三宅島噴火に伴う災害派遣をきっかけに介護の仕事に転身。
医療法人で在宅医療に特化した介護を学び、介護施設の介護職員、生活相談員、管理者、事業部統括マネージャーに就任した後に、株式会社にて超都心型デイサービスの管理者を経験後、36歳で独立。
2015年に合同会社福祉クリエーションジャパンを設立。
介護福祉士現場コンサルタント、商品開発アドバイザー、講師業を経て、2017年、テレビ朝日の“スーパーJ チャンネル”にて自身への特集、密着取材が全国放映された経験から、介護業界の情報発信とスポットライトが当たる重要性に気づき、自主メディアの制作を志す。
介護専門誌のフリーペーパー発行人、編集長を歴任し、2021年9月にメディア事業へ注力する株式会社そーかいを設立し、代表取締役に就任、現在に至る。
・一般社団法人 日本アクティブコミュニティ協会 公認講師
・合同会社福祉クリエーションジャパン 代表
・株式会社そーかい 代表取締役
・ものがたりジャーナル 編集長
・NPO 16歳の仕事塾 社会人講師
・映画「ぬくもりの内側」プロモーションディレクター
佐藤さん: 都内で11店舗あるスーパーの統括センターのデリカ部門で12年間働いていました。11店舗分の寿司や弁当やお惣菜をまとめて調理して、各店舗に配送しているセンターです。私はお寿司を巻いたり、パック詰めしたりの製造担当で、朝5時に出勤して、14時までのパート勤務でした。でも忙しくて、毎月30~40時間残業していましたね。