50歳からの介護業界への転職-テニスインストラクターから未経験で介護職へ転身!成功の秘訣はポジティブな人生観
更新日:2023年4月25日
「みんなの介護転職ストーリー」、今回の主役は廣田一朗さんです。前職はテニススクールのインストラクター。シニアクラスで老いに差しかかっていく生徒さんを見て、「何とかしてあげたい」との思いから様々な工夫をする中で、介護に興味をもたれたそうです。50歳からの介護業界への転職。周りのアドバイスに素直に耳を傾け、新しい状況をポジティブに受け止めるのが廣田さんの成功の秘訣のようです。
2022年10月~2023年2月 介護職員初任者研修/新宿校
2023年1月 有料老人ホーム 就職
記事の監修者:藤井寿和(介護福祉士)
シニアクラスのテニスインストラクター経験を介護職に活かす

藤井:テニスのインストラクターを直近8年間されていたとのことですが、その前はどんなお仕事をされていたのですか?
藤井:確かに、最近は欲しいものがあったらネットで何でも買えますから、小売店にとっては大きな打撃ですよね。
廣田さん:そんな頃、大学時代にテニスコーチのバイトをしていたときの恩師から「ちょっと手伝ってくれない?」と誘われたんです。そこから約8年間、テニスのインストラクターをしました。最初は「お店の空いている時間だけお手伝いします」というスタンスだったのですが、次第にこちらの比重が増えて、小売業のほうは終えることになりました。
藤井:テニスをする元気な方々に囲まれている廣田さんが、介護の世界に興味をもたれたきっかけは何だったのでしょうか?
廣田さん:テニススクールでは80代前後のシニアクラスも担当していたので、高齢者と触れ合う機会が多かったんです。シニアクラスを教えていて、「あれ? この人、さっき言ってたことと真逆なことを言ってる……?」、「足が動かなくなって、どんどん身体能力が落ちていくけど、モチベーションを保つためにはどうすればいいだろう?」などと考えることがあって、テニススクールなんだけど会話の時間を増やすような取り組みをしていました。そういう工夫が楽しかったんです。
藤井:高齢者の方と身近に接していらっしゃったのですね。
廣田さん:あとは、妻の助言が介護職へと踏み出すきっかけになりました。実家の両親の介護をしていた妻が、「介護の仕事、合うんじゃない?」と言ってくれたんです。自分で言うのもなんですけど、私はいわゆる「傾聴力」に自信あって、相手の意見を尊重して行動する性格なのを汲み取ってくれたのだと思います。

藤井:介護のほかに転職先の候補はあったのですか?
廣田さん:障がい者支援施設、放課後デイなども考えなくはなかったですが、「やっぱり介護が合っているんじゃない?」と妻に言われました。シニアクラスの生徒さんたちも「合ってる! 私たちもそこに行きたいわ。どこの施設?」って聞かれたりして(笑)。
藤井:人と接するのがお好きなんですね。和気あいあいとした様子が目に浮かびます。
廣田さん:テニススクールでもずっとしゃべっていました。接客ということでは、大学時代にディズニーランドでキャストのアルバイトもしていたので、ディズニーで接客業の基本を学びました。あれは勉強になりましたね。
藤井:テニスのインストラクターを辞める決断をされたのはどのタイミングでしたか?
廣田さん:テニスの仕事をしていると、一日4~5万歩歩くんですが、2022年3月あたりにちょっと身体を壊して、「この仕事、60歳までできるかなぁ」と不安になったんです。職場も遠いし、1日の就業時間が不規則なのも少し負担に感じていました。それで8月にカイゴジョブアカデミーに連絡をしました。
キャリアサポーターのアドバイスで初めて正社員に
藤井:資格を取るのと、就職とどちらを先にお考えでしたか?
廣田さん:考えたというより、「流れに乗った」という感じですね。ネットでカイゴジョブアカデミーに申し込んだ後、すぐに連絡をもらいました。資格も取れるし、仕事も探してくれる。特待生キャンペーンを利用すれば学費もタダ。「だったら、それやります!」と。「資格を取りながら就職しよう」と決めました。
藤井:カイゴジョブアカデミーの担当者と直接話せてスムーズに進んだのですね。
廣田さん:私はインストラクターの仕事を続けながらスクールにも通って、インストラクターを辞めたら間を開けずにすぐに就職したいと思っていました。「12月に辞めて1月から働きたい」と事情を話すと、「週1コースのほうがいいですよ」と教えてくれました。おかげで、勉強しながら少しずつ介護の世界に移行できました。
藤井:授業はどうでしたか?
廣田さん:大学卒業以来、久しぶりの学校だったのでドキドキしましたね。たまたま私のクラスは若い女性が多く、あとは若い男性が一人、年配者が少ないクラスでした。授業はちょっと甘く見ていましたね。講義はまだしも実技は苦戦しました。でも、実技になってからは、いろいろな人と仲良くなれました。

藤井:授業で勉強になったことは何でしたか?
廣田さん:「とろみ」ですね。「とろみを飲むって何?」と、初めての用語でした。車椅子の移乗、オムツ交換も勉強になりました。約2か月働いてみて、先に勉強しておいて良かったと実感しています。何も勉強してなかったら、「何それ?」の連続だったと思います。仕事と並行して授業に出ていた時期には、職場でやっていたやり方を授業で聞けました。「初任者研修ではこういうふうに教わったのですが、こちら(職場)では違いますか?」「うちの現場ではこんなふうにやってください」という確認もできて、想像以上のメリットがありました。
藤井:転職活動で重視したポイントはありましたか?
廣田さん:前の職場は家から遠かったので、今回は通勤時間を少なくして睡眠時間を確保したかったんです。それと、週1日以上のお休みもあると嬉しいなと思っていました。50代で正社員で採用してもらえるだけでもありがたいので、贅沢は言いませんが。サービス形態はとくに絞っておらず、担当者が紹介してくれた5社のうち、面接まで進んだ1社に決めました。
藤井:カイゴジョブアカデミーのサポートはどうでしたか?
廣田さん:私は正社員になるのは初めてなので、履歴書の書き方も面接のやり方も教えてもらいました。私の話を聞いて方向性が違うと、「そういう考え方よりこういう考え方にしたほうがいいですよ」と的確なアドバイスをしてくれました。相談できるキャリアパートナーの方がいて、本当に良かったと思っています。
自分に合った仕事で、毎日が楽しい!
藤井:約2か月現場で働いてみて、どんな毎日ですか?
廣田さん:一日があっという間に終わります。朝はみなさんを起こすことから始まって、トイレに連れていき、食事の介助をして、入浴介助をして、洗濯物を持っていって、またオムツの交換をして……。仕事は止まることはないので、休む暇はありません。そうこうするうちに申し送りの時間になって、「もう帰っていいの?」という感じですね。

藤井:前職に比べて、良かったこと、大変なことは何でしょうか?
廣田さん:まだ慣れていないのはオムツ交換ですね。ずれていないかなと心配になったり、排泄物にまだ慣れなかったり……。これさえクリアできればいのですけどね。楽しいことや嬉しいことはいっぱいあります。自分が利用者さんの名前や年齢、特徴などを覚えていくのも楽しいし、利用者さんが僕のことを覚えてくれるのも嬉しいです。「○○さん、おはようございます」と必ず名前を呼んで挨拶をするのは、テニススクールで教わったことです。
藤井:いざ介護職として働くと考えたとき、不安はありませんでしたか?
廣田さん:介護の3Kのイメージはありましたし、知り合いに何人か介護職の人がいたのである程度実情はわかっていました。その上で、知り合いからも勧められたし、自分も「いつかやりたい」と思っていました。収入に関しては、ちょうど下の子が大学を卒業して4月から就職なので、学費は払い終わったところでした。学費の負担があったら、介護への転職はできなかったかもしれませんね。ずっと個人事業主だったので、正社員になって、いろいろ個人で払わなくてよくなって、気楽になりましたね。
藤井:転職するにはちょうど良いタイミングだったのですね。体力面などは実際にはどうですか?
廣田さん:自分は50代でも体力があるほうなので、夜勤も余裕です(笑)。現在見習い中で誰かがついてくださるので、問題もなく、2時間以上眠れることにビックリしてます。うちの職場では、68歳の人が普通に第一線で働いています。夜勤も平気でこなして支障ないのを見ているので、「自分も70歳までやれるんだろうな」と励みになります。

藤井:テニスのインストラクターの経験は活かされていますか?
廣田さん:当時担当していたシニアクラスともなると、自分の意見を譲らないような人もいますから、喧嘩になりそうな時もあります。とくにゲームのカウントで険悪になったときには、「もう一回やりましょ~」ともっていきますね。ゲームの勝敗にこだわる人、健康増進のための人、一人ひとりの意見を聞いて、みんなが納得するように調整していきました。最後は「辞めないで」と言われるぐらい惜しまれて……。50歳までにいろいろな仕事で身に付けたことを、介護の仕事では全部活かせるのではないかと思います。
藤井:お話を聞いていると、廣田さんはとてもポジティブな思考ができる人ですよね。
廣田さん:「何も考えてない」とよく言われますよ(笑)。左から入ったものが右へ抜けていくタイプです。転機が訪れたときは、あまり考え込まず、時の流れに乗っているだけですが、それがいいのかもしれませんね。
藤井:これからの目標を教えてください!
廣田さん:このままカイゴジョブアカデミーで実務者研修に進んで、その先の介護福祉士を取得したいですね。まだそこまでしか考えていません。とにかく今の職場にとても満足しているので、早く戦力になりたいです。
インタビューを終えて
50代はまだまだ体力も気力も充実しているので、職種によっては、それまでのお仕事経験を活かして、若い人以上に活躍できます。介護職は50代でもまだまだ活躍できる仕事です。廣田さんも、テニススクールで培った傾聴力やコミュニケーション力を介護職となっても発揮し、ご自身も「毎日楽しい」と思える成功例ですね。廣田さんのように、「考え込まずに」、まずはカイゴジョブアカデミーとコンタクトを取り、担当者の親身の提案に身を委ねて「流れに乗る」のは、スムーズな転職の秘訣かもしれませんね。
構成、執筆:谷口のりこ
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初任者研修を受講できる校舎
この記事の監修者

藤井寿和(ふじい ひさかず)
1978年 静岡県西伊豆生まれ。
18歳~24歳まで陸上自衛隊の救急隊員(衛生科)を経験し、
三宅島噴火に伴う災害派遣をきっかけに介護の仕事に転身。
医療法人で在宅医療に特化した介護を学び、介護施設の介護職員、生活相談員、管理者、事業部統括マネージャーに就任した後に、株式会社にて超都心型デイサービスの管理者を経験後、36歳で独立。
2015年に合同会社福祉クリエーションジャパンを設立。
介護福祉士現場コンサルタント、商品開発アドバイザー、講師業を経て、2017年、テレビ朝日の“スーパーJ チャンネル”にて自身への特集、密着取材が全国放映された経験から、介護業界の情報発信とスポットライトが当たる重要性に気づき、自主メディアの制作を志す。
介護専門誌のフリーペーパー発行人、編集長を歴任し、2021年9月にメディア事業へ注力する株式会社そーかいを設立し、代表取締役に就任、現在に至る。
・一般社団法人 日本アクティブコミュニティ協会 公認講師
・合同会社福祉クリエーションジャパン 代表
・株式会社そーかい 代表取締役
・ものがたりジャーナル 編集長
・NPO 16歳の仕事塾 社会人講師
・映画「ぬくもりの内側」プロモーションディレクター
廣田さん: 父がアメカジの輸入衣料店を経営していたので、自分も大学で経営を学んで、卒業後は父の店を手伝っていました。そこから約20年、アメカジの衣料を販売してきたのですが、小売業界も時代の大きな変化がありました。ネットショッピングが普及してきて、実店舗販売とネット販売を併用しながら何とか営業できていました。ところが、大手のショッピングサイトなどで手軽に購入できるようになると、徐々に仕事も少なくなっていって……。